第2話

むかし、おばあちゃんから渡された古い本。




その本には、わたしの事が書かれていた。




わたしの生まれた日から始まり……。


その日1日の内容が、1行ほどの文章で簡潔に綴られている日記。




例えば、




『20○×年、3月31日。生まれる。結菜と命名』


『20××年、4月8日。小学校入学式』




……等など。




初めのうちはおばあちゃんが育児日記のように、わたしのことを書き留めてくれていたんだと嬉しく思った。




……―――けれども。




渡されたあの日、以降の月日にも流暢に書き続けられている文章。


淡々と書かれているそれを見て




『起きたことを書いた日記』




では、ないことに気付かされる。




―――……そこには。




わたしの未来が書いてあったのだ。

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