## パート13: ボス(?)攻略戦:三位一体の真価

シャドウモンキーとの激戦を乗り越えた僕たちは、疲労の色は隠せないものの、確かな自信とチームとしての一体感を胸に、洞窟のさらに奥へと進んでいた。ゴビーは壁や天井までも活用した三次元的な索敵でルートを確保し、ぷるなは感知した僅かな異常に対して的確に粘液による対処を行い、僕はその二つの情報を統合して最適な指示を出す。もはや、最初の頃のぎこちなさはどこにもなかった。


いくつかの分岐路や、最後の悪あがきのような小規模な罠を抜け、僕たちはついに洞窟の最深部と思われる場所にたどり着いた。そこは、これまでとは比較にならないほど広大な、ドーム状の空間だった。天井からは鍾乳石が垂れ下がり、壁際には所々に淡く光る鉱石のようなものが見える。そして、広間の中央には、明らかに人工物とわかる古びた石造りの祭壇が鎮座していた。


「……あれか!」

祭壇の上、数か所に分けて、淡い光を放つ手のひらサイズの水晶のようなものが置かれているのが見えた。「昇格の証」に違いない! 僕たちの目標地点だ!


だが、喜びも束の間、僕たちは祭壇の前に立ちはだかる存在に気づき、息を呑んだ。

「……ゴーレム……!」

身長は3メートル近くあるだろうか。苔むした石でできた重厚な鎧を纏い、両腕は巨大な石の槌のようになっている。関節部分が鈍い光を放っており、魔法的な力で動いているようだ。その巨体からは、これまでのどの敵とも比較にならない威圧感が放たれていた。


(こいつが……最後の番人か!)


動きは鈍重そうに見える。だが、あの巨体と石の鎧だ。並大抵の攻撃ではびくともしないだろう。一撃でも食らえば、僕たちはひとたまりもない。

どう攻略する? 僕は冷静にゴーレムを観察する。鎧の隙間、関節部分、そして……胸の中心で、他の部分とは違う、僅かに強い光を放つ円形の石。あれがコアか? 弱点だとすれば、狙うべきはそこだ。だが、どうやって?


(ゴビーの速さで攪乱し、ぷるなの力で動きを封じ、俺があのコアを突く……! これまでの集大成だ!)


僕は深呼吸し、最後の作戦を二人に告げる。

「ゴビー! 頼む、いつものように攪乱! あのデカブツの注意を引きつけてくれ! 狙いは足だ! できるだけ動きを止める!」

「おう! あんなノロマ、ゴビーに任せろ! ゴブ!」

ゴビーは不敵な笑みを浮かべ、戦闘態勢に入る。


「ぷるな! ゴーレムの足元、特に関節部分の地面をドロドロにしてくれ! できるだけ長く、動きを鈍らせるんだ!」

「……うん! わかった!」

ぷるなも恐怖を押し殺し、決意を込めて頷く。


「俺は隙を見て、奴の胸のコアを狙う! 二人とも、絶対に無理はするな! 危なくなったらすぐに退くんだぞ!」

「「わかった!/うん!」」


短い作戦会議を終え、僕たちは同時に動き出した!

「いくぞっ!」


まずゴビーが、矢のようにゴーレムへと駆け出した!

「グオオオォォン!」

ゴーレムは侵入者に気づき、低い唸り声を上げて巨大な石の腕を振り上げる! しかし、ゴビーはその動きを嘲笑うかのように、軽々と巨腕をかいくぐり、ゴーレムの足元へと到達! 壁やゴーレム自身の体の一部を蹴って跳び回り、その注意を完全に引きつける!

「こっちだ、ノロマ! ゴブ!」


「ぷるな、今!」

僕の合図に、ぷるなが集中する。ゴーレムの巨大な石の足元、特に足首や膝にあたる部分の地面が、急速に粘度の高い泥濘へと変化していく!

「グォッ!?」

ゴーレムは足を取られ、ただでさえ鈍い動きがさらに制限される。バランスを崩し、巨体がぐらりと揺れる!


(チャンス!)

僕は短剣を逆手に握りしめ、一気にゴーレムへと肉薄する! 狙うは胸のコア!

ゴーレムは僕の接近に気づき、もう片方の腕で薙ぎ払おうとしてくる! 風を切る凄まじい音!


(速い! だが……!)

僕はゴーレムの巨体と、足元の不安定さから生まれる、ほんの僅かな動きの「溜め」を見切る! 攻撃が来る直前に身を低く屈め、薙ぎ払いを紙一重で回避!


そのままゴーレムの懐へ! コアは目の前だ!

僕は全体重を乗せ、訓練で磨いた体捌きで、短剣をコア目掛けて突き出した!


これまで培ってきた全てを、この一撃に込めて!

三位一体の連携が生み出した、一瞬の好機。僕たちの昇格への意志が、硬い石の守護者を打ち砕かんとしていた。

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