第3話
ところが、予期せぬ急展を遂げた。
昼休み明けの授業が急きょホームルームの時間となった。
女の担任教師が教室にやってきて、皆をあいさつ抜きで座らせると開口一番にいった。
「皆さん。つい先ほどですが、戦争が始まりました」
教室内は、しんと静まり返っていた。
僕はたまらず柊太を見て、そして風歌を見た。
柊太は、長身の身体そのまま姿勢良く座っていたが、その口許を固く結んでいたものの、片方の端をあからさまに歪めていた。
一方の風歌は、心此処にあらずといった様相で、大きな目をぼんやりと開けたまま、微動だにしなかった。
僕は僕で、とっさにミサイルや爆弾が飛んできたわけでもないので、開戦ということが現実味をもって感じ取ることができずにいた。
ゲームや遠い外国の話でしか知らない戦争を肌で感じることなんて、当時はこの国の誰だってたいていは無理だったに違いない。
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