ふたりだけパーティの親友が運命の相手だった話♂
あやの屋
第1章 ‐男の娘が現実にいるなんて聞いてない‐
プロローグ♂
──唐突ですまない、俺は〝
『男の子でありながら女の子よりも可愛い』なんて最強すぎる。
しかし悲しいかな。
〝男の娘〟がメインヒロインな作品はいつだって打ち切りのような巻数で終わる。=体感的に3巻程である。
たまに『男の娘と思いきや実は美少女でした』とトリッキーに人気の低迷を防いだりもするだろうが、それは下劣だ。というかあまりにも残酷だ。俺の生き死にに関わる。
男の娘として生を受けたキャラクターが、星の数ほど存在する『美少女』というなんとも特別感のない肩書きに収まるのだ。
こんなにも哀しいことはない。
ストーリー序盤の縞パンふくらみパンツはどうした。
おっぱいよりも夢のあるあのふっくらはどこへ行った。
こないだ読んだラノベだって、男の娘ヒロインかと思いきや幼い時に主人公をいじめていたお嬢様が男装していたってオチだった。
ネットではその展開を大絶賛。
理想を踏みにじられるのは毎度少数派だ、このひとごろし。
「語るな。ホ●
「ばっか。男の娘好きはちょっと違うだろうが、女の子よりも可愛い存在がいるのに好きにならない方がおかしい。というか俺の周りに男の娘好きがいないのが変なんだ」
「まあ、友達なんてボクしかいないわけだし」
可憐な金髪エルフが俺にいじめっ子みたいな挑発的な微笑みを見せる。
彼女──いや、正しくは彼(
いわゆるネカマという存在だ。
ここはVRオンラインゲーム『ヨルムンサガ』の中、まさに異世界に転生したかのような世界設定。
オープンワールドであり、マップの広さとグラフィックの美しさはギネスにも登録されているほど。
プレイヤーは自由にキャラクターメイキングを行い、[モンスター退治/宝探し/拠点&NPC作成/
俺は人間種の
こんなドスケベボディのエルフのくせに操作しているのは男なのだ。
勘違いしないで欲しいのだが、流石に趣味じゃない。
俺が好きなのは男の娘であって、女の子を演じているおっさんではない(リアルで会ったことはないけれど)。
「でもそんなに男の娘が好きならさ、なんでキャラクターメイキングで中年男性にしたわけ? その浪人みたいなのじゃなくて」
俺の操作キャラクターはガタイの良い髭面のおっさんで銀色の西洋甲冑を装備している。
「
「ごめん。よくわかんないしキモイわ」
「ネカマやって男プレイヤー騙してるお前には一生理解出来ない
まったくこいつときたら。
ゲームと映画の趣味以外はまるで分かり合えない。
遠距離職業が好きなのだって、デバフ付与系スキルでじわじわ相手をいたぶるプレイとか。
俺が好きな戦い方はシンプルだ、攻撃力の高い技で押しまくる。
──────(女性プレイヤーの悲鳴が響く)
被害プレイヤーの声が届いたという事は遠いエリアではない。
数週間通ってようやく標的の狩場に遭遇できた。
「今回のPKはどんな奴だっけ」
「ほんと男の娘のこと以外覚えないよね。アイテム狙いの通り魔だ。プレイヤー名[
「不吉な数字を名前にしやがって。ろくな奴じゃねぇぞ」
「あ、そういえばイナリ。この討伐終わったらリアルで会って遊びいかない? 弟が友達と遊園地に行く予定だったんだけど、その相手が風邪になっちゃったみたいでさ。チケット2枚くれたんだよね」
「あのさー、結構重要な戦いの前に約束とかやめなー。それ死亡フラグ」
「じゃあキャンセル?」
「行くに決まってんだろ。ばぁか。楽しみで負ける気がしねぇよ」
「やった。イナリのブサ面ようやく拝めるね。へへ」
無邪気に笑う巨乳エルフ。
この笑顔におっさんが重なるようになるのは少し寂しいが、人生初の親友とのオフ会である。
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