第7話 勘違いもほどほどに。

「悠くんとりあえず中入ってて!この人と話するから。」


「香奈ちゃん大丈夫?」


「大丈夫。大丈夫。」


−玄関のドアを閉める音。−

「柳先輩、酔ってますよね?なんなんですか。私だって

先約あるんですから。」


「今ので、酒抜けたよ。」

「てか、あれ。誰?」


「いいじゃないですか。誰でも。詮索しないでください。」


「別に・・・聞ただけ。」


「もういいですか。」

「今日は、先約あるんで帰ってください。」


ドアを開けようとした瞬間。

ガサッ。バサッ。

柳さんの腕が私を包み込んだ。

私の体は、すっぽりと覆われてしまった。

先輩、すごいドキドキしてる。心臓の鼓動が早い。


「ごめんな。」

「この間から、お前のこと避けてた。」

「映画館でのこと。ちょっとショックで・・・。」

「お前のこと気になってたし。てか最近好きだって気づいたし。」

「でも、俺のこと嫌いなのかなとか思うと、勝手に避けてた。」

「お前、彼氏いたんだな。ごめんこんなことして。」

「どうしても、伝えたかった。」

「悪い、帰るな。」


先輩の手が私の体から離れ、私に背を向けて歩こうとしていた。


「先輩、私彼氏なんていません。」


「え?」


「悠くんは、私の従兄弟です。」

「勝手に勘違いして、勝手に帰ろうとしないでください。」

「私だってずっとモヤモヤしてたんですよ。」

「先輩私のこと避けてるし、使い捨てみたいな感じで気分悪いです。」

「でも、私も先輩のこと好きです。」


先輩は、駆け寄ってきて私を大きな腕で包み込んだ。

酒臭い匂いと、あたたかな体温を感じた。

先輩の顔が近づいてきて唇が重なった。


「でも、今日は悠くんがいるので帰ってください。」


「綾瀬・・・。俺さもう終電ない・・・。あはは」


「っち。またですか。ちょっと待っててください。」


−ドアが閉まる音。−

心臓が爆発する・・・。ドキドキがおさまらない。

私顔赤くないかなぁ。


「香奈ちゃん大丈夫だった?」

「あれ彼氏?」


「うん。好きなひと。笑」

「まだ、正式には付き合ってないけど。彼氏みたいなもんかな!」

「悠くん、ごめん。あの人、終電なくて今日泊めてもいいかなぁ?」


「え!全然いいけど。僕邪魔じゃないかなぁ?」


「全然大丈夫。あの人は、ソファーで寝てもらうから。」

悠くんがいてくれた方が絶対にいい!!



−ドアを再び開ける音。−


「柳先輩。悠くんに了承えたのでどうぞ〜。」


「すみません。お邪魔します。」


「悠くん、こちら柳先輩。大学時代からの付き合いで、今も会社の先輩なの。」


「初めまして。先ほどは、変人扱いしてすみませんでした。」


「こちらこそ、勘違いしてすみませんでした。」


「はいはい、そこまで!」

「柳先輩もさっさとお風呂入ってくださいね!はい、タオル。」

「今日は、ソファーで寝てくださいね。先約が先なので・・・。」


「はい!承知しました。ありがとうございます。」


その後、悠くんとさっき買ってきたアイスを一緒に食べた。

悠くんに根掘り、葉掘り先輩について聞かれた・・・。

気をつかってリビングを後にした。



−シャワー後−

「あっつ〜!!酔い冷めた〜〜。」

我にかえると綾瀬が眩しく見える・・・。

そしてっっ可愛い。


「綾瀬。明日デート行かね?」


「えっ。いきなり。まぁいいですよ。」


「決まりな!!」

あいつ、めっちゃツンデレだよな。



そんなこんなで、柳先輩との冷戦期間は終わった。


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