第3話:高所恐怖症。

北斗君はジェットコースターとかってのに乗って嬉しそうにはしゃいでたけど、

私は降りてから吐きそうだった。


すぐに遊園地のベンチに座り込んでヒーヒー言ってた。


「ごめん、ちょっと休ませて・・・」


「・・・?どうしたの?、ああ言うの苦手?」


「暗いとこと狭いとこと高いとこはダメなの、私」


(恐怖のあまり、もとの姿に戻りそうになっちゃったじゃない)

(あぶな~)


「じゃあ、休んでて・・・」

「俺、飲み物買って来るよ・・レイラはなにがいい?


「お任せします」


「じゃ〜ちょっと待ってな」


(どうしよう・・・たった、これだけの時間なのに、北斗君のこと 好きに

なっちゃいそう )

(私は異星人なんだから、それだけは避けないとね )


(もし、そんなことになったら、異種格闘技だもんね)

(まあ・・・でもいっか、夕方までの辛抱だし)

(それにしても、いつまで、私は地球にいるんだろ)


(ここまで借金とり追いかけて来ないかな )


(って言うか、北斗君が私のこと気に入っちゃって本格的にに付き合ってって

言われたらどうしよう・・・ )

(あ、それはちょっとうぬぼれかな)


(早いうちに、取り返しがつかなくなる前に私が異星人だってことバラそう)

(そうだよね、そのほうがいいかも・・・)

(そうしよう)


そんな妄想を膨らませていたら、北斗君が飲み物を買って 帰ってきた。


「おまたせ・・・はいこれ」


私は地球の飲み物をクチするのは初めてだった。

消毒もしてないような露天の飲み物なんか飲んでウイルスに感染しちゃ

いけないってお母さんに言われてたから・・・。


おそるおそる、その飲み物をクチにした。


「お〜めっちゃ美味しい・・・なにこれ? 」


「気に入った?」


「それただのフルーツジュースだよ」


「フルーツジュース?ですか・・・」


「フルーツジュースで感激なんかして、ほんとに変な子だな」


「あとさ、何個か乗ってから、カラオケに行こうよ」

「つぎはあれ、観覧車」


北斗君が指差した場所を見て私はビビってめまいがした。

派手なイルミネーションがピカピカしてて、でっかい輪っかに、 小さな箱が何個も

ぶら下がっていてそれがぐるぐる回っていた。


「無理・・・ムリです」


「あれもダメなの?」


「暗いとこと狭いとこと高いとこはダメって言ったでしょ」


「じゃあ、しかたない」


観覧車とやらを諦めた私たちは、そのあとメリーゴーランドってのと

コーヒーカップってのとカートってのに乗った。


「楽しかった・・・」


「あのさ、このあとカラオケに行かない?」


「カラオケ?・・・ってなに?」


「なに?・・・カラオケも知らないの?」


「ごめんなさい・・・」


「謝らなくってもいいけど・・・カラオケ知らないって・・・どうよ」

「君、隔離されて育ったの?」


「そうじゃないけど、地球のことを、あまり知らないだけ・・・」


「はあ?」


「あ、じゃなくて、俗世間から離れた田舎で生活してたから」


「田舎にだってカラオケくらいあるだろ?」


「ない・・・そういうのはなかった、と思うんだけど・・・」


(どうしたらいいのよ・・・誰か助けて〜)


「なんかさ・・・君って変わってるけど、俺、君のこと好きになってるかも・・・」


(まじで?・・・いけない方向に向かってる気がするんだけど・・・)


「なんつう〜かさ、君は俺のこと特別扱いしないし・・・」

「俺もライラといると新鮮って言うか・・・ほんとの自分が出せそうな気がする」


つづく。

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