2冊目

よっくんを見守り隊

【記録開始:緑乃牧高校・朝のホームルーム前】

 沓井でございます。


 本日も、わたくしは早朝から校門前にてクラスの皆様へご挨拶を済ませ、教室の窓を開けて空気を入れ替え、黒板を磨き上げ、出席簿をチェックし終えたところです。

 これがわたくしの『高校生活』における日常のルーティン。とても清々しい一日の始まりでございます。


 そして、自分のクラスを整えた後は奈緒様の教室へ。

 手早く掃除を済ませ、チラリと見た教室の扉の向こうから聞こえてきたのは、トタトタと階段を登る足音。

 キュッ――と自分の髪を指先で整え、背筋を伸ばして迎えるのは、



「あっ、おはようございます――愛沙さんっ!」



 元気に駆け寄ってくる、我らが吉成美樹様。

 ああ、今朝もよっくんは無防備で、目がくるくるしていて、笑顔が純度100%でございます……。



「おはようございます、美樹様。今日も元気そうで、何よりです」

「えへへ〜、今日はちゃんと宿題出せそうなんだよっ! ちゃんと、奈緒ちゃんと一緒にやったから!」

(……尊い!!!)



 微笑みを保ちつつ、心の中で膝から崩れそうになる衝動を抑えます。

 これはもはや、美術館に飾られるべき『清純系癒し男子』の真髄。合法とか非合法とか、そういう次元ではございません。

 ……吉成美樹美術館とかできないでしょうか?

 チケット100枚、余裕でまとめ買いするんですが。



「それは素晴らしいですね。お嬢様もさぞかし、お喜びになられることでしょう」

「うんっ! 奈緒ちゃんね、ちゃんと教えてくれるんだけど……途中から『わかんないなら、食べちゃおっか♡』って脅してきてこわかったよ」

「…………」


 さすがでございます、お嬢様。

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