短編集
雨森灯水
第1話 真夜中、口ずさむ
時計を見ると、12時をすぎている。外はあまりに静かで、私は世界で1人だけになったのではないかと不安になる。
部屋の電気を消して布団に潜る。窓から射す月光が微かに明るい。それが私を包み込んでくれているみたいで、嬉しかった。もう、寝よう。
その時、通知の音がした。誰かと思って見れば、私の大好きな人だった。きっと向こうはそうじゃないけれど、私の一方的な好意だけど、いつも気にかけてくれている気がする。そんな優しい、愛おしい人。
まだおきてますかー?
「起きてるよー、……」
嬉しさのせいか、思わず口ずさんだ。私の返事にはすぐ既読がついた。
電話したいんですけどいいですか!
「…いいよ!……」
今日の私はダメだな、と笑う。好きな人からの連絡ひとつで、こんなに舞い上がっちゃうんだもの。でもその気持ちもわかってた。こんなに贅沢な真夜中なんてなかったんだもの。
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