第1章

第2話





今日は5月にしては気温も高くなってきたから、アイスラテを頼んだ。私はそこにガムシロを少し入れて、かき混ぜて喉を潤す。

この一杯が今日の疲れを癒してくれる。

最近は仕事終わりのお酒より、この一杯が私の何よりの至福だ。




「(んー、美味しいー)」




海沿いの国道を一本入った通りにある、客席が20席ほどのカフェ、そこに通いだしてもうすぐ一年になる。

メニューはコーヒーとエスプレッソ、それと3種類ほどのスイーツ。

店内もこだわりが感じられるテーブルとイス、そしてコーヒーカップ。

けれど、どれも温かみが感じられて居心地が良い。




私がこのお店、Un capriccio を見つけたのは偶然だった。

一年前のある日、仕事で会社のある都内から約一時間の所の出先にいた私はそのまま直帰する予定だった。

その日は朝から曇天で気分も晴れなかった。

そんな日に初めての仕事で全然上手くいかなくて、なんだかいつもより足取りも重かった。




そうして駅まで歩いていると、どこからかコーヒーのいい香りが漂ってきた。

辺りを見渡すと一軒のお店があった。




「(わ、おしゃれなカフェ、お店の名前は…アンカプリ…?なんて読むんだろ?)」

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