第2話 機能不全家族、はじまる

 普段の生活とは、いったい何だったのか。母が去った家の中は静か……というほど落ち着いていなかった。当時の筆者は7歳の小学2年生、弟は4歳の年長だった。母が不在でも小学校には通う。弟も幼稚園へ。そうして母がいない「新しい普段の生活」が始まった。


 母が入院した時期から母方の祖母や、父方の叔母が家の手伝いに来ていた。父だけでは手の回らない家事を行い、筆者兄弟の面倒を見てくれた。

 母が亡くなり、いつからか父と兄弟と3人の生活になった。前年まで兜飾り《かぶとかざり》があった和室には真新しい仏壇が鎮座している。


 家族が一人減っても生きていかなければならない。寂しくて泣いても、母の柔らかい手は頭を撫でてくれない。家の中から次第に減っていく母の香りを惜しむほど、情緒も育っていなかった。

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