Chapter13 「2人のアサシン 探り合い」
Chapter13 「2人のアサシン 探り合い」
土曜日の10:00、米子と如月カンナは警視庁本部庁舎の会議室で引き合わされた。
「沢村米子、18歳です。よろしくお願いします」
「如月カンナ。歳は23歳だ。お前のレポートは読んだ。よろしく頼む」
「早速だが任務に向けて準備をしてくれ。必要な物があったら言ってくれ。内情ほどではないがある程度の武器も用意できる。赤い連隊の会合の詳細については如月君に渡してある」
神崎が言った。
「まずは作戦を立てます、時間を下さい」
米子が言った。
「沢村君、如月君とはきちんとコミュニケーションを取って進めるんだぞ」
顔合わせは終了し、米子とカンナは警視庁本部庁舎を一緒に出た。
「お互いを知るためにどっかでお茶でも飲んで話しましょう。お昼ご飯食べませんか?」
米子は少し緊張しながらも明るく言った。
「私は構わないがまだ日本に来てまだ1ヵ月だ。地理がよくわからん」
「じゃあファミレスでもいいですか?」
「お前に任せる」
米子とカンナは霞が関で丸ノ内線に乗って新宿3丁目で降りるとファミリーレストラン『ゴスト』に入った。
「いらっしゃいませ。ご注文が決まりましたらお呼び下さい」
店員が笑顔で言うとテーブルにお絞りを置いて去って行った。
「私の経歴は書類を読んで知ってますよね?」
米子が訊いた。自分から会話のきっかけを作るのは得意ではないが、今は仕方が無いと思った。いつも会話のきっかけを作ってくれるミントの存在が有難いと思った。
「ああ、知ってる。私の事は知ってるか?」
「あまりよく知りませんが、簡単なプロフィールは見ました。北朝鮮の工作員ですよね。なんで名前を如月カンナにしたんですか?」
「2月生まれだからだ。カンナは上が提示した5つの候補の中から選んだ。書きやすいし発音しやすいからだ。お前も工作員だろ」
「そうです。表向きは高校生です。工作員なのは国家機密なんです」
「それも知ってる。お前の経歴を読んだ。いろいろ大変だな」
「日本には慣れましたか?」
「まだだ。あまりにも祖国と違い過ぎる」
「でも日本語が上手ですね」
「スパイ養成所で習った。それと敬語は使わなくていい。お前の事は米子と呼ぶ。私の事はカンナと呼べ」
「でもあなたは歳上です」
「かまわない。日本語は難しい。敬語はやめろ」
「わかりました。何か注文しましょう」
米子はメニューをカンナに渡した。カンナはメニューをじっくり見ていた。しばらくすると米子は店員を呼んだ。
「ビーフシチューセットにドリンクバーでお願いします。カンナさんは?」
「なんでもいい、お前に任せる」
「じゃあカンナさんのはチーズハンバーグセットにするね。人気のあるメニューだから気に入ると思うよう」
「そうか。それは楽しみだな。それと『カンナさん』と言うのもやめろ。『カンナ』でいい。上下関係ができると面倒だ。私とお前は対等な関係だ」
店員は少し驚いた顔をしたが注文を復唱すると去って行った。
「飲み物取りに行こうよ」
「システムがよくわからん」
「じゃあ一緒に行こう」
米子はカンナを連れてドリンクコーナーに行った。
「好きなのを選んでグラスに入れればいいんだよ。コーヒーを飲みたかったらカップもあるから」
米子はグラスに氷を入れるとオレンジジュースをグラスに注いだ。
「種類が沢山あるんだな」
「飲み放題だよ」
「何?! これが飲み放題なのか?!」
カンナが大きな声で言った。
「そうだよ。グラスを飲み切ったらおかわりで違う種類も飲めるよ」
「凄いシステムだな。おおっ! コーラがあるじゃなか!」
カンナはさらに大きな声で言うと慌ただしくグラスに氷を入れるてコーラーを注いだ。
