<朱鳥一輝>ー5
一輝は布団の中で考えていた。
(お父さんは私を虎杖の家に出す気だ。でも、それはなんとしてでも阻止する!)
とはいえ、経済的にも安全保障上の観点的からも、どうやら大人達の言うことは正論だ。
(テビレって人のことは今心配してもしょうがないや・・差し迫っているのはお金だ)
(バイトしたって足りないよね。学校にも行かなきゃだし。高校は卒業したいもん)
神職の資格が取れる大学と一応進路設定しているが、日本でも上の方の大学なので自分には無理なことは自覚がある。なので、こっそりプランBを考えている。というか、こっちの方がプランAになりそうな勢いである。それすなわち、
(市役所か農協に就職して、仕事しながら資格を取る・・)
実はこれには先例がある。叔父光之である。兄が朱雀神社の宮司職を継いでいるので、普通に市役所に就職したが、虎杖家の一人娘の冬美と結婚する条件が玄武神社の宮司職を継ぐことだったので、必死こいて仕事をしながら資格を取っている。ただ、仕事をしながらなので結構大変だったと時々光之は述懐していた。この大変さを回避したくて、大学進学を掲げているが、これはこれで己の学力故にすでに暗雲立ちこめている。というか、そもそも高校卒業までにまだ2年半以上あるのだ。速火若彦の言うとおり、その間も日々食べて学校に行かねばならない。
(宮司さん・・朱雀神社だけの宮司さんが要る・・私の生活費と学費を稼いでくれる宮司さんが!)
どこかに手があいている宮司さんはいないか。資格はあるけど、神職に就いていないペーパーな人とかいないか。
(募集出してみようかな。ハロワとか)
そうだ、ハローワークはいいかも、と思いながら一輝は眠りに落ちた。
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