第十二章


第十二章:暗黒の軍勢との戦い


リリィとアレンが王宮を発ち、険しい山道を越え、雪深い北部に足を踏み入れると、寒風が彼女の顔に吹き付けた。しかし、その冷たさにもかかわらず、リリィの心は燃えていた。暗黒軍勢の存在が王国に迫る危機となりつつあることを彼女は痛感していた。星の力を持ってしても、この力がどれほど強大なものか、まだ完全には分かっていない。


「リリィ、あと少しだ。」アレンの声が響いた。「準備はできているか?」


リリィは前を見つめ、しっかりと答えた。「ええ、私の力で戦うことは決めた。どんな試練が待っていようと、王国を守るために立ち向かう。」


アレンはその言葉に深くうなずき、二人の足はさらに速まった。やがて、北部の平原に差し掛かると、視界の先に不穏な気配を感じ取ることができた。煙が立ち上り、暗黒の軍勢の拠点が見え隠れしている。そこには、黒い旗が風に揺れているのが見え、鋭い冷気が彼女たちを迎えた。


「ここが彼らの拠点か…」リリィは冷徹な視線を向けた。「全てを終わらせるために、私は今ここにいる。」


アレンは慎重に周囲を見回し、暗黒軍勢の位置を確認した。「我々だけでこの軍勢を打倒するのは難しいだろう。だが、君の力があれば、その先に進めるはずだ。」


リリィはゆっくりと深呼吸をし、星の力を感じ取った。宝石が輝きを増し、その光は彼女の体を包み込んだ。手のひらを広げると、空間が震え、星の力が集中していくのを感じた。アレンはリリィの変化に驚きながらも、彼女が力を制御していることを確信していた。


「行こう。」リリィは静かに呟くと、一歩を踏み出した。


暗黒軍勢の陣地に足を踏み入れたその瞬間、大地が震え、空気が変わった。闇の魔法が空を覆い、黒い霧が辺りを包み込む。それでもリリィは恐れることなく前進を続けた。


「星の力よ、私を導いて。」リリィが呟くと、彼女の周囲の空間が光り輝き、星々の輝きが光線となって暗黒の霧を打ち破っていった。その光が進む先には、黒い鎧を着た暗黒の兵士たちが立ちふさがっていた。


「星の力を使う者よ、ここで止まれ!」兵士たちが一斉に声を上げ、暗黒の魔法を放った。その魔法は鋭く、強力で、光の壁を突破しようとしていた。


「星の力、集え!」リリィはその言葉を叫び、手を広げた。すると、空に無数の星々が集まり、光の矢となって暗黒の兵士たちに向かって放たれた。その一撃で、兵士たちは次々と倒れ、闇の魔法が光に打ち消されていった。


だが、兵士たちの数はあまりにも多く、リリィの力だけでは全てを打ち倒すのは難しいと感じた。突然、背後から強烈な魔力の波動が押し寄せた。それは、これまでリリィが感じたことのないほどの圧倒的な力だった。


「気をつけろ!」アレンが叫んだ。


振り向くと、そこに立っていたのは、暗黒の軍勢の指揮官と思われる人物。彼の黒い鎧は、まるで闇そのものでできているかのように、星の光を吸い込んでいた。その顔は見えなかったが、彼の周りには強力な魔力が渦巻いていた。


「我が名はオスヴァルト、暗黒王国の王であり、星の力を宿す者を滅ぼす者だ。」彼は低い声で言った。


リリィはその言葉を聞いて、胸の奥で何かが震えるのを感じた。オスