White・Life・Online《ホワイト・ライフ・オンライン》

キミト

第1話 お姉さん?いいえ、お兄さんです

 「頼むユウ、俺と一緒にWLOやってくれ!」

 「WLOって……確かお前が少し前にβテストで夢中になってたゲームだよな?玄人向けの」


 Whiteホワイト LifeライフOnlineオンライン通称WLO、中世ヨーロッパを舞台とした剣と魔法の世界という定番のRPG。フルダイブ型のMMORPGで、此処迄だったら良くあるド定番のオンラインゲームだが、此のゲームは其れだけじゃなく、かなりの廃人向けの玄人ゲーだ。

 エネミーが普通のゲームより強い事や、ダンジョンや武具の入手方法が難しいのもある。ただ、其れ以上に此のゲームの難易度を上げてる要因がスキルの取得方法だ。

 例えば「片手剣」というスキルがあったとする。1人は1回素振りをしたら手に入り、もう1人は何100回も素振りをしてようやく手に入り、別のプレイヤーは素振りでは手に入らず他の行動で手に入る。こんな感じでプレイヤーの行動でスキルが手に入る。ただし、手に入る行動はプレイヤーによって変わる。欲しいスキルと関係ある行動をすれば取れる時もあるし、全く関係ない事をすれば取れる時もある。

 其れ等を可能にしてるのか運営会社が独自開発した、ゲームの管理や演算処理等をしているAIとAIが問題無く動く為に開発した最新型スパコン並のサーバーだ。


 「確かβテストでも、最後迄スキルを覚えられずろくに戦えなかったプレイヤーも居たんだよな?そんなゲームを俺がクリア出来る訳ないだろ、昔からゲームは好きだけどちゃんとクリアしたゲームは少ししか無いのは知ってるだろ」

 「其れは知ってるけどよ、頼むよ一緒にやろうぜ!暇な時にスキル探しやレベル上げとか色々手伝うからさ!其れにハードやソフトは俺が用意するから!ハードは兄貴のお古になるけど、プレイには問題無いしさ!なぁ?」

 「……はぁ〜……分かった、ただし合わないって思ったらすぐにでも止めるからな。其れでいいならやっても良いぞ興味が無い訳じゃないし」


 ホント、俺って身内や友人に甘いな……


 「おう、もちろんだ!オンラインゲームにはエンディングとかは無いし、始めるのも、止めるのも自由だからな!」

 「俺の場合は殆どお前の強制だけどな真司。其れでゲームの開始日時はいつなんだ?」

 「ああ、来月の0時からだから5月1日のGWからだな」

 「後、2週間位か。GW中に稼働とかかなり大変だな」

 「そうだな。意外とって言うより絶対ブラックだよな」


 そんな感じで雑談をしながら学校を終え放課後、俺は真司の家に行きハードを譲り受けたのだが、ハードと一緒に件のソフトが入っていた。


 「あれ?此れWLOのソフトじゃんか、発売未だなんじゃないのか?」

 「いや、発売は前からされてるぞ。ただ、プレイ出来るのが2週間後ってだけの話。稼働が0時からだから少しでも早くプレイしたい人向けにソフトだけは早く販売してるんだよ。中にはゲームをダウンロードする為のファイルが入ってるだけで、ゲームの中身其の物が入ってる訳じゃないしな」


