【Step①:昇降口の『影の仕事』】
お嬢様は、いつも通り少し遅れて昇降口に現れました。
髪をくしゃっとかきあげながら、わたくしに目を向ける。
「今日もご苦労。で、愛沙。何かあった?」
「いいえ、本日も美樹様は特に問題なし。お昼のパンはチョコ。午後の授業では居眠り三秒未遂を一回。ノートは……八割完成です」
「おまえさぁ……観察しすぎじゃない?」
「ご報告です。専属としての」
「……まあいいけど。はい、靴ひもが解けかけてるぞ」
「それはお嬢様のほうです」
「は? おっ、ホントだ……」
(ふふ、油断しすぎですわよ、お嬢様)
靴ひもを直しながら、ふと隣を見ると――
美樹様が、窓の外をぼんやり眺めていました。
(……夕方の光に照らされたその横顔。保存用ですね)
目を逸らすふりをして、しっかり記憶に焼きつけました。
写真に残さず、目をファインダーにして、心に保存……これがわたくしのモットーでございます。
ちなみに小橋様からいただいてるお写真は別物です☆
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