第3話

「どうせなら、一人モン同士楽しく過ごそうぜ」



相変わらず軽い口調で、嘘か本気かも分からないようなそんなセリフを向けて来る和真に、果歩は冷めた視線を向けた。



「お断りよ」


「帰って来ない奴に、義理立てする必要ないだろ」


「そういう訳じゃない」



義理立てする、とかそう言う問題じゃない。


隼人と一緒に過ごせないからといって、別の男性と過ごすなんて問題外だ。



例え彼が知る事はなくても、傍にいないからこそ、果歩は彼の信頼を裏切るような事をしたくはなかった。



些細な事の積み重ねが、遠距離というすれ違いのひずみを大きくするという事は、分かり切っているのだ。



「下心で言ってる訳じゃないから、深読みすんなって。お互い一人でいるより、二人で過ごす方がむなしくないだろ、ってこと」


「あのね。私を誘う前に、別の人でも誘いなさいよ。そもそも和真、あなた上司の娘とどうのって、どうなった訳?」



かつてこの男と付き合っていた事のある果歩は、よりを戻したいと言われた時にそんな話をされたことを思い出していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る