第3話
それでも、一般的で、凡人で平凡なわたしでも、少しの夢を見て上京した。
しかし上京したからといって、生活の質が格段にステップアップする訳でもなく、家賃は高いし物価も高いし電車はいつ乗っても満員だし。
わたしはいつまで経っても〝なんとなく〟な人間のままだった。
ただ、帰省した時に友人の口から出る
「こはね、上京したの?」
「いいなあ、東京!」
そんな羨望の言葉を聞くとむず痒くなる気持ちもあり、そのために上京したといっても過言ではなかった。
なんにもないわたしだけど、それでも、自分らしくそれなりの人生を送り、それなりの恋愛経験をしてきた。
わたしは将来、普通の人と結婚して、普通の家庭に入って、普通に子供産んで、普通に、普通に、普通に…………………。
在り来りで何気ない人生を辿るはずだった。
面白みがないから、何事もないはずの人生設計が音を立てずに崩れることは容易なことで
綻びに気づいた頃には、すでにあとの祭りである。
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