第61話(1) ピティアスの手下も溜まってますので…

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 30キロ、大スフィンクス方向に進んだ。残りあと3日。昨日のムラーとの話は重かった。第1~4ユニバースまでの運命がこの一戦にかかっていると思うと気が重い。どうしてもクレオパトラ7世は抹殺しないといけないが、できるんだろうか?


 目的地の南の大スフィンクスは、ギザの大スフィンクスからほぼ南に50キロのところにある。近くには、エジプト古王朝のメイドゥム・ピラミッドがあり、その北15キロの位置にある。敵地に近づいているので、警戒は厳重にしないと。


 今日の夕食は私が料理する!ということで、さて、何を作ろう?旅も終盤、食料の備蓄も残りわずか。大スフィンクスの戦闘で生き延びられたら、私かアイリス、イシスがアフロダイテ号、アルテミス号まで行って食料を抱えてくればいいので、着くまでの3日間で食料の備蓄はみんな食べてしまおうということになっている。しかし、ロクな食材が残っていない。


 スペルト小麦はあるので、ポレンタを作ろう。紀元前にトウモロコシなんてアメリカ大陸原産のものはないので、小麦で作るのだ。銅鍋に水10リットルを入れて沸騰させ、塩を加える。そこにスペルト小麦の粉2.5㎏を加え、素早くかき混ぜてダマができないようにする。火はずっと強火で、かき混ぜながら煮て、ポレンタが固まったら焚き火から遠ざけて火を弱める。煮る時間は約45分。


 ブルメンタリア(乾燥肉)、ヒヨコマメ、ヒラマメ、エンドウマメでスープを作る。無発酵のパンを焼く。チーズは乾燥していたがまだあったので、火で炙ってパンにのせる。濃い緑色のオリーブオイルの一番搾りをパンに付けて食べればいいだろう。オアシスの村から買ったデーツとナッツがまだあった。砂漠の旅なのだ。贅沢は言っていられない。


 両脚を踏ん張ってスゴイ格好でポレンタをかき混ぜる。火が通ってくるとポレンタは粘度が増すので力がいるのだ。少なくても、念動力で鍋を押さえているのでいいけど、普通だったら一人じゃできないわよ。


 ソフィアとジュリアが来た。「絵美様、誰かにやらせましょう。第1夫人がみっともないです!」とジュリアが言う。

「みんなの分のポレンタを作りたいのよ。いいじゃない!」

「いえ、ちょっとご相談がありますので・・・」と通りかかったベルベル人の女の子の奴隷二人を呼び寄せて交代させられた。自分で料理する自由がないのよねえ。


 焚き火から少し離れて、ソフィアとジュリアと一緒に座った。


「オアシスの村で買った女の子8人、男の子10人の件ですが、リーダーをそれぞれ決めました。そのリーダーをアルシノエの下につけました。それで、今まで3日間、セックスを禁じていましたけど、スフィンクスまで後3日。マンディーサ、キキと相手が決まった2人を除いて、相手のいない空き家は、女奴隷3人、娼婦2人だけです。ピティアスの手下も溜まってますので、ベルベル人の子供たちにも相手をさせたいんですけど、いかがでしょうか?」


「ピティアスの手下は23人よね?相手のできたムスカ、ジャバリと他2人を除いて19人。女奴隷3人、娼婦2人じゃあ足りないわね?いいんじゃないの?」だんだん、20世紀の倫理観が薄れていってしまう。「彼らも金貨百枚の前渡金をムラーが払っているからお金はあるでしょ?ベルベル人の子供たちもお小遣いが欲しいだろうし、一律銀貨5枚(約1万円)で後腐れなしじゃあどうかしら?子供たちに売り物の皮財布を上げて頂戴。お金をしまう物がないと困るでしょ」


 1アウレウス金貨     約5万円、デナリウス銀貨25枚

 1デナリウス銀貨     1デナリウス銀貨=2千円

=4セステルティウス青銅貨 1セステルティウス青銅貨=約500円

=16アス銅貨         1アス銅貨=約125円


「私とジュリアもそのぐらいを考えていました。手下の半数は見張りにつけておいて、交代でするのでいいでしょうか?」


「アオ姦じゃあ、砂がねえ・・・」

「ハイ?アオ姦?なんですか、それ?」とソフィア。

「いや、未来の言葉。気にしないでね・・・大テントの女たちは外で寝ることにして、手下たちに大テントを使ってもらいましょうか?別にアオ姦でいいんなら外ですればいいけど・・・」

「まったく、未来の女性は親切ですね?」

「親切にすれば厳しくするよりも忠誠心が生まれるのよ。つけあがらない程度で」

「なるほど」

「だけど、やったらベトベトになっちゃうわよね?」

「体を洗う水なんてありませんよ」

「あ!いい考えがある!イシスを呼んで」


 イシスが来た。

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