第7話 お見合い
「しかしアイン殿下も本当に立派になられましたな!まだ幼く可愛かった殿下が懐かしいですぞ」
「ははは…ギューティヒ公爵はお変わりないようで」
『父が申し訳ありません…』
迎えた見合いの席。城内の応接室に当たる部屋を借り、僕とメアそしてギューティヒ公爵とフェリーチェ嬢が向かい合っている。
ギューティヒ公爵は良くも悪くも豪胆な性格で裏表が無い。暑苦しい所は少しばかり苦手だが、決して嫌いな人物ではない。
「殿下、今回は唐突なお話となり申し訳ありませんでした。ただフェリーチェが自分からどうしても、とお願いしてくるものでしたからダメ元で手紙を送った次第だったのです」
『お、お父様!』
「え?今回のお見合いは公爵から出た話ではないのですか?」
「勿論ツヴァイ殿下との婚約が破談になった後に考えはしましたが…。色々とあった後のフェリーチェの心情を慮りました。ところがフェリーチェからアイン殿下との見合いの席を設けて欲しいと言われ、本日に至ったわけです」
「な、なるほど…これは想定外だ」
「ふふっ、後は若い者同士で話してくだされ。メア殿もごゆっくりと」
『ご配慮感謝致します』
「公爵、また後ほど」
そう言ってギューティヒ公爵は席を外し、僕たち3人が残される。
「さて…てっきり公爵からの打診でこの席が設けられたと思っていたんだけど、フェリーチェ嬢からだったんだね?」
『は、はい…突然のお話でアインシュトラール殿下もメアウス様にもご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありません…。それと婚約破棄を申し伝えられた時、助けていただいて本当にありがとうございました』
『私は大丈夫ですから、気にしないでください』
「迷惑だなんて事はないし、無実の女性が傷つけられるのを見過ごせる性格でもないからね。でも今回の見合いの理由は聞かせてもらえるかな?」
『も、勿論です!理由については全部で3つあります。一つ目の理由は、私がこれまでメアウス様と一緒に王妃教育を受けてきたからです。他の方が側妃になるよりも政務や外交も含めてお役に立てるからです』
「なるほど…でもそれは王妃以外でも役立ててもらう事は出来ると思うよ。公爵領内でも活用は出来そうだし」
『うぅ…ふ、二つ目の理由なんですが、恥ずかしながら先日の式典でツヴァイ殿下に強く言った事で一部男性から引かれてしまったようで…。お見舞いに来ていただいた友人たちからそのような評判が出回っているという噂を耳にしました…』
「あ、あー…それは確かに煽った僕にも責任はあるかもしれない💦貴族の子息は大概、女性に強く言われるのを毛嫌いするよね…僕の配慮が足りてなかったよ…」
『い、いえ!私が今後思い悩まないようにと気遣ってくださったのは重々理解しております。実際、あの啖呵を切った事で本当にスッキリしたんです。ただ、新しい婚約相手を見つけるのに難儀しそうなのは事実でして…』
「わ、分かったよ…それで3つ目の理由は?」
『アイン殿下に惚れました』
「へぇ、そうなん…え?僕に惚れた?」
『…はい!あんな風に颯爽と助けられたら好きになるに決まってるじゃないですか⁈2人を完膚なきまで論破するお姿は今でも目に焼き付いております…』
「メア…フェリーチェ嬢ってこんな感じだったっけ…?」
『王妃教育で一緒に居た時は殿下の思うような真面目な方でしたが、2人でお茶をしたりした時はこんな感じでしたね』
「そ、そうだったんだ…意外というかなんというか…」
『私、あの日から寝ても覚めてもアイン殿下のお顔が頭から離れなくて…。お慕い申し上げております!顔だけの弟君ではなく、殿下にこの身も心も捧げたいのです…!』
フェリーチェ嬢からの圧が凄い…最初から断ろうとしていた事も含めて罪悪感は感じるけど💦どうしたものかと思い悩みながら、ふとメアの方を見る。
『殿下…よろしければフェリーチェ様の申し出に対して、断る前提で考えずにご自身のお気持ちに沿って考えていただけないでしょうか…?』
「えっ?てっきりメアは側妃を迎えるのに反対かと思ってたよ」
『出来る事なら私もアイン殿下の寵愛を独り占めしたいですが…フェリーチェ様であれば、私は側妃を迎える事に反対致しません。これから様々な事に対応するに当たって、出来うる限り信頼出来る人や戦力が必要だからです』
「フェリーチェ嬢自身と公爵家も味方に付けれるって事だね?」
『はい。公爵閣下は武勇に優れ、特に軍の統率力では群を抜いており兵も精強。有事においては喉から手が出るほど欲しい戦力です』
「メアの考えは分かったよ。僕も真剣に考えよう…フェリーチェ嬢、最後に一つ質問だ」
『はい、何でもお答え致します!』
「いや無理な事は答えなくてもいいんだけど…貴方の持つギフトを差し支えなければ教えて欲しいんだ」
『はい…私は“内政特化”と“遠隔情報制御”という二つのギフトを所持しています』
「なんだって⁈もっと詳しく!」
『は、はい!内政特化は外交能力が下がってしまう代わりに内政において優れた力を発揮しむす。遠隔情報制御のギフトは私が定めた数人程度の相手なら、離れた相手に対して言葉のやり取りを交わす事が可能です』
「なんてことだ…こんな逸材がこの国に居たなんて」
結果、僕はフェリーチェ嬢を側妃として婚約者に迎える事にした。父上と公爵閣下に報告すると物凄く喜ばれた。
彼女には僕の婚約者兼秘書官として内政を担当してもらおうと思っている。こうなってしまったからには前向きに捉えていかないと…。
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