他人の異世界転生フラグを折りまくったら怒った女神が降りてきました。この際だから俺の家に沈落させます

せにな

第1話 俺は他人の異世界転生フラグを折ってしまった……!

 日差しが差し掛かる公園前。

 まだ光を宿してない街灯が、腰まで伸びた黒髪を見下ろす。


 そんな中、ふさっと靡く黒髪は横断歩道を渡ろうと――


「危なっ!?」


 大学帰りの1人の少年が慌てて女子高生のカバンを掴む。


 そうして鳴り響くのはトラックの急ブレーキ音。

 道路には黒いタイヤの跡をつけ、ダブルタイヤが華麗なドリフトを魅せる。


 呆気にとられる女子高生はパチクリと瞬きし、持っていたスマホがカチンッと音を立てて地面に落ちた。


「大丈夫か!?」


 カバンから手を離し、セクハラと訴えられないように体は触らず安否を確かめる。


 見る分には怪我はない。

 でもそれは少年が助けたからであり、助けなければ今頃トラックに跳ねられ、死んでいただろう。


 何度か瞬きするうちに、パニックに陥った脳みそが働き出したのだろう。

 おもむろに首を動かす女子高生は、やがて少年を見上げた。


「た、助けていただき……ありがとう、ございます……」


 育ちがいいのだろう。

 真っ先にスマホを取るわけでもなく、自分の体を見下ろすわけでもなく、少年につむじを見せつける女子高生は震える声で続ける。


「そ、その……ほんと、なにをすればいいのか……」

「あーいや!大事になったわけじゃないから大丈夫!気にしないで!」


 急ブレーキしたトラックも、どこかにぶつかったわけじゃない。

 周りに人もおらず、この現場に鉢合わせたのは少年と女子高生と運転手だけ。


 被害者である女子高生は少年にこの後の判断を委ねるらしい。

 本来は警察を呼ばなければならない状況なのだが、女子高生の意図を汲み取った少年はスマホを取り出さず、で女子高生とともに運転席へと向かう。


「大丈夫ですかー?」


 そして扉をノックする。


 運転手も運転手で一種のパニック状態に陥ったのだろう。

 窓越しに見える姿は動機が激しく、プルプルと震える手は力強くハンドルを握っていた。


「お、おじさん……。大丈夫……ですか?」

「こんな経験初めてで頭が追いついてないんだろうね。今の君と一緒かな」


 キュッとカバンを握る女子高生に、安心させるためのほほ笑みを浮かべながら紡いだ少年は、やがてドアハンドルを握る。


「大丈夫ですかー?」


 そんな言葉とともに開けてやれば、ムワッと漏れ出す熱気。


 こんな季節に暖房なんて付けるわけがない。

 したがって、この熱気は運転手から漏れ出たものなのだろう。


「あっつ……」なんて言葉を吐き捨てながら、少年は手を仰いで外の新鮮な空気を社内に送り込む。


「あ、あぁ……。俺は……人を……あぁ……!!」


 瞬間、グワッと頭を抱える運転手。


 トラックが故に、周りの状況があまり見えなかったのだろう。

 自分の想像のままに出来事を判断した運転手は、やがてハンドルを握ろうとして――


「落ち着けおっさん!?誰も死んでないから!」


 少年が慌てて運転手の肩を掴む。

 そして背もたれに体を押し付け、アクセルが掛からないようにサイドブレーキを押し込んだ。


 案の定、運転手はアクセルペダルを踏んでいた。


「一旦落ち着け!いいな!?息を吸ってー?」


