25.またも訪問者です

 七日目、朝――。


「うりゅりゅ……」


(ん……?)


 微睡まどろむホムラの耳に、ユグハの鳴き声が聞こえる。(二日連続二回目)


(ん、んん……)


 ホムラはゆっくりと覚醒する。(二日連続二回目)


(ん……?)


 仰向けのホムラは、微かな荷重を感じる。(二日連続二回目)


「うりゅりゅ……」


(っ……!)


 気が付くと、

 ユグハがホムラの上に騎乗するように乗っていた。(初登場一回目)

(前回はこっち)すやすやと眠っている葉っぱの少女がほぼ掛け布団状態でホムラに密着していた。


(おっふ……)


 その状況にまずは動揺しつつ、状況把握に努める。


(あれ……? ここベッドじゃん……。昨日は床で寝たはずだが……)


 などと思っていると、


「リュリュン、うりゅりゅー」


「……ん?」


 よく見ると、ユグハは少々、焦った様子で何かをうったえかけていた。


「リュリュン、うりゅりゅー」


「……!」


 ホムラはぴんと来て、周囲を見渡す。そして、確認する。


「ノノンがいない!?」


「うりゅ!」


 そのようであった。


 そうして、ホムラとユグハは慌てて外へ出る。


 外を見渡してもノノンはいなかった。

 家庭菜園がめちゃくちゃ育っているような気もしたが、今はそれどころではない。


「……っ」


(…………元の居場所に帰ったのか……。あ、いや、冷静に考えると、ノノンとは昨日、会ったばかりで…………。しかし、「全力で尽くす、末永くよろしく」とも言っていたよな……)


 ホムラは少なくはない喪失感を感じる。


 そんな落胆するホムラとユグハの様子をノノンは後ろから不思議そうに眺めていた。


「…………ボス? どうしたんです? そんな深刻そうな顔して……」


「あぁ、ノノンが…………って、ノノン!?」


 ホムラは思いがけず、べたな反応をしてしまう。


「えっ!? ノノンどこから?」


「どこってボスのお家ですけど?」


「……!」


(どういうことだ……? さっきまでノノンは部屋にはいなかったはず……。これは…………密室トリック……!?)


 普通にトイレにいただけでした。




「実はあたし、そんなに頻繁に寝なくても大丈夫なんです」


「なんと……」


 その後、ノノンが昨晩のことを話してくれた。


 どうやらノノンはベッドを使うことなく、結局、前夜と同じくホムラとユグハが一つのベッドで寝ていたようだ。床に転がっていたホムラはユグハがつるでベッドに移動したとのこと。ホムラは爆睡しており、起きる気配は全くなかったとのこと。


「そうなのか? 運ばせちゃって悪かったな。ユグハ」


「うりゅ!」


 元気に返事をするユグハ……は……、


(……やっぱりまたちょっと大きくなってる……。+5センチで145センチといったところか……。体つきもまたちょっと女性らしく……)


 華奢きゃしゃなのは変わりないが、胸も大きくはないが小さくはないくらい膨らんでおり、服のサイズは変わっていないので、いろいろと際どい。ホムラはひそかに服のサイズアップを決意する。


(本当にどんどん大きくなるな……。このままじゃ、やはり巨神兵みたいに……)


 と、ホムラは昨日と同じ懸念をする。

 が、実際のところそれは杞憂きゆうであり、ユグハの成長は一旦、このサイズでストップするのであった。


(うむ……それはそれとして……)


 ホムラは先ほどから非常に気になっていることがあった。

 先ほどはノノンがいなくなったと思って、やむなくスルーしたもの。


 家庭菜園がめちゃくちゃ育っている。


 ホムラの足は自然と家庭菜園へと向かっていく。

 と、ユグハとノノンもついてくる。


「え……? すごくないか……?」


 植えたのは昨日だ。

 しかし、今時点ですでに20センチくらいまで育っていた。


「異世界の植物ってみんなこんなものなのか?」


 ホムラは誰とはなくそんな疑問を投げかける。

 と、ノノンが答えてくれる。


「いえ、そんなことはないですよ」


「え……? じゃあ、どうしてこんなに……」


「それは、ユ……」


「うりゅー!(待って!)」


「ん……?」


「うりゅりゅりゅ……りゅ?(ちょっと恥ずかしいから……ね?)」


(……?)


 ホムラには、なぜかよくわからなかったが、ノノンは口をつぐんだ。


(……よくはわからないけど、家庭菜園の成長、楽しみだなぁ)


 とホムラは深く考えない。

 ホムラは基本的にはわりと楽観的な人間である。


「さてと……」


(日課のトイレ掃除でもするか……)


 と、ホムラは家に戻ろうとする。


 と、


「ボス、ちょっと待ってください!」


「ん……?」


「今からどこへ?」


「え? トイレだけど……。掃除しに……」


「だめ……!」


「え……?」


「あたしが、あたしがやりますっ! やらせてくださいッ! 好きなんですッ! トイレ掃除がッ!」


 そう言うと、ノノンはホムラの返事を待たずして、ぴゅーっとトイレに行ってしまった。


(……トイレ掃除が好きな人なんているんだなぁ)


 ホムラはそんなことを思いつつ、それならと朝食の準備をすることにする。




「ごちそうさまでした!」


 三人は朝食を終える。

 朝から豪華にブヒルンの燻製で、パワーを蓄えた。


 それじゃあ、そろそろ本日の作業を始めようかという時であった。


(……!)


 ホムラはビビっと来る。

 空煌のブレスレットの加護〝空間感知上昇〟が発動したのだ。


「……ユグハ、ノノン、気を付けて。囲まれてる」


「ほぇ……?」「うりゅ?」


 二人も身構える。


 気配は徐々に近づいてくる。


「来るぞ……!」


 すると、森の中から複数の獣が姿を現す。


「あ、あれは……モフォル!?」


 と、ノノン。


(……モフォル?)


 それは大きさは大型犬くらい。

 犬とも猫とも異なる四足歩行の獣であった。


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