第187話

「でも、食事で家族をサポートするのが当然だったように、自分では何かができなくても、誰かの力になるような、誰かをサポートするようなそんな仕事がしてみたかったんです」

「そう、か」


「誰だって何かを成し遂げる時に、たった一人ではできない事も多いでしょう? 陰でサポートする人がいると思うんです。自分に大きな目標がなくても、そんな目標を持っている誰かにとって、ほんの少しでも支えになれたらって」


「ああ」


「そうしたら、自分の力では決して見られない世界を見る事ができるかもしれない。誰かの夢を、一緒に見る事ができるかもしれない。独りよがりかもしれませんけど、そんな気持ちで秘書をしてみたいって思いました」



いつもは職場でも強い自己主張をしない彼女が、はっきりと凛とした様子でそう告げる様子に、朝陽は少しの間魅入られていた。



「それを、あいつに話した?」

「あいつ?」


「悠真」


「ええ、もちろん。もしかしたら、こんな理由では採用されないかもしれないって思いましたけど。さっきの社長のように聞かれて、正直に答えました」


はにかむように微笑む柚季だったけれど。



朝陽は。


やっと今になって。


悠真が彼女を採用した理由が分かった気がした。

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