第6話 Prayの討伐
Prayはすぐに襲い掛かって来た。
「お前ら全員皆殺しだ。」
そう言って手から出したのはとても強そうな剣である。黒く闇のような見た目とは裏腹に、少し光り輝いている。それをこちらに一振りしてきた。それは想像以上に強い力だった。当たっていないというのに、謎の力で1mほどノックバックされた。
「・・・なんだこれは!!」
シャツてるみやは想像を絶するような攻撃に声を上げた。
「ふん、夜てるみやを倒したとて、大したことないんだな。」
Prayはそう言ってもう何発か剣を振ってきた。こっちはどんどんノックバックされる。しかも、痛みを感じる。本当にこの剣はなんなんだ。だが、俺もそう弱音を言ってられない。隙をついて反撃だ。と思ったら、波動を出しても全て剣で切り裂かれる。どうなっているんだ。
「早く勝負を付けないとな。まずはシャツてるみやからか。」
― 技・ダークウェーブ
Prayはそう唱え、紫色の波のようなものを出した。音速に近い速度でシャツてるみやに向かっていく。まずい、このままではシャツてるみやが危険だ。そう思い、波を斬ろうとした。これは案外斬れる。危機一髪でシャツてるみやは攻撃が当たらなかった。
「はあ。つまらないな。だが、これはウォーミングアップだ。じゃあ、面白くないジョルジョバから殺った方がいいか。」
ここで俺は作戦に出た。まず、『技・素材移動』で一瞬にしてPrayの背後に身を隠す。その後、『技・素材爆弾』でダメージを与える。これでPrayはかなり弱るはずだ。そう思って早速作戦に出た。
― 技・素材移動
これでPrayの背後1mほどの岩に身を隠す。
そして、一気に近づいて・・・
― 技・素材爆弾
Prayを爆発に巻き込んだ。やった。成功だ。
成功・・・なのだが・・・
「おお、思ったよりやるじゃないか。ちょっと痛みを感じたよ。」
『ちょっと痛みを感じた』...?今ので少しの痛みなのか??タンスの角に小指をぶつけたとかそういうレベルか?もうどうしようもないじゃないか。
「まあ、でもこれで俺の勝ちが確定したな。今のが本気なら、後は俺が攻撃するだけだ。この一撃で決めてやるよ。」
― 奥義・波動壱式
これは... 夜てるみやを倒した時の『奥義・波動零式』の進化形態か?もう、俺は死ぬ覚悟をしなければならないようだ。何故だ...まだ15年しか生きていないのに!!俺はまだ死にたくない!!ここまで頑張って王位に上り詰めたり、技を習得したりしてきたのに!!しかも、まだ謎のてるみやの軍勢の正体も分かっていないというのに!!なんで俺がこんな目に、、、う、、、もう死ぬのか、、、、、、
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
あれ、死んでいない?
― 大技・マテリアルエナジー
その時、戦場が光に変わったのである。
「・・・痛い!!!なんだこれは!!どんどん痛みが蓄積されていって...」
そう言い残して、Prayは倒れた。
・・・これは誰かが技を打った...?いや、違う。シャツてるみやすら、逃げてどこかへ行った。つまり、これは俺自身の力なのか?
でも、なんか眠くなってきた...
― 翌日
目が覚めると、俺は城にいた。誰かが運んでくれたのだろうか。それにしても、昨日の出来事はまだ忘れられない。恐らく、『死にたくない』という感情が素材をエネルギーに変換し、意図せずとも大量の素材値が減るマテリアルエナジーを打てたのだろう。それに伴い、素材値の減少は体力を奪う。そうして、俺は眠りについてしまったのだと考えられる。でも、今は完全に回復して元気だ。
「ああ、目を覚ましましたか。」
そう声を掛けられ、後ろを振り返るとhimasanがいた。あの王位を継ぐ予定だったPlay国の国民である。
「どうしたんですか。」
「敬語など必要ありませんよ。あなたはPrayを倒した偉人なのですから。」
そういえば、Prayは大量に軍を送っていたのは確かだ。自分だけの影響にばかり注目していたが、Play国に被害はあったかもしれない。そう考えると、俺は救世主...?そういうことにしておこう。
「えーと、それじゃあ... それで、今日はどうしたの。」
「あなたの部下にさせてください。」
流石にいきなりすぎて笑ってしまった。そんなことを言われるとは思いもしなかった。でも、部下にするデメリットというのは考えても出てこなかったので、こう質問してみた。
「じゃあ、君がどんな能力を持っているか見せてほしい。それで、君を部下にするか決めたいと思う。」
部下にするにも、弱すぎたら意味がない。それに、能力を見てみたいという好奇心が湧いて来たのだ。
「・・・分かりました。では、僕の最大の技を見せます。」
「あ、ちょっと待ってくれ。ここで技を出したら町が壊れるかもしれないから・・・ちょっと場所を変えよう。」
俺はそう言って、国の闘技場へhimasanを案内した。え?いつそんなものを作ったかって?実は、技の習得をしていた時の休憩で、建築家のトクマツに建設を依頼していたんだ。あとは、城の修繕も頼んでいたのだが・・・それはまた別の話だ。
闘技場に着くと、この国に相応しくないほど立派な出来栄えに俺が一番驚いていた。実は、忙しくて闘技場に来るのは初めてなのだ。
「ここが闘技場だ。資材的にある程度の技には耐えられるから、ここで技を打ってほしい。」
「わかりました。では、発動します。」
そう言って、himasanは両手に力を貯め、やがて手が虹色に変化していった。彼は呼吸を整えているようだ。
― 大技・マテリアルレインボー
そうすると、八方向に虹色の光が出た。速度はそこまで速くないが、それでも威力は絶大で、あの頑丈な建物の一部にも関わらず凹んでしまった。
「どうでしょう?これが僕の力です。」
「素晴らしい。無論、部下として認めるよ。」
「ありがとうございます。これからも精進してまいります。」
そうしてまた冒険が始まるのであった。
― 一方その頃...
「クソ...!!あと一歩だったというのに!!何故あいつ、殺られる瞬間に技を発動できたんだ。意味が分からない!!」
「ミゾチルドレン様、どう致しましょう。」
「もうお前が行ってこい!!お前なら簡単に殺せるだろ。」
「フフ、任せてください。あんな雑魚らは私のおにぎりを与えただけで死ぬでしょう。」
そうしてさらなる『混沌』が待ち構えることになる。
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