『勇者を育てる学校の教師に転生した件 〜俺のクラスが世界を救うらしい〜』

沢田美

第1話 プロローグ

 世界には“選ばれし者”がいる。

光の加護を受け、炎を纏い、空を飛び、剣を振るう、そういう英雄たちだ。

彼らは神に祝福され、特別な力を得て、この世界を導いていく。


 ……で、そんな連中が集まる学校が――王立アストリア学園。


 そしてその最底辺にあるのが、俺の担任する“特別クラス”だ。

 勇者候補の落ちこぼれ、魔法すらまともに撃てない不良、何かしらワケありの問題児ばかり。

 しかも、教師として派遣された俺自身……“魔力ゼロ”の無能力者。


 だが、俺は知っている。

 この世界の魔法理論、戦術、歴史、さらにはこの学園が隠している“真実”さえも。


 なぜなら俺は、かつて――この世界を終わらせかけた“破壊の勇者”だったからだ。


「さて、生徒諸君。今日の授業は――“この腐った世界の壊し方”についてだ」


 教室のドアを開けると、椅子に寝そべる天才少女がガムを噛んでいた。

 窓際には、やけに雰囲気のある赤い瞳の美少女がひとり。あの魔力、魔王クラスだな。

教卓の前では、筋肉バカがスクワット中。学ぶ姿勢ゼロ。

 そして、俺の姿を見て尻尾を振る魔族の少女。……犬か、お前は。


 ――ああ、やれやれ。これは手間のかかるクラスだ。

 でもまぁ、大丈夫。生徒がどうしようもなくても、教師が最強なら、教育は成立する。


「世界を救うなんて話はよ、卒業してからでいい。まずは、出席とれ。な?」


 今日もまた、地味に派手な授業が始まる――。

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