 優しく胸を撫でる少年は、運転手の顎を支えながら呼吸を促す。


 最初こそ車が進まなくて焦っていたが、『逃げれない』と悟ったのだろう。

 深呼吸とは程遠いが、おもむろに呼吸を始めた運転手はハンドルから手を離して椅子の上。


 なぜか後ろの女子高生も一緒になって深呼吸をしているが……いま少年が見るべきなのは運転手。


「落ち着いたか?」

「あ、あぁ……。すまない……」

「大丈夫っす!初めての経験は誰だってパニックになりますからね!」


 やっと落ち着きを取り戻した運転手に、余裕の笑みで言葉を並べる。


 そして最後にひと撫でを残し、運転手の胸から手を離した。


「今回の件ですけど、できるだけ大事にはしたくないんですよね」

「な、なぜだ……?こういう場合は警察に伝えるのが基本のはず……」

「まぁそれはそうなんですけど……なんというか、結構めんどくさいんで」


 苦笑交じりに開く少年は、まるで何回もその経験を味わったような言葉を告げる。


 言を待たなくとも分かっているだろう。

 この少年もとい、牟礼むれ我月あつき


 今回のように、トラックに跳ねられる他人を助けてあげたり。

 過労で死ぬ前に、悩みを聞いてスッキリさせてあげたり。

 ナイフを持った男性が誰かを刺し殺す前に背負投で仕留めたり。


 おのずから誰かを救い、自ずと警察沙汰になる日々。


 助けること自体に不満は抱かない。

 だが、めんどくさくなることはごめん。


 少年はこの後にバイトを控えている。

 一人暮らしするための交渉で『家賃は全部自分で払う!』と親に宣言した今、無闇矢鱈にバイトをサボることもできず、時間を取る警察沙汰にはしたくないようだ。


 トラックから身を下ろした我月は場を明るくするようにほほ笑みを浮かべ、それと同時にパチンと手を叩いた。


「というわけで!今日のことはなかったことにして家に帰りましょう!」

「は、はい……!」


 続くように声を上げたのは黒髪を頷かせる女子高生。

 そんな女子高生にシワを寄せる運転手は、どこか罰が悪そうに小さく紡ぐ。


「お、お嬢ちゃんはそれでいいのかい……。い、一応もなにも……おじさんが事故を起こしそうになったわけだが……」

「はい!大丈夫です!そ、それにお兄さんがこう言ってるので……」


 赤らめた頬でチラッチラッと我月を見やる。

 そんな姿に首を傾げながらも、ニカッと笑みを浮かべた我月はドアハンドルを握って告げる。


「てなわけで、次からは気をつけてくださいね〜」

「わ、わかった……。ほんとありがとな。……”でもなんでさっきはブレーキ効かなかったんだ”……?」


 扉を閉める瞬間に聞こえた言葉に小さな疑問も浮かぶが、今は女子高生のこと。

 走り去っていくトラックを横目に、女子高生に顔の位置を戻した。


「とりあえず、これからは歩きスマホには気をつけてね」

「あっ……す、すみません……」


 赤かった頬は一瞬で白く染まり、申し訳無さ気に深々と頭を下げる。


「大丈夫大丈夫。今回はたまたま俺がいたからよかったけど、日常的に俺は現れないからね〜」


 地面に落ちていたスマホを拾い上げながら紡げば、またもや女子高生に熱が帯びた。

 もちろんそんなのはお構いなしに、スマホを渡そうとして――


「あ、あの!もしよければ……その……」

「ん?」


 スマホを受け取ろうともせず、言い淀む少女に首を傾げる。


