失恋センセーショナル
@pa_pico
第1話
「好き」
「違うよ、それは好きじゃない、依存だよ。」
カランコロン。喫茶店のドアの鈴が鳴ったと同時に私の恋は終止符を撃たれた。
「そんなことない、大好きだよ、お願いもう一度付き合いたい。」
「無理だよ、同じことの繰り返しが見えている。今から付き合っても就職先は大学から遠いし、未来は今までよりも不安になるよ。」
「ううん、私が会いに行くから!」
「それでもだよ。意外と嫌になるよ。それに未来は鬱とかストレスとかのコントロールが聞かないだろ。また辛くなる。」
「でもそんなん、他の誰と付き合っても同じだよ。メンヘラしちゃう。」
「メンヘラが好きな奴もいるさ。」
先輩がだんだん同じことを何度も言わせるなというような表情になってきたのがわかる。ポーカーフェイスで有名な先輩のイライラがわかるぐらいには私はずっと先輩のそばにいた。
「私さ、どうしたら幸せになれるかな」
「まずは依存体質治すとこからじゃない。友達にも依存気味だよ。」
「どうしたらいいの?」
「まぁ、難しいかもしれないけど何か好きなこととか趣味見つけなよ。未来は推しとかいいながらそんなのめり込むほど好きなものってないじゃん。あと嫌なことにも弱い。何かを頑張れ。」
「まぁ、あとは色んな人に会いなよ。未来は俺が初めて付き合った人だろ。男なんていくらでもいることを知りな。」
正面からかまされたど正論に顔をぶんなぐられながらもはっきり言ってくれるこの人がやっぱり好きだなと思った。
カフェをでて温かくなり始めた3月の道を歩く。今日行ったカフェは2人が初めて付き合い一緒にご飯を食べた場所なことに気がついてなんだか切なくなった。食べ方を気にして、余計に上手に食べられなかった私に笑いながら好きに食べればいいと微笑んでくれた彼はもういない。
「私のこと好き?」
「答えない、ただ付き合いたいとは思ってないよ。」
脈なしすぎる。なしすぎてなんだかどこまでもいけるような気がしてきた。
「好き、好き、好き〜。大好き〜。多分これから先輩と出会う人の中で私が1番先輩のこと好き!だから私、可愛くなって、面白くなって、自立して先輩から告白してくれるぐらいいい女になるから。私、行動力ある系メンヘラだから、まだ諦めれない!」
「ははっ、相変わらずだなぁ。1ヶ月もすれば忘れるから大丈夫だよ。」
「じゃあ1ヶ月後!1ヶ月にもっかい会いたい。」
「時間空いてたらね、」
「ううん、絶対だよー」
「はいはい」
呆れたように返事をした。
古びた小さな駅の改札。潜り抜けていくその背中を見送った。もう、涙は出なかった。なんだか、別れてから今日会うまでの1ヶ月、言えなかった重いを伝えられてスッキリしたまでもある。
でもやっぱり私の心に先輩はいて、私が好きだと思うこの気持ちは依存なのかもしれないと思うとなんとも言えない思いになる。
しかし、そんなことばかりも言っていられない気がする。このなんともセンセーショナルな20歳の私の初めての失恋は私にとっても変わらなきゃいけない大事なことのような気がした。
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