第8話 チビ故ではない

 六尺。

 約180cm。


「身長が、こんだけあったら、便利なんだろうなぁ」


 右手に持った、六尺棒の先端を見上げながら、私は小さくため息をつく。

 まっすぐな木製の棒。

 遠近法のせいなのか、天井に先端がくっついているように見える。

 遠い存在みたい。


「……ふむ」


 ただ、右手に感じる六尺棒の堅さと重さ、木製の感触が、遠いはずのモノが、自分の掌中にあることを分からせる。

 私が屈服させているようで、とても、ぞわつく。


「……ふん」


 天井に向けていた先端を、床の方へ落とす。

 右脚を後ろへ動かしながら、空いている左手で先端をキャッチする。

 小さくパシッと音が聞こえるより早く、左手が棒を握っていることを感じて、気持ちが高ぶる。


「――せっ!」


 高ぶりと共に、私は六尺棒を突いて、振り回す。


――――


「なんで自分で振り回してたのに、自分の後頭部に棒の先端ぶつけるの?」

「……玩ばれました、体を」

「はは。言い方ー」

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