8:買い物に行こう
私と亜美は今事務所から近い、家電量販店に来ています。何故来ているのかと言うと、先程の配信で私が事務所のコントローラーを破壊してしまったが故にその弁償をするためです。本当は私だけでも良かったのですが、亜美が「アリスと一緒に買い物に行きたい」などと言うものですから、一緒に来た次第です。
それにしてもさっきから視線が気になりますね。
「アリスちゃん、顔とか隠してても割と綺麗だから視線を集めちゃうね」
「そういうものなんですか?」
「そうだねー。なんて言うか、二次元の女の子がそのまま現実に出てきた感じだからどうしても目立つものがあるよね」
「なるほど…」
「それにここら辺は元々オタクとかが集まりやすい場所だからね。余計に目立つよ」
別に目立ちたくなんてないんですけどね…。それにこういうのは必ず面倒なことがおk「もしかしてアリスちゃん!?」……りましたね。
一人の男性が大声で私の元にやって来ました。そのおかげで周りもザワつき始めてしましました。正直に言うと今すぐここから離れたいのですが、亜美がいる手前でそういう事は出来ません。
私は別に後からどうとでもなるので良いのですが、亜美に何かあった場合、最悪ライブプラネットとコラボができなくなる可能性があります。なのでここはどうにか穏便に済ませたいのですが……。
「やっぱり!近くで見ればわかるよ。キミがあのアリスちゃんなんだね!ずっとファンでした!!」
「すみませんが、私は別人ですよ。声とかが違うでしょう?」
「いいや!アリスちゃんは声を自在に変えることが出来るからね。その程度では誤魔化せないよ!!」
「ですから…私はアリスではないと……」
面倒ですね。私が声を変えられる事は配信で言ってしまっているので、知ってる人には通じません。それでもゴリ押ししようとも思いましたが、こういう方相手では無理ですね。
亜美の方を見てら、彼女はすっかり相手に怯えてしまっています。早くしないともっと面倒ですね。仕方ありません……。
「亜美失礼しますね」
「…へ?」
私は亜美をお姫様抱っこした状態にすると
「舌を噛まないように気をつけてくださいね」
「え?……ええええええええええええええ!?」
亜美を担いだ状態で全速力で走りました。
話しかけて来た男性も、周りのお客も呆然としていますがそんな事は知ったことではありません。
店内でお客の合間を縫って店内から出て暫く走ると公園を見つけたのでそこで止まって亜美を降ろします。
「怪我はありませんでしたか?」
「う…うん、大丈夫」
大丈夫だと言っていますが、亜美の顔は赤くなっており微かにですが呼吸の乱れや脈拍の乱れが見られます。
「本当に大丈夫ですか?亜美の脈拍や呼吸に若干の乱れが感じられますが…」
「ほ、本当に大丈夫だから!あ、あんな経験初めてだったし……。まさか女の子にお姫様抱っこされて逃走劇を繰り広げるなんて……」
「すいません、面倒なことになる前に退散する方が早かったものですから…」
「別に怒ってるわけじゃないよ!だたびっくりしたってだけだから…」
本人がここまで大丈夫だと言っているので追求するのはやめておきましょう。これ以上やっても亜美との関係が拗れるだけなので…。
「これからどうしますか?走った時間は長くないですが、結構は早く走ったのでそれなりに遠くに来てますよ」
「そ、そうだね。この辺にも確か家電量販店があったから行こ!」
「少し待ってください。このままではまた私がアリスだと聞かれるだけなので少し対策していきましょう」
「対策って?」
「亜美さん、申し訳ありませんが近くのなんでも売ってる某激安店に行ってウィッグを買って来てもらいませんか?お金に関してはレシートを出してくれれば、後ほど請求するので」
「いいよ。それにウィッグのお代はいらないよ。さっき助けて貰ったからそのお礼」
「しかし…」
「いいの私が払うって言ってるんだから。ここは素直に先輩Vtuberに奢られて欲しいな」
「わかりました。ではお願いしますね」
「うん!」
亜美さんは元気な笑顔を見せると小走りで行って来てくれました。二十分ほどしたら亜美さんがビニール袋の中に入っているウィッグを渡してくれました。それだけではなく、亜美さんはウィッグキャップとカラーコンタクトも買って来てくれました。本当にありがたいですね。
私は水色の髪の毛をしまうためにウィッグキャップをつけて、黒色のショートヘアにします。その次に持って来ていた帽子を被り、最後にカラコンを付ければ終了です。
「どうですか?」
「すごいよ!本当に別人って感じがするもん!!」
「ありがとうございます」
「声も違うからこれなら大丈夫だね」
私は亜美の言葉に頷くと、嬉しそうに歩き始めました。私も隣を歩き二人で雑談をしながら、さっきとは別の家電量販店へと着きました。
「今度は大丈夫みたいだね」
「ええ、早く目的のものを買いましょうか」
「うん!さてと…ゲームのコントローラーは…」
亜美は家電量販店の中を周り始めたので私も彼女について行くように歩きます。それにしてもここら辺は色々ありますね。ですがマスターの家に比べるとどれも見劣りしてしまいますね。
「あった、これだね。今日壊れたゲームコントローラーは」
「無事に見つかって良かったです。それと個人的に買いたいものがあるんですがよろしいですか?」
「何?」
「私、今日の配信ですっかりゲームにハマってしまったので折角なので買っていこうと思います」
「お!遂にアリスちゃんが正式にゲーム配信を!?」
「声が大きいですよ」
「ごめんごめん…それで、なんのゲーム機を買うの、ゲーム機って言っても結構たくさんあるんだよ?」
「さっきやっていた星のピンク玉が出来るゲーム機を買おうと思います」
「他のはいいの?」
「今は欲しいと思わないので、それにPCゲームとかに関して言えばマスターに頼んで作って貰った方がお店で買うよりいいスペックのが出来るので」
「流石AI技術の最先端を行く人物……。なら決まりだね。アリスちゃんのソロゲーム配信楽しみにしてるね」
「ええ、楽しみにしておいてください」
目的のものを買った私は亜美を事務所まで送りました。本人は遠慮していたのですが先程あった事を会社に報告と謝罪をしなければならないと思い、無理を通しました。事務所に戻り社長に事を話すと笑顔で「キミは悪くないよ。むしろ大切なライバーを守ってくれてありがとう」と言われました。
あとは亜美にコントローラーを渡して、事務所を出ていきました。
帰りの電車で私は今日あった事を振り返ると色々な事があったと思います。初めてのオフコラボで外に出た感動、初めて電車に乗って窓から見た景色、亜美とのゲームオフコラボで気付いたゲームの楽しさ…本当に色々なことがありましたね。今日は帰ったらマスターに何から話しましょうか。そう考えただけでも私は楽しさが止まりませんでした。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
今回は結構短めになってしまいましたが、次回からはいつも通りの長さくらいになると思います。
それと前回多くの方のフォローや星評価が来てくださりとても感謝しております!これからも頑張っていこうと思うので是非フォローや応援、星評価などお願いします。
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