 泳がせる瞳はどこかを捉えるわけでもなく、胸の前でクルクルと追いかけっこをする人差し指達は勢いを増すばかり。


 そんな動作が目立つ中、数秒が経った頃。

 息を決した少女は、勢いよく顔を上げた。


「あ、あの!!もしよければ!!これからもずっと私の傍でいれるように――」

「――おいゴラァァァーー!!!!!」


 女子高生の言葉を遮るように叫ばれるのは、我月の遥か後方から。

 傾げていた首を振り返ってみれば……そこにいるのは顔を真っ赤にした年上のお姉さんらしき人。


 腰に手を当て、大きい果実をさらに張り上げるその姿はまるで子どもの様。

 そのくせ身長は高く、金色に染められた髪は女子高生と同じように腰まで伸びている。


 顔立ちも女優顔負け。我月が会ってきた中で1番の可愛い人認定されるほどに整った顔は……これまた分かりやすくシワを寄せて怒りを表現していた。


「……お友達?」


 苦笑交じりに女子高生に言葉をかけてやれる。


「……いえ、全く持って知らない人です……」


 女子高生が並べた言葉は、変人だから誤魔化すそれではなく、心の底から紡ぐ『わからない』というもの。


 念の為に周りを見てみるが、当たり前のように我月以外の人間は居らず、視線的にも2人を突き刺している。


 ――スイッ


 そして、どちらからともなく視線を逸らした。


(私の告白を邪魔しないで……!)


 女子高生が心のなかで叫ぶ。


(絶対めんどくさいやつだな?あれ)


 我月がボソッと言葉を漏らす。


 理由はそれぞれ違うが、回り回って『めんどくさいやつ』という理由に行き着き、視線を逸らしたまで。


 先ほど遮られた言葉を聞き直そうと、顔を合わせる我月と女子高生。

 背後から感じる怒りのオーラは無視し、女子高生の口が開かれる。


「その!もしよければ!私と付き合って――」

「――ちょっと待ったー!!!!」


 一体どこの世界線に、告白にちょっと待ったをする女性が居ようものか。

 ……一体どこの世界線に、初対面の人の告白を止める女性バカが居ようものか。


(なんなんだ……?まじで……)


 浮かべた睨みを背後に向けながら、そんな言葉を胸に置く。


 そうして、ズシズシと足音を立てながら歩み寄ってくる金髪の女性は……やがて、我月の肩を握った。


「この子。私の彼氏だから」

「…………は?」


 満面の笑みで紡がれる言葉に、呆気にとられた声を漏らす他になかった。


 女子高生も我月と同じように唖然と口を開き、馴れ馴れしく掴まれた肩を見たり我月の目を見たり。

 当然のように意味のわからない我月も女性を見やり……


「ね?私の彼氏でしょ?」


 にっこり笑みが浮かべられた。


「そ、そんなの……うそ……ですよね……?」


 そんな笑みに反し、対面では絶望に満ちた表情を浮かべる。


 どっちにしろ、我月はこの告白を断ろうと思っていた。


 たかが1回助けてあげた関係。

 内面もよく分かっていない男と付き合うのは、これからの将来がある女子高校生にも申し訳ない。


 そんな悲観的な考えとともに断ろうと思っていた……その矢先のこの女性の言動。

 明らかに面倒くなくなる行動は『はい。この人の彼氏です』と紡いでしまうこと。


(2人には申し訳ないが、ここは丁重に――)


「――はい。この人の彼氏です」


 

