第12話

亜沙美は、その後本格的に酔いだして




「あんな、ヤツのせいでっ、咲羅がぁ二度と恋愛できないなんて腹立ってたの〜、だからぁ、好きな人ができたって聞いた時、嬉しかったっ、グスッ、」



「亜沙美?ありがとう。私もたった一回の失恋でもう恋しないなんてバカみたいだって今は思ってるから」



「そうよっ、紹介して貰うの待ってうからねっ」




酔った亜沙美の事はお兄さんが友達と共に迎えに来てくれた。





その夜、寝る前に久しぶりに崇との事を思い出した。

崇との事は私の中でもう風化している。

あの頃は毎日がツラくて、私はどうすれば良かったんだろうって考えてばかりだった。

崇と付き合っていた時、私はずっと受け身だったように思える。

付き合い始めるのも、どこかに行くのもほとんど崇が言うがままに流されていた自分がいた。

そんな寄りかかったままの私に崇は疲れてしまったのかもしれない。




今度はゆっくりと自分の思いに向き合って、自立した対等な人間として付き合っていけるような恋愛がしたい。

冷静にと思いつつ、心は柾木さんに会いたいと思う気持ちでいっぱいで、早く来週にならないかなと思いながら眠りについた。

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