クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる

エスツー

第一章 覚醒編

第1話 これが異世界転生ってやつですのね?

「きゃんっ!」


 最初に感じたのは食堂に椅子から転げ落ちた事による一瞬の浮遊感と地べたへ叩きつけられた事によるお尻への鈍い痛み。


「ぐ……ああああああああああぁ!!」


 そして突如流れ込んでくる過去、別の場所で生きていた頃の記録に加えて特に鮮明に想起された、ある一つの遊戯。


 乙女ゲーム『ふぉーちゅん☆みらくるっ!』、悪役令嬢、クレイジーレズ。


 それは前世……わたくしが地球の日本という国でプレイしていた物の中で最も印象に残った乙女ゲームの記憶でしたわ。

 そして明晰な頭脳を持つわたくしは瞬時に今日まで生きてきたこの世界が『ふぉーちゅん☆みらくるっ!』を下にした物であり、自身がユーザーからクレイジーレズと呼ばれていた大ボス悪役令嬢、リリアーゼ・バレスチカである事を爆速で理解しましたの。


 まぁそんな事はさて置き、まだ心の準備もできていないというのに唐突に脳に雑多な情報を詰め込まれたせいで頭がくっそいてぇですわ!


「大丈夫かい、リリアーゼ?主に頭とか」


 頭を押さえてのたうち回るわたくしを心配そうな顔をして見つめながらくっそ失礼な事をのたまったこの黒髪黒目で赤のタキシードを着た青年はグレン・バレスチカ。

 バレスチカ子爵家の当主代理で歳は19歳。

 才色兼備なわたくしのお兄様なだけあってそれなりにイケメンですわ。


「まったく、食事中に騒騒しいわね。そんなのを椅子にしてるから無様にすっ転ぶのよ」


 呆れた顔をしつつ吐き捨てた同じく、ウェーブのかかった長い黒髪に黒目、蒼を基調としたドレスを身に纏う女性はアクアル・バレスチカ。

 バレスチカ子爵家長女で年齢は16歳。

 容姿端麗なわたくしのお姉様なだけあってそれなりの美少女ですわ。


 さて、一応描写はしましたが別にお姉様やお兄様の容姿なんてどうでもいい事ですの。

 元々知っている事ですし。


 前世の記憶が戻ったと言ってもわたくしの人格が別人の物と入れ替わったとかそういう訳ではありませんものね。

 そんな事よりわたくしにはまずやるべき事があるのですわ。


 アクアルお姉様が『そんなの』呼びしたに目を向けますの。

 するとそこにはややオレンジがかった濃いピンク、ロゼ色の髪をした丈の短いスカートのメイド服を着た少女が土下座の体勢で震えていましたわ。


 ちなみにこの少女はわたくしと同じ14歳。

 日本人だった頃の記憶が戻った事によって凡人の一般的な感性を少し理解できたわたくしですが、自分と同い年の少女を椅子代わりにするとかわたくしって結構やべー奴ですわね。


「申し訳……ございません。アーゼちゃん」


「最近の椅子はおしゃべりできるようになったんですのね。技術の進歩もここまで来れば大した物ですわ」


 わたくしの発言を受けて少女は床に伏せたままビクンと震えましたわ。

 それを見たわたくしは背筋がゾクゾクと震えるのを感じますの。


 あぁ……やはり自分が『お気に入り』の人生を握り、弄ぶ時の感覚、幸福感は格別ですわね。

 前世の記憶が蘇った事でわたくしの人格が消えたりしなくて本当に良かったですわ。


「お立ちなさいな、ロゼ」


 土下座していた少女がのろのろと立ち上がり顔をあげますの。


 わたくしがロゼと呼んだ少女はその名に恥じぬ、肩までで切り揃えた宝石のように綺麗なロゼ色の髪とパッチリと開いた同色の瞳をしており、これから叱責される事を恐れているのか眉が少し下がっているものの、美少女と言って差し支えない容姿をしていますわ。


 胸はやや小振りですが、そこがまた愛おしい。

 これからの成長が楽しみですの。


 着ているメイド服は先程までわたくしが彼女を椅子代わりにしていた事もあって、膝の辺りの白い生地が少し汚れていますわね。


 描写が多い?

 だってわたくしのお気に入りですもの。

 当たり前の事ですわ。


 贔屓目なしに彼女の容姿を客観的に評価するとしたらまぁ、アクアルお姉様より僅かに劣るぐらいでしょう。

 お気に入り補正が入っている事は否定しませんわ。


「もう椅子になるのは結構ですわ。明日からはちゃんとした丈夫な物を使いますもの」


 わたくしの言葉を受けてロゼの顔色がサッと青くなりましたわ。


 グレンお兄様はまーた始まったとでも言いたげな表情をしてやがりますの。

 一方、アクアルお姉様は興味のないフリをしながらも頬を赤らめてチラチラとこちらを覗っていましたわ。


 前にわたくしに時の事を思い出しているのかもしれませんわね。


「あなたには別の役割を与える事にしますわ。付いてきなさいな」


 戸惑うロゼの手を握り、食堂から退室しますわ。

 掌から伝わるのは温かい体温と手汗で少ししっとりとした柔らかい感触。


 手汗を一滴一滴ペロペロしたいですわね。

 そして嫌がる彼女の顔を一日中眺めていたい。

 あぁ、でも床についた手を舐めるのは流石に不衛生ですわ。



 ……って、このままじゃ話が進みませんの。

 雑念を振り払い、思考を切り替える事にしましょう。



 前世の記憶、もとい乙女ゲームの内容を思い出した事でわたくしは将来、自身とロゼ、あとついでにお兄様やらお姉様やらの家族が死の運命を辿る事を知りましたわ。

 そんなふざけた未来は当然ぶち壊すのは確定として、わたくしにはやるべき事がありますの。


 それは今まで貴族であるというプライドが邪魔をして出来なかった事。

 ……そう、ロゼに関する事なのですわ!


 原作で悪役令嬢の役割を担う、わたくしことリリアーゼ・バレスチカの悪行はバッドエンド、通称クレイジーレズルートにて主人公であるシャルロットを監禁し、◯ませるという、それはもう行き着くところまで行ってましたの。

 ですけれど、お気に入りであるロゼに対しては◯ませるどころか、◯す事も、それどころかキスの一つすらしている描写がなかったのですわ!


 なんという屈辱!

 なんという失態!!

 今すぐにでも遅れを取り戻さねば!!!

 


 という訳でロゼ、これからは毎日お気に入りであるあなたを徹底的に蹂躙して、このわたくしの中に沸る情欲を発散する事に致しますわ!



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 主人公、リリアーゼ・バレスチカのイメージ(AIイラスト)及び設定を近況ノートの方に載せてあります。

https://kakuyomu.jp/users/niiesu/news/16818622176289638231


 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければレビュー、応援コメント、作品のフォロー等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。


 あともしお時間があれば完結済みの前作もどうぞ。

 こっちも百合作品です。


 放逐令嬢、異国の巫女さんに拾われる~魔力量『しか』ないわたくしにだって意地ぐらいあるんです!~

 https://kakuyomu.jp/works/16817330663439513442

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