 我月の意思に反し、絶対に言いたくなかった言葉を発してしまった。


「え……?」

「は!?」


 絶望に満ちた表情がさらに深くなる女子高生とはべつに、声を張り上げてしまう我月は見開いた目で勢いよく金髪の女性を見やる。


「な……は!?勝手に口が……!?」


 呆気にとられる我月だが、当然のように女子高生の誤解が解けるわけもなく、


「そう……なんですね……。もう彼女さんが居たんですね……」

「いやちが――」

「うん!私が彼女さんだよ〜!」


 先ほど発した怒声はどこに行ったのやら。

 すっかり清楚系なお姉さんへと変貌を遂げた金髪の女性は、大きな果実を我月の腕に押し付ける。


 そうして、自分のお胸を見下ろす女子高生。

 制服越しに頑張って持ち上げてみようとするものの……スルッと滑って顎に手がぶつかる。


「「「…………」」」


 さすがの金髪の女性でも、この状況は気まずかったらしい。

 笑みはそのままに、表情を強張らせて女子高生の胸を見つめる。


「これから成長するから大丈夫だよ」


 年上の女性からのアドバイスのつもりなのだろう。

 されど、胸なし女子高生からすればそれ相応のダメージが食らうわけで……


「も、もう成長しませんよーだ!!うわーーーん!!」


 涙を隠すように目元に腕を押し当てながら、勢いよく走り去ってしまった。


 そうしてこの場に残るのは、居た堪れない空気感と見ず知らずの女性。

 相変わらず呆気にとられる我月は、すっかり見えなくなった女子高生から隣に目を向けた。


 けど、これまでの経験が相まってだろう。

 ほんの少しだけ残る冷静さが、小さく口を開かされた。


「……誰ですか?」


 その言葉は身分を証明してほしいものでもあり、それと同時に”存在”を教えてほしいもの。


 我月の口は、自分の意志と関係なく開かれた。

 つまり、誰かに操られたと考えるのが平常の考え方。


 というより、そう考えざるを得なかった。


 誰がどう見ても、『お前が自分で言ったんだろ』と思うだろう。

 現に、女子高生は我月が言ったと勘違いして走り去ってしまった。


 だが、動かされた本人は嫌でも分かる。

 これがこの女性のせいだということも、この女性が只者じゃないということも。


 相変わらずのにっこり笑みを浮かべる女性は、我月を逃さないようにグイッと首を絞める力を強める。


「じゃあそのことを話すから、ちょっと君の家に案内してくれる?」

「……俺の家っすか?」


 怖気を感じながらも、表情は冷静を装って言葉を返す。


「そう。そっちの方がゆっくり話せるでしょ?」

「まぁ……そうっすけど……」


 正直な所、我月はこの人を家に上がらせたくなかった。


 それはこの女性が只者じゃないという以前の話で、2人は初対面だから。


「初対面の人を家に上がらせるほど、俺も尻軽じゃないっす……」

「いや違うよ?私はそういう目的であがらないよ?」

「……どうっすかねぇ……」


 チラッと細めた目を下ろすのは腕に押し当てられたマシュマロのように柔らかい果実。

『誘惑してますよ』と言わんばかりのその部位は、多分下着をつけていない。


 続くように視線を落とした金髪の女性は――


「ち、違うからね!?これはあの女をさっさとどかせたかったからやっただけだから!!」


 慌てて身を離し、自分の体を守るように腕を巻き付ける。


 すっかり笑顔など消えたその顔に浮かび上がるのは、真っ赤になった頬とグルグルと回る瞳。

『本当に年上か?』と疑問を抱いてしまうような姿に、先ほどとのギャップが相まって思考が留まってしまう。


「はぁ……。まぁ、家に入れませんけど……」


 ため息とともに言葉を吐き捨てた俺は、手元にあるスマホを――


「あっ、あの子スマホ忘れてるじゃん」


 状況が状況なだけに、我月までもが頭からスマホのことが抜け落ちていた。


 この場に帰ってこないということは、女子高生もスマホの存在を忘れているのだろう。

 人1人いない道路を眺めていれば、途端に肩が掴まれる。


「それ、私が届けてきてあげよっか?」

「え?」


 すっかり赤みを退けたその頬は、分かりやすく企みを浮かべているニヤつき。

 18年も生きていれば、金髪の女性がいまなにを考えているのかぐらいお見通し。


 手元にあるスマホに視線を落とした我月は……スイッとスマホを隠した。


「嫌です。俺が行きますので」

「なんで!?絶対私に渡したほうが効率的だよ!?」