「美味いな。氷を入れたコーラが飲み放題なんて信じられない」
カンナはストローで美味しそうにコーラを飲んだ。
「北朝鮮にもコーラはあるんでしょ?」
「都市部にはあるが非常に高価で庶民は滅多に飲めない。スパイ養成所で3回ほど飲んだ事がある。忘れられない味だ。村では見た事も無かった」
やがてビーフシチューセットとチーズハンバーグセットが運ばれて来た。カンナは興味深々といった様子でハンバーグをナイフで切ると口に運んだ。
「美味しいな! ここは高級レストランだろ。米子は給料が高いのか?」
「ここは庶民的な店だよ。中学生や高校生でも使ってるよ」
「本当か? 贅沢すぎるだろ。日本人は堕落しすぎだ」
「そんな事ないよ。北朝鮮には無いの?」
「無い。平壌にはあるかもしれんが、自炊が殆どだ。ましてこんな贅沢な食事は庶民にはムリだ」
カンナはハンバーグとライスと付け合わせの野菜を黙々と食べた。
「日本は米も美味しいな。籾殻や砂や小石が入ってない。こんな白い米は日本に来るまで見た事がなかったぞ」
「そうなんだ。ご飯が白いのは当たり前だよ。それとスープもお替り自由だからね」
「そうなのか、後でもらおう。飲み物を取って来る」
カンナは席を立った。米子は北朝鮮について勉強が必要だと思った。日本とはずいぶん文化と経済レベルが違うようだ。カンナはメロンソーダを持ってきた。心なしか少し微笑んでいるように見える。
「これも美味しいな。初めて飲んだぞ。色も美しい」
カンナはメロンソーダーをストローで美味しそうに飲んだ。
「メロンソーダだよ。他にもファンタグレ-プやカルピスソーダがあるよ。冷たいお茶も美味しいよ」
「この飲み放題は幾らなんだ?」
「250円だよ」
「思ったより安いな。ハンバーグは幾らだ?」
「ライス付きで780円」
「こんなご馳走が5ドルで食べられるのか。日本は豊かだな」
「北朝鮮の人は何を食べてるの?」
「農村部ではトウモロコシとコーリャンとジャガイモだ。たまに米も食べる。こんなに白くはないけどな」
「それだけ?」
「それでも食べられるだけマシだ。農村部では餓死者が大勢出ている」
「そんなに国民が大変なのに日本海にミサイルいっぱい撃ってくるよね。おかしいんじゃないの? ミサイルを作るお金を国民の為に使えばいいのに」
「それは将軍様の考えがあっての事だ。現に大陸間弾道弾を完成させたら、我が祖国の国際社会における地位が上がったのだ。核弾頭の開発が完成すれば大国と対等に渡り合える」
「ならず者国家に認定されてるけどそれでいいの? ネットでは北朝鮮の悪い話ばっかりだよ。国際協調を乱す存在だって」
「何を言うか! 我が祖国は正しい。間違ってるのは西側の資本主義陣営の方だ。ネットの情報は謀略だ」
「でも日本に来て、外から北朝鮮を見るときっと変わると思うよ」
「たしかに国内で聞いていた情報と日本のテレビやネットで知る情報に乖離がある事は感じている。しかし我が祖国の存在は正義なのだ。将軍様は偉大な指導者だ」
「将軍様ってあの変な髪型のおじさんだよね。国民が飢えてるのに自分だけ美味しいもの食べて、ミサイルで遊んで、気に入らない人は銃殺して、それがリーダーのする事なの?」
「貴様、将軍様を愚弄するのか!!」
カンナな大きな声で言った。他の席に客達が驚いてこちらを見ている。
「落ち着きなよ。それよりデザート食べる? ケーキとかアイスクリームとかパフェとか」
「お前に任せる」
米子は店員を呼んでミックスパフェを注文した。カンナはパフェを夢中で食べた。
「美味しい?」
「ああ、凄く美味しいぞ。こんなに甘いもの、食べた事がない。弟にも食べさせたい」
「弟がいるんだ?」
「そうだ。5つ年下だ。去年軍隊に入った」