 真司の解説にへ〜と感心しながら、ハードやソフトが入った紙袋を持って家に帰った。


 「ただいま〜」

 「ふぉにぃひゃん、ふぉふぁえひ〜」

 「……はぁ〜、美紅みく流石に其の格好はないんじゃないか?」

 「ふぇ?」


 出迎えたのはリビングのソファーで下着姿のまま寝そべりながらアイスを食べてる妹だった。


 「お前な、家の中で迄オシャレしろとは言わないが、せめてジャージでもなんでも良いから服位着ろよ」

 「別に良いでしょ家なんだし〜其れとも、何?お兄ちゃん遂に私に対してドキドキする様になった!」

 「する訳ないだろアホか!」


 ピシ!っと美紅にデコピンをくらわせた。


 「アタッ!ぶ~……ん?お兄ちゃん何其の紙袋?」

 「ああ此れか?真司にもらったゲームソフトと其のハードだよ」

 「真司……チッ!忌々しいあの男か」

 「あの男って、お前本当に昔から真司と仲悪いよな。其れと、もう受験生なんだからブラコン卒業しろよ。其れとハードとかの設定するからしばらく部屋に入るなよ」

 「は~い……」


 俺は部屋に行きハードやゲームの設定を色々した。とは言っても未だキャラ設定や何も出来ないがな。其れはゲームが正式に稼働してからだ。

 俺と美紅は血の繋がった実の兄妹じゃない。昔色々あって此の桜庭さくらば家に引き取られた。其処で何を思ったのか美紅は俺を好きになった。兄としてではなく1人の男してだ。美紅が小学校低学年の時に将来の夢という作文で「お兄ちゃんのお嫁さん」という内容で書いていた。此の時は低学年という事もあり笑って可愛いで済んでいた。だが、小学校卒業の卒業文集にて此の時も将来の夢という題材で書かされたが、其の時も「お兄ちゃんのお嫁さん」という内容で書かれていた。流石に此れは笑えなかった。教師や両親が説明や説得を試みたが全く意味がなかった。だから俺も本気で相手しないようにした。

 ちなみに真司はよく俺と遊んでいて、美紅とは遊べていなかった為、美紅にとって真司は俺を奪う敵らしい。


 ☆


 そしてゲーム開始日前日、俺は真司とSNSでゲームについて色々話していた。


 シンジ>そういえばユウは明日何時からやるんだ?俺は稼働時間の0時から始めるぜ!一緒にやらないか?

 ユウ>ん~、俺はいいや。朝食とかちゃんとやってやらないと美紅が泣いちまうからな。朝の10時からやろうかな。真司も此れ以上恨まれたくないだろ?

 シンジ>俺、其処迄嫌われてたんだ……まあいいや、ユウが始めたらよ一度合流しようぜ!βテスト時の知識や30時間もあれば街を案内や色々教えられるだろうからな!

 ユウ>30時間?どういう事だ?

 シンジ>あれ、言ってなかったか?WLOのゲーム内はリアルの3倍のスピードで進むんだよ。だから、リアルで10時間やればゲーム内では30時間やった事になるんだよ

 ユウ>ふ~ん、ってお前10時間ぶっ通しでやるのかよ!本当に廃人乙!

 シンジ>よせよ照れるぜw

 ユウ>いや、褒めてねぇよw



 そんなこんなで時間は過ぎて行き翌朝10時。

 朝食や家事のあれや此れやを済ませハードを装着した。


 「スタート」


 ハードは音声認識でゲームを起動させる。正直言って其れなりに恥ずかしくはあるが、開発責任者が昔見たり読んだりしたアニメやラノベ、漫画に影響されたらしい。開発段階では此れ以上恥ずかしい物にする予定だったとか。

 ゲームを開始するとゲームロゴ等はもちろん利用規約等にも同意しログインも行い次は注意事項等も出てきた。内容はネットリテラシーに関する事やアバターに関する事等だった。ネットリテラシーは重要だが一番関係するのはアバターの事だ。アバターは先日の設定で種族と名前を決める事が出来たが、其れ以外は何も決めていない。どうやら読み取ったリアル姿を基盤に自動生成されるとの事。アバターをプレイヤーがカスタムする事は可能だが、ゲーム内での入手難度が高いアイテムだという事が書かれていた。其れについても了承してゲームをようやく始める事が出来た。


 「おお~、此処がWLOの世界か!」


 真司に聞いていた通りtheRPGみたいは中世ヨーロッパみたいな街並みだ。ゲームを始める前に真司からメッセージが来て、街の中央にある噴水のある場所で合流することになってはいるのだが自分が今どこにいるのか分かっていない。

 此処はどこだろうか?真司も噴水迄の行き方を教えておいてくれよ……其れにしても、何だかめちゃくちゃ見られてないか?しかもチラチラと。あれ?マップ機能とか無いのか?仕方ないな。


 「あの、すみません。噴水迄行きたいんですけど、どう行ったらいいですか?」

 「え、あ、お、俺?!えっとね此処を……」


 テキトーな男性プレイヤーに話しかけ行き方を教えてもらった。

 其れにしても、何で此の人男に話しかけられてこんなにキョドってんだ?極度のコミュ障なのか?

