邪悪な聖者

第14話

謎のトンネルはとても短かった。

ホーク達はジャスティーレ教国に入国する。

「おい、そこの見慣れない奴等」

誰かがホーク達に声をかけて来た。

(?)

ホークは何とも言えない表情で声の持ち主を見る。

声の持ち主は一人の警察官だった。

「リュック降ろしてくださいな」

シルキィがクロハに言う。

クロハはそっとリュックを地面に降ろした。

するとシルキィはリュックに手を入れる。

「確認してくださいな」

シルキィは警察官に五枚の紙を差し出した。

それは入国許可証で、警察官は一通り目を通すと「失礼した」と紙をシルキィに返すと同時に去って行く。

「それって――」

「本物よ。私はそう望んだ」

「成程ね」

シルキィの言葉にホークは半分呆れた。

シルキィは現在通用する入国許可証をトパーズの前で欲しいと望んだわけで、それで出て来たこの紙が通用しないとなるとトパーズの実力には限界があると見なさなくてはならなくなる。

だが限界とはあるものらしい。

「最近白い髪の女が貴族達に宝石などを売りつけているらしいな。そやつらを私の前に連れて来い。嫌がれば権力を使ってでも捕らえてしまえ」

城に居たセインティア十二世が配下達に言った。

嫌がれば何をされるかわからない配下達はすぐにその言葉に従う。

「意外と早くお迎えがいらっしゃられたみたいですよ、姉様」

複数の警察官んを見つけたミルキィがシルキィ達に言った。

「さぁ、ミイラ取りをミイラにして差し上げましょう」

シルキィがそう言って立ち上がるとトパーズを入れたままのリュックはクロハが素早く手にする。

「国王がお呼びだ。ついて来い。手荒な真似はしたくない」

警察官の一人が言った。

「招かれれば何処にでも参ります」

シルキィは言う。

「皆、連れか?」

「はい」

「では皆も来い」

警察官達は五人を纏めてセインティアの下へと連れて言った。

セインティアは罠を仕掛ける事も無く五人を自分の部屋へと招き入れる。

「初めましてだな。我が名はセインティア十二世。名を聞かせてもらっても良いかな?」

セインティアはステンドグラスの前に立ってそう五人に言った。

「シルキィと申します」

シルキィは笑顔で答える。

「ミルキィと申します」

「フウです」

「クロハと申します」

「ホークだ」

ミルキィやフウ、クロハやホークも素直に名前を答えた。

「良き名だ」

そう言うとセインティアの瞳が不気味な色に光る。

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