第26話

「秋葉に行くの元就さんといったぶりですわ」


そう言って挑戦的な笑みで、二人を見た。一葉とゆいぽんは元就くんが好きなところに二人っきりで行くなんてと言っている。そもそも中条が秋葉に一人で行くのが不安だし、俺は秋葉をよく知ってるから、行っただけなんだが。


「アニメとかアイドルが好きだから、一緒に行っただけだからな?一人だと間違いなくナンパされるしな」


「それなら私とも一緒に行こ」


「私ともだよー。何ならアイドルのことなら、現役アイドルである私が適任だしね」


「いや一葉はアイドルとアニメは元就くんを誑かすものだから、どうにかしないと言って俺をオタクからはなそうとしてただろ。それとゆいぽんは現役アイドルで有名人でもあるんだから、俺と歩いて週刊紙にでも撮られたら、アイドル人生終わるだろ」


「そうですわ。二人に秋葉を元就さんと歩くことはないんですわ」


すると二人はぐぬぬと唸る。まぁ図星のことを言ったからな。悔しがっているんだろう。ちなみにゆいぽんは一応変装をしてもらっている。ばれでも一葉達がいるから、大丈夫だが。念のためにな。


「さぁ行きましょう元就さん」


腕を抱くの止めろ。視線がきつくなってきた。なにあの男は美少女達に取り合いされるなどずるすぎるといった感じの視線を受ける。ある程度俺の顔も整っているから、そんな男よりも俺とといったナンパしてくるやつはいないが。まぁ中にはそいう感じのナンパをしてくるやつもいるが。


「腕を離せ中城視線が痛いんだよ」


「そんなの私と付き合ったら、やっていけませんわよ」


「何で付き合う前提なんだよ。付き合ったりしないからな」


「そうだよ。元就くんは私を選ぶんだから」


「違うよ私に決まってるじゃん。アイドルの夫なんて、羨望の眼差しを向けられるレベルだよ」


「どっちとも付き合わないからな。それに羨望じゃなくて、ファンに叩かれて、炎上して、外にでれなくなるわ」


「そうなったら私が外にでなくても生活できるように頑張るよ。それに外にでない方が他の女の子に元就を見せなくて済むしね。あれそれなら炎上した方がむしろ付き合えるんじゃ」


「おい携帯をこっちに向けるな。それ投稿して、炎上する気満々だろう。マジで止めろよ。俺は自由を愛してるんだから」


こんなことで炎上して、外歩けなくなるなんて嫌だからな。どんなことをしてでも炎上だけは防ぐ。俺はゆいぽんの携帯に写らないように顔を隠した。するとゆいぽんは観念したのか、写真を写すのを止めた。ふぅー助かったわ。アイドルに男の影があるとか、被害がいろんな所にいくからな。俺がひもになりたい夢も叶わなくなる。


そうこうしてるうちに最寄り駅に着き、電車に乗った。相変わらずこの時間でも混んでいるな。ほんと千葉の高校を選んでよかったわ。高校受験の勉強は進学校だけあって、大変だったけどな。


「久しぶり満員電車に乗ったよー。元就くん守ってー」


「分かっているよ。二人ともドア付近に来いよ」


そう言うと、二人はドア付近に来た。すると一葉は見せつけるように俺に抱きついてきた。二人の視線が痛い。確かに満員電車のときは離れないようこうすることもあったが、今やらなくてもいいだろ。周りの視線は電車の中では慣れたが、二人からのさすような視線は痛いんだが。


「何で抱きついているんですの?そこは私のポディションですわ」


「痴漢対策だよ。元就くんのものと証明して、痴漢をしてくる人を防ぐんだよ。、、、、それに元就くんに包まれてるような気がして興奮するし」


「むしろ匂いが本命なんじゃないんですの!」


どうやら小声だが、近くにいた中城には聞こえていたらしい。ゆいぽんはジーとこっちを見ている。それはそれで怖いんだが。


「元就、帰りは私がしてもいいよね?源にできて、私にできない何て言わないね?」


『それはさせないよ。ここは「元就に聞いているんだよ。源は黙っていて、いいよね?」くっ』


すごい圧力だ。これが修羅場を潜ってきたアイドルの圧か。これで他の女子を遠ざけてきたんだろうな。一葉も悔しそうに唇を噛むだけだし。中城は先を越されたという顔をしている。


「分かった。いいぞ」


するとゆいぽんは嬉しそうな笑みを浮かべる。圧がなくなりほっとした。かなり周りに緊張感が漂っていたからな。何とかなりほっとした。これを今まで浴びてきた女子には同情をするわ。


「それならよかったよ。変装もちゃんとするから、安心してねん」


「むしろしてなかったら、俺は炎上して、高校にすら通えなくなるからな。高校で青春したいのに、通えないとか最悪だからな」


「もちろんその中心は私だよね?」


「彼女できるまでな」


「ならずっと私だね。彼女なんて作らせないから。誰にも元就くんは渡さないし」


「源さん頼みますわよ。近づいてくる女子がいたら、潰してくださいな」


「もう二度と元就に近づけないくらいのトラウマを残してね」


「いや彼女は作るからな。俺のひもの夢を叶えるために」


「それなら私でいいでしょ?」


「いや私ですわ」


「なに言ってるの?私でしょ」


そう言ってまたバチバチと視線がぶつかる。そして周りの高校生からは嫉妬の眼差しを受ける。サラリーマンからはリア充砕け散れみたいな視線を受ける。ほんとヤンデレに好かれるのも大変なんだよ。だから普通の女子がいいんだよ。







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