第2話
こつり、こつり。
人気の無い廊下を延々と歩く。
数十メートルもすれば終わる筈の其処は、今は何故か真っ黒くぽっかりと口を開けて私を呑み込もうとしているかのようだった。
「おい、ソッチ行ったぞ!」
「ナイスボレー!」
「ねえ、ちょっと待ってよー!」
薄く開けられた窓から、活気の良い声が滑り込んでくる。
放課後独特の雰囲気に唇が僅かに震えた。
「―――
ふと名前を呼ばれて、音も無く振り返る。
「
「今から教室戻るトコ?一緒帰ろ」
「うん、そうだね」
「何?職員室呼び出し?」
「担任にちょっと仕事頼まれちゃって」
「ああ、秀果学級委員だもんなあ」
彼が後頭部の後ろで手を組み陽気に鼻歌など口遊みながら歩く様は、とても眩しい。窓の外から入り込んでくる太陽が照らす猫っ毛、根元から染め上げられた綺麗な茶色が光の粒を弾く。
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