第2話 はじめての魔術?
さらに洞窟の中を進む。
道中、幾度か分かれ道に行き着き、本能によりどちらへ進むかを判断して進んできた。
私の目にうつる景色はまだ進み始めたころと変わりない。
暗く、水が滴り、時折スケルトンに遭遇するだけの細い道。
そんなこんなで、洞窟を進んでいくこと約数日、大きた広間のような空間に出た。
どうやら私の体は飲食・睡眠を必要としないようで、ここまで休まず来ることが出来た。
「つ、つかれた…」
しかし、精神的な疲弊は別だった。
肉体的に疲れを感じずとも、ずっと同じような道を進み続けていれば、集中力が切れ、精神にも影響を及ぼし始めた。
精神的に疲れを感じ始めていた私はここで一旦休息をとることにした。
個体名:ーー
種族:譁ー遞ョ縺ョ遞ョ
性別:♀
異能:莠。髴翫?譚ッ
特性:魂読みの魔眼
魔術適性:水・風・闇
位階:一般中級
称号:異界の知識をもつ者
再び自身のステータスを確認する。
「魔術…?」
初めて自身のステータスを見たときから存在は認知していたが、今は気にする必要がないと思っていたものが今になって気になってくる。
知識を確認する。
「うぉーたーぼうる」
………
私の知識の中にはおそらく魔術とおもしきものの情報も含まれていた。
私が使うことのできるものはここにある水・風・闇の魔術なのだろう。
その中から、知識をもとに私に適性のある水の魔術を発動しようとするも何も起こらなかった。
しかし、魔術を発動することを諦めきれなかった私は、手を前に伸ばし魔術が発動するイメージをし、念じ続けた。
どれくらいの時間がたったのだろうか。
軽く数時間はたったと思う。
まだ、魔術を発動することは出来ていない。
感じていた疲労感もいつのまにかなくなっていたが、魔術を発動することを考え続ける。
それからまたいくらかたった。
私はまだまだ、魔術が発動することだけを考えながら念じ続ける。
ここまで発動しないと、本当にやり方があっているのか、そもそも発動するのか、と色々不安になってくる。
ヒュン
「!!」
あれからまた数時間たったころ、何の前触れもなく急に私の手から水の塊が射出された。
私は嬉しくなった。
そう嬉しくなった。
嬉しくなった結果、先程の感覚を頼りに何も考えず、水の塊を何発もあちこちに打ち出した。
キー、キー
すると、洞窟の奥に何か黒い塊が見える。
その塊はばたばたと音を発しながらこちらにどんどん近づいてくる。
キー、キー、キー、キー
理解する。
あれが生命体の塊であることを。
それを認識した途端、私はもと来た道に走り出した。
もと来た道もそれなりに戻ったところで後ろを振り返る。
なんとか逃げ切ることができたようだ。
知識によるとあれはコウモリという生物らしい。
ステータス閲覧、もとい鑑定をする余裕はなかったがたぶんコウモリだと思う。
コウモリが危険かどうかは知らないが、あれだけの数で来られると本能的な恐怖を覚える。
私が、適当に打った水の塊が奴らにあたって、怒らせてしまったのだろう。
次からは気をつけなければ。
ヒュン、ヒュン
ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン
でも、私にとって初めて発動できた魔術。
打つのがとても楽しい。
私は、これを当分やめられそうになかった。
ヒュン、ヒュン
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