「どうせ『渡してきたから家に入れて』って言いますよね」

「へっ!?な、なんでバレて……ってちがう!!そんなわけないじゃない!」

「……嘘下手だろ」


 思わず苦笑を浮かべてしまう我月はスッと視線を逸らし、


「ちょっと届けてきますね」


 足を動かそうとした……その時だった。

 手の中にあった硬い物体が”消えた”のは。


 慌てて見開いた目で手の中を探しても、地面を見下ろしても、ポケットの中を確認しても、どこにもない。


 けどひとつだけ。

 ひとつだけ、心当たりがあった。


「…………」


 訝しみに満ちた目を向けるのは、背後に居る金髪の女性。


 どこか勝ち誇った笑みを浮かべるその女性は……これまた見せつけるように手に持っていた。

 黒いスマホカバーを身に纏った、女子高生のスマホを。


 マジシャンで片付けられたならどれほど良かっただろう。

 これが大衆に魅せる大道芸ならどれほど良かっただろう。


 けど、そうじゃないのが現実。

 あのスマホは言わずもがな、我月のものでもなければこの女性のものでもない。


 ずっと我月が持っていたが故に、マジックの種を仕掛けることなど不可能と言えよう。

 至極当然のように、我月はこの女性と初対面なわけで、マジックの助手的位置にはなれない。


「……なにしたんすか」


 睨みを向けるのはスマホに向けてではなく、勝ち誇った笑みを浮かべる憎たらしい顔。


「ん〜?家に上げてくれるなら教えてあげてもいいけどね〜?」

「なるほど……。取引ですか……」


 正直、よく分からない物体を家には上げたくない。

 我月が1人暮らしするうえでも、親にこっ酷く言われた、『絶対に知らない人は家にあげないでね』という言葉。


 見ず知らずの人をあげるわけがないだろう、と楽観視していたのだが……案の定見ず知らずの人に『家に上げろ!』と抗議されている。


 小さくため息を吐いた我月は、諦めたように頭を頷かせた。


「……わかりました。それを届ける代わりに、上げさせてあげます……」

「じゃあ取引成立ね〜」


 またもや勝ち誇った笑みを浮かべる金髪の女性は、指先の上でクルクルとスマホを回し始める。


 まるで重力がないように見えるその動作に、色々経験した今これといった反応を示すわけでもなく、スイッと視線を逸らして紡ぐ。


「……早く行ってきてください」

「言われずとも〜」


 そう紡いだ女性はなにかをするわけでもなく、女子高生が走り去っていた道を歩き始める。


 本来なら『走らないんすか?』とツッコむべきなのだろう。

 けど、今の我月にそんな事を考える余裕はなかった。


(……逃げよ)


 そんな言葉を心に残した我月は、女性が角を曲がったのを横目に走り出した。


(所詮は年上の女性。されど年上の女性!)


 もしここで待機していたら、是が非でも着いてくるだろう。

 まだ午後の3時だというのに、私服で歩き回っている女性だ。


 仕事が休みならまだしも、あの人がまともに仕事ができるわけがない。


(だからどうせニートだニート!時間が無限にあるニートだ!!)


 我月がどんなに夜遅くまで歩き回っても、18の我月よりも上ということは補導時間が存在しないということ。

 つまり、ニートで補導時間が存在しない人間は最強ということ。


 故に、我月はこの作戦に移行した。

 金髪の女性がいないうちに逃げ出し、さっさと家に帰ろ――


「あ待って?今からバイトだわ」


 そんなことを思い出した我月は、ピタリと足を止めてポケットからスマホを出した。

 光が灯った液晶板に書かれているのは、『15時14分』という数字。


「……っ!?」


 息をつまらせたのは、言わずもがなの我月。


 理由なんて1つ。

 我月の出勤は15時30分。そして、ここからバイト先までの時間は大体20分ほど。


 家を出た時は時間がそれなりにあったから徒歩で向かっていたのだが、案の定変な女性に絡まれて時間が潰れてしまった。


 慌てて踵を返した我月は、地面を蹴り飛ばして走ってきた道を走る。

 もちろん、金髪の女性とは鉢合わせないように、我月しか知らない裏道を通りながらバイト先へと向かった。


 これからのこともなにも考えず。

 これから巻き起こる、我月にとっては長い日々が、これから始まろうとも知らずに。

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