第22話 ファミリーラヴァーにときめいちゃう

※作者だいたい四段(成人済み)


 茶帯の小学生と、白帯の男性がフィールドに出ている。緊張した面持ちでいる。特に男性の方が。

 大会の演武の中に『親子の部』というものがある。字面の通り、親子で組を作って演武を行う、というもの。

 あの男性は、小学生のパパさんなのだろう。しかも、子供が始めた後から、自身の少林寺拳法を始めた方なのだろう。子供の方が、先輩なのだろう。 


「……」


 熟練度も違い、身長差もあって、良い演武をしている、とは言えない。

 突きだって、蹴りだって、全然相手に届いてないし、全然急所に当たってない。

 全然、なってない。

 でも――


「素敵ですね。親子演武」

「そうだねえ。子供にとっても、親にとっても、いい経験だろうねえ」


 一緒に親子演武を眺めていた方も、同意してくれた。

 拙い演武だったとしても、一生懸命頑張った、親子の、家族の力だ。愛だ。

 微笑ましい、と一言で片づけてしまうには、もったいないと感じてしまう。

 

「……ふふ」


 口の中が、なんだか一切れのハニーレモンをかじったような感覚になる。

 酸っぱさにきゅぅってなって、でも甘みがあるから味わえ続けられる。

 うん。素敵だ。 


――


「あ。うちの道院の親子演武組これからですね」

「ほんとだ。どっちも黒帯組の」

「今年でお子さんが中3生だから最後の親子演武チャンスって言ってましたよね、お父さんの方が」

「そうだったね――」


「……お子さん今すんごい勢いでお父さんぶん投げましたね」

「それなのにすぐ立ち上がってるアラフィフお父さんマジヤバイね」


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