戦慄のモルテナ

緑樹ユグ

第1話「モルテナとの出会い」

…正義と悪


皆さんはどう思いますか?正義とはなんだろう?悪とはなんだろう?どういう考えをお持ちですか?


正義とは人を救い、良き行動をする良き人だと思います。そうすればきっといつか見返りが来ると思います


では悪は?悪とは悪いことをするとんでもない人。下手したら裁かれる、そんな人間だったりします


そして、正義と悪が両方とも備わっていたらその人のことをどう見ますか?正義と言えますか?悪と言えますか?


一人。正義と悪を持つ人がいます。それは、人外でもあり女性であり美人な人だと言います


果たして正義と悪の天秤が均等に並んだその人は一体なんの人なのか。色々と考えてください…



「んん~。やっぱり収入が少ない」


わたしは悩んでいた。せっかくしっかり働いたのにお金は雀の涙。どうしようもない


「もっと…たくさん稼げる場所見つけないといけないなあ」


わたしの名前はニィナ。両親は既に亡くなっており一人っ子で暮らしている


元々貧困家庭なのか貧乏暇なしみたいに働いて子どものころはちっとも遊んでくれなかった


今住んでる家もボロくなっていて雨漏りがあるし隙間風もある、古い家だった


もっと稼げないと家をリフォームできないし夏や冬は本当に寝れないほど気温に耐えきれないボロ家だ


あーあ。王国に行くのもいいけど王国の仕事って基本エリートしか集まらない場所だし


メイドがいいのか?あそこは規律が厳しいという。じゃあ騎士?申し訳ないがわたしには力がない


ふう…ため息が出る。ここの村で貧乏暮らしして人生を終えるのか。独身のままで。なんか寂しい


そう思っているとこんこん。とドアが叩いたのがわかった。わたしはすぐにドアを開ける


「あ…向かいのおじさん」


「やあニィナ」


とても優しいおじさんでヒゲを生やしてニコニコしてる人だ。性格だって良い


「実はね。ニィナにこれを渡したいんだ」


おじさんは両手いっぱいに野菜と肉があるのがわかる


「これ…おじさんの家庭のものでは?」


「ううん。実は前にモルテナさんが来てくれてお金をいっぱい渡してくれたんだ。そしたら何も困らなくなってね」


…モルテナ、さん?


「モルテナさん知らないかい?」


「いえ、名前だけなら」


わたしが言うとおじさんは食料をわたしに渡す


「モルテナさんはね。大富豪だから貧困へ僕の家庭のようにお金を恵んでくれるんだ。だからモルテナさんのことが気に入ってるんだよ」


そんな人、いるんだ


「モルテナさん…どこにいます?」


「基本屋敷にいるけど、そろそろ夜だから森にいるんじゃないかな?彼女、散歩が趣味だから」


…なんとなく会ってみたい気がした


時刻はそろそろ夜に近い時間だ。夜は戦慄の夜。なんて呼ばれるがわたしはあまり暗闇に恐怖は感じない


「わかりました。ありがとうございます」


「うん。また食料に余裕ができたら来るからね。じゃあ」


おじさんは去っていく


ドアを閉めて確認するとたくさんの野菜と肉があった。これならしばらくは食料に困らないだろう


でも…モルテナさんがとても気になる。わたしはどうにかしてモルテナさんい会いたいと思った


食事をとってランプを用意して行くのがいいだろう




近所にある深い森林は静かであった。ランプを左に持ち、右で武器のナイフを持った


ここに…モルテナさんがいる?あまりイメージができない。どういう人か。性別はどっちなのだ?


今聞こえてる音はわたしが歩く音。それが深い森林に響く。ナイフを使うようなことがないといいけど


何かいるだろうか?モルテナさんはここにいるのだろうか…


「ばぁ!おどろいた?」


ん!?突然わたしの眼の前に女性がいた。わたしはあまり驚いてない


「あら?全く驚いてないわね?肝が座っているわ?」


わたしはランプでその人を照らす


金色髪ロング、目は赤い瞳。口は開いているのかギザ歯で怖い。真っ赤なドレスを着ている。そして…なによりも血の涙を流し肌白かったことを


これはもしかしてモルテナさん…!?わたしはすぐに反応する


「モルテナさん…ですよね!?」


「ええそうよ。あなたわたくしの脅かしに動じないなんて凄いわね」


やっぱりおじさんの言ったことは正解だった


「わたし…ニィナって言います。モルテナさんに会いたかったんです」


「わたくしに会いたい?あーっはっは!」


モルテナさんはその場で大きい声で笑った


「あなた面白いわね?自己紹介しましょう。わたくし、モルテナ・ブラッド・デスティーナ。モルテナでいいわ」


相変わらず血の涙を流して言う彼女。よく見ると後ろに大鎌みたいなものを背負っている


「モルテナさんなんですね?会えて嬉しいです」


「うふふ…そう。わたくしに会えるのが嬉しいなんて言う人、あなただけよ」


よく見ると口からも血が流れている。血の涙、血から血液


「ここで…何をしてるんですか?」


「基本的は肝試しっぽいことしてる人間を驚かせたり大鎌でクマや鹿を刈り取って持ち帰って肉にするのよ」


…鹿はともかくクマって美味しいのか?


「…あなた貧困の人?」


「はい。いつもお金に困っています」


血の涙を流すモルテナさんは少し真面目な顔をした


「…あなたの住んでる場所おしえて。わたくしは全体的には貧しい家を回れてないの」


「はい!わたしは…」


静かな森林でわたしとモルテナさんは喋る


「わかったわ。今度、お金を渡すわね。遠慮しないでちょうだい。これは善意でやってるから」


「ありがとうございます!」


わたしは彼女の眼の前でお辞儀した


「さ。もう帰りなさい。そのナイフじゃあ何もできないわ。わたくしはこれから夜の森を見るから」


「わかりました。モルテナさん、お気をつけて」


モルテナさんに会うだけにここへ来たのだから目的は達成だ。彼女の言うとおりわたしは去ることにした


後ろでモルテナさんがぼそっと何か言ったような。気の所為だろうか?



モルテナさん


お世話になりそうな予感がした



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