嘘の中には本心も

今日は4月1日の11時55分…そろそろ午前が終わるというのに嘘を吐いてない…もったいないしトナリに嘘吐こう!

「ねえトナリ」

「なんでしょうお嬢様」

「実はあたし恋人ができたの」

「なっ!?えっ、まっ…えっ…」

「そんな驚く?」

「し…失礼ですが女性ですか?男性ですか?」

「ちょっと…どっちか分からない人」

「!?」

「素敵な人だしどっちでもいいかなって」

「かっ、確認してきてもらえますか?」

「次会ったら聞いてみる」

「ま、まさかお嬢様に恋人なんて…驚きです」

「ふふ、あたしも年頃だからね」

「奥様と旦那様には言われたのですか?」

「言ってないわ、反対されたら嫌だし」

「奥様と旦那様なら快く受け入れていただけそうですが…」

「うーん、どうかしらね」

「その恋人はどんな人なんですか?」

「えっとね、手先が器用で、家事もできるし、」

「お嬢様は家事できないので安心ですね」

「ちょっと…これから頑張るんだし」

「それで、他にはありますか?」

「あとはー、あたしに優しいし、勉強も教えてくれる」

「手先が器用で家事ができて賢くて…非の打ち所がないですね…私の次に優秀そうです」

「あと買い物も着いてきてくれるし」

「スパダリってやつじゃないですか…あ、女性かもしれないんでしたっけ」

「それでね、年上」

「年上…まさかお嬢様に手出してないでしょうね!?」

「大丈夫、それは無いわ」

「まあそれは当然ですが…少しだけ安心しました」

「そういう事は全くしてこないから安心して」

「年上…学校の先輩とかですかね」

「あと、よくあたしの隣にいる」

「常に行動を共に?…仲良しなんですね…」

「うん、あたしその人が大好き」

時計を見ると12時1分。嘘を吐く時間は終わりだ。

「そうですか…お嬢様が幸せそうでよかったです」

「ふふ…ところで、あなたは手先が器用で家事ができて賢くて買い物に着いてきてくれて、」

「いつもあたしの隣にいるわよね」

「はっ…?」

「ふふ、今日は4月1日、エイプリルフールよ!午前が終わったからネタばらし」

「じゃ、じゃあお嬢様に恋人は…?」

「居ないわよ」

「よ、よかったです…今私すごい安心してます」

「そんなにあたしに恋人できるのが不安なの?」

「そりゃ不安ですよ!どこの馬の骨かも分からぬ童子にどうしてお嬢様をやれるのか」

「えぇ…なんか引く」

「お嬢様に恋人がいなくてよかったです…」

「居ないわよ、あたしが男だって知ったら離れてく人多いし、でも友達はいるから楽しい」

「それなら良かったです…あ、なぜ恋人として私の特徴を挙げたのですか?まさか本当に好きとか」

「さっきトナリの特徴言ったのは嘘吐こう!って思ったとき目の前にいたからよ」

「適当ですか…あ、ところでさっきの手先が器用で~ってのは本心ですよね?」

「……」

「まさか嘘じゃありませんよね!?私を高く評価してくださったのは本当ですよね!?」

「…パッと見性別がどっちか分からない、って所は本心よ」

「酷いです!素直に褒めてくれたっていいじゃないですか…」

「もう午前は終わったの、でも午後に言ったことは確実に本心よ」

「午後って…今午後になったばかりじゃないですか…」

「ふふ、でもどこかに本心は隠れてるわよ」

「…引かれたという所しか思い当たりません…」

「ま、しばらくはあたしの本心探しに躍起になってればいいわ、見てるの面白いし」

「教えてくれたっていいじゃないですか…」

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