第2話
────遅い。私は時計を見て溜め息をついた。
ただいまの時刻は13時。待ち合わせの時刻は11時。もう2時間は過ぎている。つまり、大幅な遅刻。どういうことだ。
携帯を確認するけど連絡なんて来ていないし。もしも遅れるなら、必ずメールはしてくれる律儀な人。というか、まず今まで遅刻という概念なんて持っていなかったのではないかと思う。
それなのに、今日は全く連絡しないなんて。寝坊?という考えも浮かんだけど、それもすぐに消えていった。なぜなら、そんな人ではないからだ。
私が知るあの人は、遅刻や寝坊といったことには無縁で、いつだって約束の時間の10分前には来ているような人。時間にルーズなわけがない。
となると、事故に遭ったのではないかという心配も浮かんでくるわけで。嫌な予感だって私の脳裏をよぎる。
もう一度電話をしてみよう、と連絡帳からあの人の名前を引き出して電話をかけたけど、結局繋がることはなく呼び出し音が虚しく鳴り響いているだけだった。
「……行くしかないか」
2時間座っていたベンチから漸く立ち上がって、私は駅へと歩き出す。その道中で、【心配なので家に行きます】というメールも忘れない。
駅のホームについて、もう一度携帯を確認してみたけど何も連絡は来ていなかった。
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