もうひとつの恋
恋の駆け引き
第1話
「で、今からどうする?」
ざわつく店内。
昔のR&Bに混じるトモの声に「そうね」と呟いてみる。
気になっていたのは二人の状況で、その二人が帰ってしまった今、ここにいる理由なんて――。
「俺と飲みなおす、なんてどう?」
屈託の無い笑顔。
チャライ外見にこの人懐っこさで今まで何人の女を口説いたんだろう?
そんなことを思いながらゆいはにっこり笑った。
「もう帰るわ、なんかテンション下がったし、『お友達』に囲まれたら最悪だし」
「あはは、無いって。俺はあいつみたいに節操なしじゃないから」
なんて笑うけど、その差を見つけられないゆいは小さく息を吐く。
「噂では大差なかったけど?」
「噂は噂。前にも教えてあげたでしょ?」
尾びれ胸びれが――。
確かに彼はそう言ったけど、
「その噂は振った彼女から?」
「・・・・・・鋭いね」
トモはそう言って苦笑すると、手に持ったスミノフを口にする。
それから、少し考えてその顔から笑みを消すと濡れた唇で言葉を紡ぐ。
「やっぱり、ヒロキのこと好きだったりする?」
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