幼馴染が寝取られた。その為に推しで応援している地元で人気があまり無いアイドルの絵本さんと話す様になったら...

楽(がく)

第一章 幸せの、巻き返し

裏切り者を捨てて?

第1話 無敵のアイドルの応援

袂優久(たもとゆうひさ)はまあ...冴えないクソ野郎だ。


高校2年生、黒髪のロン毛。

そして四角い黒縁メガネの冴えない...成績も普通。

体育成績も普通。

おまけに最後は顔立ちがあまり宜しくない様な人間。


そんな冴えなさがどれだけ冴えないかといえばとても可愛いと思っていた長嶋千春(ながしまちはる)という幼馴染の女子に浮気されるぐらいには。

だから俺は傷心もあり元からファンだった地元で猛烈に可愛い(個人的)に思う地元アイドルのリーダー、絵本琉(えもとりゅう)を生涯、応援する事に決めた。

いやはや、恋なんぞマジにくだらない。

お気に入りのアイドルを応援する方がマシだ、と思いながら。


そのある日の事だった。



この地元。

つまりクソ田舎のこの町に町が金を出しているご当地アイドルが居る。

トワイライト・スター・ファイアー。

3人組の先程言った絵本琉さんをリーダーにした人気があまりないアイドルグループである。

客席は例えば30席あって2席埋まれば良い方の。

そんな俺は絵本琉さんのファンである。


彼女の容姿。

大きなリボンが付いたツインテール。

そしてスタイル抜群の猛烈に(個人的に)可愛いと思っている絵本さん。

俺はそんな絵本さんの大ファンで...2年ぐらいひっきりなしに握手会、劇場、あちらこちらのライブ会場などに伺ったりしている。

それこそ欠かさず。

2人のうちの観客の1人は毎回俺。


そんな俺だけど彼女の長嶋に浮気された。

俺はショッキングであり。

別の男とキスをしていたその長嶋を恨みながら。

生涯、恋はしないと決めた。


そして俺は今日、2月14日も当然だがライブがあり。

絵本さんとメンバーのバレンタインライブに伺った。

それから楽しい思いをしてからの更に緊張する握手会。

そうしてから帰ろうとした時。


「あの」


そう声がした。

俺は振り返ってみる。

するとそこに何故か絵本さんが居た。

それも息を切らしながら、だ。


「は、はい?」

「今日も欠かさず来てくれたんですね。バレンタインイベント」

「...絵本さんのファンなので」

「そうなんですね...今回もそうですけど毎回欠かさずに貴方は来てくれてますよね?私達のライブ。...劇場でよくお見かけするので。ファンが全く居ない時も貴方は居るからですね」

「あ、はい。応援しています」


すると絵本さんは周りを見渡した。

それから誰かを探す様な素振りをしてから「あの」とまた声をかけてくる。

やはり小顔だな、とか思っていたのがバレたか?

気持ち悪いよな。


「これ。手作りのチョコレートです」

「...ああ。そうな...は?」

「今日もきっと貴方は来てくれる。そう思って作りました」

「...え...」

「私、こう見えてお料理得意なんです...じゃあまた」


タタタと可愛らしいスカートを翻し駆け出して行く絵本さん。

そして俺の手の中に可愛らしいリボンに包まれたチョコが...残された。

マジかよ。

こんなもんが貰えるとは。

俺を特別扱いしているのか?

な訳無いか。


「...今度またお礼を言わないとな」


そう思いながら俺は苦笑しながらチョコレートを食べる。

ビターチョコ。

というかめっちゃ甘い感じがした。

ビターなのに...。



そして翌日になってからアニメファンでオタク友達の。

友人の茶本ゆうき(さもとゆうき)にこの事を話してみる。

だが茶本は「まあ女子からそういうのって言ってもな。勘違い禁止だぞ」と強く念を押される。

だよなぁ、と納得しながら話を聞いた。


それからホームルームが始まる。

女性の真面目系坂本帯(さかもとたい)先生が「今日は転校生が来ています」と俺達に宣言する。

そして教室のドアが開く。

そこに居たのは...。


「あ!?」


俺はつい声を発してしまった。

周りは「?」となりながら俺を一瞥して直ぐに視線を戻す。

絵本琉さんが...何故か居た。

だがあまり人気の無いアイドルの為か。


「おい。可愛いな」

「めっちゃ可愛いじゃん」


と各々のコメントがあるだけでみんな地元で活躍しているアイドルとは気が付いてないらしかった。

何だかもどかしい感じの俺。

その中で絵本さんは自己紹介した。


「皆さん。初めまして。私、絵本琉って言...」


そこまで絵本さんが言ってから周りを見渡し俺を見てから見開いて驚く。

それから直ぐに駆け寄って来た...は?

「も、もしかして袂さんですか?」と言いながら柔和な眼差し...お、おい!?

俺は凍り付く教室を見る。


「は?」

「ああ?」

「ああん?」


一気に形勢が傾く。

教室の温度が下がっていく。

ボルテージが上がる。

何でアイツの事を美少女が知っている。

そんな感じの空気だった。


「袂さん。私、この学校に転校して来るの楽しみでしたけどまさか貴方が居るとは。もっとこの学校の生活が楽しみになりました♪本当に良かったです。運命ですねこれ」

「ま、絵本さん...!?」

「ふふっ」


茶本のメチャクチャな嫉妬の眼差しが俺を射抜く。

教室の女子は大騒ぎ。

男子達は「ァァァァァ!!?!!」という感じになる。

え、絵本さん...何でこんなに接触してくるんだ!

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