「徴兵があるんだね」
「日本は生ぬるい。日本国民は堕落しているな。飽きるまで食べ、華美な服装をして、まったく規律がない。国家への忠誠心も足りないのではないか?」
「そうかな? みんな自由で楽しく生きてるよ。東京の街を見てどう思った?」
「昨日、山手線で一周した。東京は物凄く大きな街だな。近代的なビルがどこまでも続いている。どこまでもだ。途中で何駅か降りたが、どの駅前も発展していて商業施設があった。コンビエンスストアがあっちこっちにある。自動販売機も凄い数だ。それに米子が言うようにみんな楽しそうだったな」
「じゃあ日本の方がいいよね」
「違う! 少しばかり経済が発展しているだけだ。まあ驚いたけどな。日本は第2次世界大戦で連合国に敗けて、東京は焼け野原になったはずだ。写真で見た事がある。それなのにここまで発展している。この街が焼け野原だったとは信じられないな」
「私達のお爺さんとかお父さん達が頑張ったんだよ」
「我が祖国もみんな頑張っている。怠けている者などいない」
「それなのに国民が貧しいのは搾取されてるからじゃないの? 政治が悪いんじゃない?」
「搾取されているのはお前達資本主義の労働者だ」
「そうかな。少なくとも日本には餓死する人はいないし、自由だよ。政府を批判したって銃殺になったりしないよ」
「やめろ、私にもよく分からない。我が祖国の思想は絶対に正しい。なのに・・・・・・」
「それより任務の打ち合わせしようよ」
「そうだな。無駄話をしすぎたな」
米子とカンナは赤い連隊の襲撃について打合せをするためにカラオケボックスに入った。
「ここがカラオケボックスか」
カンナが部屋を見回しながら言った。
「歌う場所だけど、個室だから周りを気にしないで話ができるよ。カンナはお酒飲む?」
「祖国で時々飲んだ」
「じゃあ適当に頼むね。北朝鮮のお酒は無いと思うから」
米子はインターフォンでウーロン茶とレモンサワーと唐揚げとポテトフライを注文した。
「赤い連隊の襲撃に協力してくれるんだよね? 私はいつでもいいよ。早い方がいいかな」
米子が襲撃についての話を切り出した。
「わかった。作戦を立てよう」
「赤い連隊の情報を頂戴。カンナが持ってるんだよね?」
「敵は来週の土曜日に長野県の小海町という場所で集会を開く。場所は地図で確認した。敵は売りに出ていた別荘を買い取ってアジトにしている。今回はそこに集まるようだ。人数は18人。武器は散弾銃が5~6丁程度ということだ」
カンナがカバンから出した地図をテーブルに広げた。米子は地図に見入った。アジトは山の中腹にあるようだ。
「18人に散弾銃が5~6丁か。ねえ、この襲撃、私1人で十分だよ。カンナは日本にまだ慣れてないし、こんなの私1人で十分だって。それに本当のターゲットは2人なんだよね。まあ、家族を襲った組織だから全員殺ってもいいけどね」
「何を言ってるんだ、2人でやるんだ。そう指示を受けている」
「じゃあ家で休んでてよ。カンナも参加した事にしておくからさ」
「馬鹿にするな! 使命は完遂する。戦闘力はお前より上だ!」
カンナが激しい口調で言った。
「そうなの? プロフィールには破壊工作3回と暗殺2回って書いてあったよ。戦闘の記載はなかったよ」
「厳しい戦闘訓練を受けている。北朝鮮の特殊部隊と工作員は世界一だ。お前の経歴を見たが私は信じない。アメリカの映画じゃないんだ。あんなの嘘だ。私が協力しないとお前は死ぬぞ」
「まあ信じなくてもいいけど、私に格闘と射撃で勝ったらカンナの戦闘力を認めるよ。襲撃にも協力してもらうよ」
「いいだろう。私の組織の施設に格闘技場がある。信濃町だ。だが射撃はどこでやるんだ?」
「私の組織の射撃場だとカンナは使えないけど、他に当てがあるよ」