 俺はお礼を言って教えてもらった道を歩いた。

 ゲーム内で特定の知り合いと合流するのは難しいだろうけど、其れは問題無い。アバターはリアルを基盤にしてるから顔はリアルよりだろうし、プレイヤー名は既に教えてもらっている。あいつはジンという名前らしい。ちなみに俺は名前からユウだと安直過ぎだから苗字からサクラにした。此れも安直だが、まあ桜の花は好きだから別に問題ない。

 しばらく歩くとようやく噴水が見えてきた。名前はプレイヤーの上に表示される為、プレイヤーが多い為、多少読みにくいがまあ何とかなる。こういう時はある程度身長が高い方が役に立つ。


 「えっと……あ、いたいた。お~い!ジン!」


 俺は手を振りながらジンに近寄った。


 「ん?サク……えっと、すみません人違いじゃないですか?」

 「え?お前、加藤真司だろ?俺と同級生で幼馴染の」

 「え、じゃ、じゃあお前、まさかユウか!?何でお前お姉さんになってるんだよ」

 「は?」


 身体を触ってみた。上はリアルより硬く、下には親しみのある感触がある。だが、髪は金髪で長さが腰より長い。ジンからステータスの見方を教わった。ステータスならアバターの全身が見られるからだ。すると性別はMAN、つまり男性だが見た目がどう見ても貧乳だが綺麗なお姉さんだった。


 「よ、良かったちゃんと男だ」

 「確かにお前ってリアル顔も女顔っぽいけどまさかこんな風になるとはな~ところで種族って何にしたんだ?」

 「え、何ってエルフだけど。魔法職系にしようと思ってるから」

 「エルフか~其れも原因かもな。エルフってアバターに補正がかかって美形になる様なってるらしいんだよ。だから余計にお姉さんっぽくなってるのかもな!縦セタジーパンにポーチとか持って新宿辺りを歩いたらモデルにスカウトとかされるかもな!」

 「うるせぇ、誰がやるかよそんな格好。其れで最初は何したら良いんだ?」

 「最初はやっぱり武器スキルの取得だな。武器スキルは全部大聖堂で教えてもらえるんだ。まずは其処だな」


 ジンはそう言って立ち上がり歩きだし、俺も其の後を着いていった。


 「其れにしても魔法職とは難儀なの選ぶな」

 「どういう事だ?」

 「魔法職はかなりランダム要素というかプレイヤーの適正っていうのかな、そういうのがかなり強く反映されてな。例えば火魔法を使いたいとするだろ、だけどいざ覚えてみたら水魔法しか使えないとか、付加エンチャント魔法しか使えないとか、そんな事がしょっちゅうあるらしいぞ。どうする、他のにするか?」

 「う~ん……武器スキルって其処で他にも取得出来るのか?」

 「ああ、出来るぞ。ただし二種類のスキルを使いこなすのは大変だけどな」

 「じゃあ、もしも単独で戦えない魔法しか覚えなかったら他のスキル覚えるよ」

 「そうなったら面白そうだな。お、言ってたら着いたな。あれだよ」


 ジンが立ち止まり指を指した先を見ると、其処には海外の今だに未完成なバカでかい聖堂が建っていた。


 「何かあれだな、あの聖堂なんちゃらミシェルとかいう大聖堂に似てないか?」

 「あ~……俺らの中でもあれを参考にデザインしたんじゃないかって言われてる」


 参考にっていうかもろに丸パクリの様な……まあ、良いか。


 「あそ此の列に並んで中に入れば武器スキルのチュートリアルが始まるから」

 「分かった。そういえば、並んでる人少ないな。10人位か、皆ジンみたいに深夜からプレイしてるのか?」

 「其れもあるが、プレイヤー層は社会人が多いみたいでな、俺たちと同じ様な年齢層は少ないみたいなんだ。だから仕事の関係でプレイ出来ない人が多いみたいだぞ」

 「なるほどな。其れじゃあ並んでくるよ」

 「おう、俺は狩りしてるから終わったらチャットで呼んでくれ」


 俺たちは其処で分かれるとジンは何処かへ走っていき、俺は大聖堂の列へ並んだ。

 並びながら周りを見渡して改めて思ったが、やはり種族のバリエーションが豊富だ。俺と同じエルフにお馴染みのヒューマン、獣人にドワーフや翼人種といった亜人種。スライムやゾンビ、スケルトンや吸血鬼みたいな異形種。本当に多種多様だ。流石はWLOだ。

 5分もしない内に俺の順番が回ってきた。かなり回転率が良いみたいだ。


 「おやおや、我等が聖堂に何のご用ですかな?」




サクラ現在のステータス

 MP:100

 SP:100

 STR:5

 VIT:3

 MAG:5

 RES:3

 AGI:5

 DEX:1

 INT:1

 LUK:1

・装備

 旅人の服(上下) 

・所持金:10000G

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