⚓奴隷商人 第2,3,4,5,6章 地中海・エジプト編、古代ローマに転生した森絵美が向かうのはエジプト、宿敵クレオパトラ七世との死闘が始まる。
第28話 航海時のお食事 (第2章 地中海編、奴隷商人 Ⅳ)
第28話 航海時のお食事 (第2章 地中海編、奴隷商人 Ⅳ)
第2章 地中海編
奴隷商人 Ⅳ
私たちの乗船する船は、ベタな名前のアフロダイテ号と言った。(ちなみに、今は絵美は寝てる。知性体に睡眠の必要はないんだが、毎日数時間寝る習慣が絵美にはある)もう一隻はアルテミス号。ピティアスのネーミング力がわかるぜ。
船乗りは女性の乗員をひどく嫌う。拐ってきた女は別。だってね、昨日も絵美がごねたように、おしっこだ、ウンコだ、お風呂だ、さらに生理だ、というので、手間がかかる。男性なら、ふなばたからチンコ出してすりゃあいいし、便所が汚ければ海に飛び込んでクソすりゃあいいのだ。
しかし、今回は、アフロダイテ号と同じく、アルテミス号にも海水蒸留設備っていうの?あれを設置して、便所もシャワーも工夫したので、女性のやっかいな問題もクリアなのだ。さらに、原油から灯油が出来たので、ムラーが灯油バーナーなんてものを作った。
海賊共は最初、使い方がわからなかったんだけど、だんだん、薪ストーブで料理を作るよりも数倍便利じゃん!というのが理解できて、好評だ。灯油のコックを捻って閉じれば火が消える。薪ストーブは海水をかけないと消火できない。木造船で火災は一番注意しないといけないことだ。時化の海でも調理ができる灯油バーナーは便利この上ない。
今回、私(たち)、アイリス、ソフィア、ジュリア、侍女4人はアフロダイテ号に乗り込む。船長はムラー。ピティアスは、部下の配分を考えて、アフロダイテ号に手下/水兵27名、自分が船長のアルテミス号に33名を配置した。女8名も帆の上げ下げ、甲板掃除を手伝えということだ。もちろん、料理も。
絵美が言う後世のコロンブスとかマゼランの航海じゃああるまいし、敗血症になるようなことはない。フェニキアからエジプトは地中海一の沿岸航路だもん。だけど、今は、紀元前46年(私は紀元前65年生まれだそうだ。キリストってのも産まれていないのに絵美やムラーはこの紀元前という言葉をよく使う。なんなの?)、まだまだ、地中海と言えども、ポセイドンや海の怪物が跋扈していると信じている船乗り・民衆が多い。
後世の木造船と違い、船の剛性も弱く、羅針儀もなく(今回、ムラーが作ったけど)、三角帆じゃないので逆風だと進めない船なので、油断はできないってこと。フェニキアからエジプトに向かう船がイスパニアやカルタゴに嵐で流されたなんてのも珍しいことじゃない。下手をするとヘラクレスの柱(ジブラルタル海峡)からおっかない外洋に出てしまう。
食料は大事よね、せめておいしい食事を取らないと、と絵美が言う。アイリスが丘の家の森にピティアスの手下を連れて行って、イノシシを狩ってきた。ポン、ポンと念動力でイノシシをぶち殺す。手下がそれを見て、アイリスを拝跪するんだ。バカバカしい。たかが、念動力なのに。それで、かなりのイノシシを狩った。それを捌いて、丘の家の女が塩漬け豚にして木の樽に詰めた。塩をキツめにして、ソーセージやサラミも作らせる。
航海の最初なら低温殺菌していないフェタチーズでもいいかあ、とか絵美は言って、オリーブオイルと香草に漬けたチーズも用意させた。最初にそれを食って、その後は、塩分強めのペコリーノ・ロマーノだね、とチーズのブロックを数百キロ買った。オリーブ、インドのアーモンド、イランのピスタチオ、ペルシャのくるみも仕入れた。ビタミン不足は注意しなきゃと言う。ビタミンってなんだよ?
籾殻のついたリゾット用の米、小麦も仕入れる。後世の20世紀の小説家や漫画家は、まさか船の上で籾すり、精米、小麦粉挽きをしているとは思わないでしょうね、バカね、と絵美は言う。当たり前じゃねえか?精米した米とか小麦粉を持っていったら、1週間で虫がわいちまうよ。古代ローマじゃ常識だよ!
絵美が、私やアイリス、ソフィア、ジュリアに聞いて、船の上で何ができるか、メニューを作りましょうとか抜かす。あるもの食えばいいじゃねえか?まあ、仕方ねえ、作った。
● 豆入りプルス(小麦のかゆ)
● 全粒粉、自然酵母で作った丸いパン
● ポタージュスープ
● 豚のゆで肉
● 豚のもも肉や頭の串焼き
● オリーブ
● ソーセージ・サラミ
● 豚肉団子
● 魚肉団子
● フェタチーズ/ペコリーノ・ロマーノ
● ナッツ
● 乾燥フィグ(イチジク)/アプリコット/デーツ(ナツメヤシの実)/レーズン
これで十分だろ?と言ったが、鶏肉・卵がない!とか言う。途中の港で仕入れりゃいいだろ?まさか、船の上で鶏を飼うつもりじゃないだろうね?・・・絵美は鶏舎を作らせやがる!この20世紀女め!で、メニューを追加。
● 鶏肉
● オムレツ
● フレンチトースト
● TKG
● お刺身
絵美にフレンチトーストってなんだ?と聞いたら説明した。あら、この時代にはないのかしらね?とか抜かす。じゃあよ、このTKGは?え?卵かけご飯?そんな野蛮なもの、誰も食わねえよ。お前だけだよ、と言ったら怒っていた。世界中で、生卵を炊いたご飯にかけて食うなんて民族はいねえ!腹壊すだろう?オサシミってのも生の魚を魚醤につけて食うんだと。マリネか?それは料理か?コーカサスじゃあ、そんなもの食わん!
これで終わりと思ったら、今度は、寝転がって手づかみで食うのは野蛮だと抜かしやがる。
あのな、どこの民族が手以外で物を食うんだ?骨付きラム肉は、骨をつかんで食らいつくのがうまいんだよ!骨は床に落とす。それは奴隷が掃除する。それの何が悪いってんだ?あら?脂ぎった骨を木製の床に落として、床が脂まみれになったら滑るじゃないの!と言う。確かに一理はある。
テーブルと椅子を作らせて、床にボルトで固定した。あのな、バールなんかじゃ、立って食う。この時代、寝転がって食うか、立って食うかだ。椅子に座って食ったら消化に悪いだろ?
さらに、絵美は、フォークとナイフ、スプーンという金属製の器具を作らせた。こんな物騒なもので食って、食事の際に、ぶっ殺されたらどうすんだ?と聞いたが、ブンメイジンはこれで食べるのよとか言いやがる。ヤツだけ特別に『お箸』なんてのもレバノン杉で作らせた。私はこんな木の枝で物を食うのはイヤだ!
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