「そうか、それは楽しみだな。お前に私の強さをわかってもらういい機会になるだろう。それにしてもこの酒、美味しいな。さっぱりしていて飲みやすい」
「レモンサワーだよ。他の種類も試してみたら?」
「そうするか。適当に註文してくれ、美味しいやつを頼む」
「カンナの日本語って上から目線っていうか、偉そうだよ。女性っぽくないし」
「教官に習った通りに話しているのだ。教官は日本から拉致された70代の男性だった。それに工作員訓練所で2年間基礎を習い、スパイ養成所では1年間日本語だけを使っていた。別に女性っぽくする必要はない」
「まあ、いいけどね」
「米子、頼みがあるのだが」
「何?」
「カバンを買いたい。店を教えてくれ。それに服もだ。デパートは高すぎる。『ヤニクロ』は覚えた」
「じゃあ一緒に買いに行こうか。安くてお洒落なお店に行こう」
「すまんな。恩にきるぞ」
「なんか言葉が年寄り臭いんだよね。武士みたいだよ。『ござる』とか言わないでよね、キャハハハ」
「笑うな!」
「ごめん、もう笑わないよ」
「この酒も甘くて美味しいな」
「ピーチフィズだよ。桃のフレーバー。甘いのが好きなの?」
「祖国では甘いものは貴重なんだ」
「じゃあこれからも甘いもの選んであげるよ」
「お前は親切だな。いい家庭で育ったのか?」
「そんな事ないよ。家族の事は忘れたよ。思い出しても辛いだけだしね」
「米子は家族が殺害されるところを見たのか?」
「うん。押し入れの中から全部見てたよ・・・・・・弟と隠れんぼしてたんだよ・・・・・・」
米子が低いトーンで言うとカンナの表情が固まった。
「そうか、それは辛かったな。辛い事を訊いてすまなかった」
カンナは目が潤んでいた。米子はカンナが意外と情にもろいのかもしれないと思った。
「いいよ。もう昔の事だよ」
米子が寂しそうに言った。
「米子! 赤い連隊の奴らを皆殺しにしよう! 一人残らず殺すんだ! 協力するぞ!」
「カンナ、ちょっと声が大きいよ。ここはいいけど外では物騒な話はしないで」
「そうだな。気を付けよう」
米子とカンナは渋谷のアパレルショップとセレクトショップを回っていた。
「日本人の服装は統一性がなくて乱れてるな。西側諸国の悪い影響だ。我が祖国では許されない服装ばかりだ」
「そんなに厳しいの? 私も制服ばっかり着てるけどね」
「ミニスカートなんてとんでもない。警察に連行されるぞ。ジーンズもアメリカの退廃した文化の象徴だから禁止だ」
「へえ、でもせっかくだからお洒落を楽しめばいいじゃん」
「何を言うか! 規律が大事なのだ。規律が乱れるとい国家が弱体化する」
「お洒落しても国が弱体化なんてしないよ。むしろ経済が回ると思うよ」
「ふん、下らん資本主義の理屈だな」
カンナはセレクトショップで黒いナイロンの肩掛けカバンを買った。
「このカバンいいなあ。軽くて、ポケットが3つもあるし、中も間仕切りが幾つもあるぞ。実に機能的だ」
カンナは買ったカバンを肩から掛けて喜んでいる。米子はそんなカンナを連れてアパレルショップに入った。
「これなんかいいんじゃない?」
薄い桜色のワンピースの掛かったハンガーをっ手に取ってカンナに見せた。
「こんな色ダメだ、我が祖国は、女性は公の場では白いブラススに黒いスカートという暗黙の決まりがあるのだ」
「いいから着てみなよ。試着室があるから。着ないと私帰るよ。せっかく付き合ってあげてるのに文句ばっかりじゃん」
「わかった、怒るな。でも着るだけだぞ」
試着室のカーテンが開いた。
「やはりダメだな。軽薄な姿になる」
「いいよ。似合ってるよ、女子大生みたいだよ」
「そうか? どうも落ち着かん」
