第22話

翌日、私は井出くんを昨日のこと説明するために

誰もいない非常階段へ呼び出した。



「井出くん!」



「おう」



「昨日はごめんね、巻き込んじゃって・・・」



「それはいいんだけど…」



「理由だよね…?」



「…言えないならいいんだよ話さなくて」



「ううん、私・・・栗原たちと色々もめてるじゃん?…それで、いつ何されるか分からないから、護身でボクシングジムに通ってるの」



「あいつらにリンチみたいなのされてんのか?!」



「あ、いや・・・されてはないけど、された時にしっかり身を守れるようにって」



「無理しすぎだろ・・・それ」



「やられっぱなしは…悔しいだけなの。自分のためにやってることだよ」



「それはよくわかんないけどさ…助け求めたっていいんじゃないの?全部一人で抱え込むことないだろ」



「私にそんな友達はいない」



みんな…私が一人でも平気だと思って

ずっと見て見ぬ振りだったよ・・・



「・・・俺が・・・久樹を守るよ・・・」



「ん?」


あまりにも小さな声で言われたので、

"俺が"の部分しか聞き取れず私は聞き返した。


「なにー?俺が友達になるよって?」


井出くんが黙ったままだったので

私が冗談ぽくそう言うと

井出くんは頷いた。



「ありがとう」と私は笑顔で言った。



「おお」と照れ臭そうに答えた。



「でもなんで保護者に隠す必要があるんだ?」


そこが気になったようで、

井出くんは再びさっきの会話に戻す。



「ボクシングなんて女の子らしくない!って禁止されたの」



「ああ、それで彼氏出来たって言えば、出掛ける口実が出来るわけだ」



「ごめん、その時それしか思いつかなくて・・・」



「いいけど…それで本当にバレないのか?そもそも彼氏はOKなんだ」



「多分…?」



「嫌だったらいいんだけどさ、今度久樹ん家に遊びに行っていい?」



いきなりの誘いに私は「え?」と目を見開いて井出くんの方を向く。



「家に行けば、おばさんも怪しまないかなーって・・・」



「おお!なるほど!ナイスアイデア!!来て来て!是非おいで!狭くてボロいとこだけど来て!」



「え、超お嬢様なんじゃないの?」



「それはまた説明すると長いから今度話す!昼休み終わる前に早く行こう!」



「あ、ほんとだ」


そう言って二人で非常階段を後にする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る