第5話『秋穂の試験』

「次は秋穂だが……13歳では冬から季節を変えるのは難しいね。白雪、夏に戻してみなさい」


「はい。おじいちゃん」

「そこは師匠だろう?」

「はい師匠っ」


 白雪は、白雪姫が森で歌うように歌を歌い始めた。雪の降った大地に次第に草が溢れる。森の動物たちが集まりだした。森の動物たちと白雪姫の大合唱だ。そして辺りに夏が訪れた。

白雪の魔法はお芝居で発動するものだった。


「これで夏になったね。秋穂、夏から秋にしてみなさい。出来なくても大丈夫。君は合格だから、気軽に魔法を試しなさい」


「はい。私の魔法は、天下無双のプロゲーマー。得意なのは音ゲーです。夏の歌を音ゲーでやります。画面がないので目隠しで──」 


 秋穂はゲームのコントローラーを両手で握ると目をつぶりエアーゲームを始めた。



 ダダダダダダだ。

 ダンダダン。

 まるで太鼓を叩くよう。


「フルコンボー」


 秋穂が目を開いた瞬間、紅葉の木が生い茂った。秋の到来だった。


「えっへん」


 秋穂の魔法はプロゲーマーだった。

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