そう言うとカンナは鏡をじっくりと見た。鏡の中には柔らかく明るい雰囲気のカンナがいた。白みがかった薄いピンクのワンピースが実に似合っていた。
「お金いっぱいもらったんでしょ? 買っちゃいなよ。まだまだ他にも買うんだから。時間がなくなっちゃうよ」
米子が急かすように言った。
「わかった。米子がそこまで言うのなら買おう。どうせなら真っ赤なワンピースも欲しいな」
「それは目立ち過ぎだよ」
「赤いワンピースに青と白のスカーフを巻くのだ。我が祖国の国旗の色だ」
「やめた方はいいと思う。それじゃ歩く国旗だよ。誰も気付かないと思うし」
カンナは買ったワンピースを着て、その後米子と何店舗か回った。米子のチョイスで様々服を買った。北朝鮮では西側文化の象徴だとして禁止されているデニムのパンツも買った。カンナは両手いっぱいに紙の手提げ袋を持っていた。そしてガラスのドアやショウウィンドウに自分の姿が映る度にワンピース姿の自分を確認するように見ていた。その姿は徐々に東京の街に溶け込んでいった。米子はそんなカンナの行動を見てカワイイと思った。
「その服、似合ってるよ。気にいったみたいだね」
「悪くはない。米子は色んな店を知ってるな。日本の女子高生はお洒落だな。そのうち米子の着ているような制服も着てみたいな」
「お店は私も最近クラスメイトに教わったんだよ。この制服は女子高生の象徴だよ。カンナは23歳だからムリだよ。16歳から18歳までの限られた時期しか着れないから価値があるんだよ。JKとういブランドの重要アイテムだね」
「クラスメイトとは学校の友達か? 友達とは何をして過ごすんだ?」
「カフェやファミレスやカラオケ行ったりするんだよ。プリクラも撮るよ」
「まったくもって堕落した生活だな。もっとお互いを高め合って国家に役立つような事をするべきだ。プリクラって何だ?」
米子とカンナが顔を寄合っていた。
「もっと顔を近づけて。表情が堅いよ。笑顔になってよ」
「こうか?」
カンナがぎこちない笑顔になった。
米子がさっき撮ったプリクラをカンナに見せた。
「ほう、色んな背景があって面白いな。この写真は顔が変だぞ、目が大きすぎる。機械が故障してるんじゃないのか?」
「背景や顔も変えられるんだよ」
「よくわからんがハイテクだな」
「カンナの笑顔怖いよ。引き攣ってる」
「仕方ないだろ。普段あまり笑わないのだ」
「笑った方がいいよ。まあ、私も人の事言えないけどね」
米子とカンナは新宿駅で別れた。カンナは何故か少し寂しい気分になった。
カンナはマンションの部屋に入ると買った服すべてに着替えて何度も洗面所の鏡に映して確認した。自分がお洒落な服を着て贅沢をしている事が不思議だった。米子とファミレーストランで食事をして洋服屋を回り、プリクラという写真を撮った事が頭に何度も思い出された。楽しかったと思った。米子がアサシンだとは思えなかった。会う前に描いていた冷酷で残忍なイメージとは違い、明るく、親切だった。工作員としては頼りなく、一緒に戦う事に不安も感じたが好感を持った事も事実だった。
米子は自宅の部屋でノートパソコンを使って北朝鮮について調べていた。調べれば調べる程、住みにくい国だと思った。餓死している国民がいる一方で弾道ミサイルや核弾頭の開発に注力している。自由も無いに等しく、取締りも非常に厳しいようだ。国家の方針に従わない者は強制収容所に送られ、過酷な労働を強いられる。何よりも独裁者による恐怖政治が続いていることに驚いた。独裁者の気分による粛清や公開処刑が日常化しているのだ。米子はカンナがそんな独裁者を崇拝している事が理解できなかった。
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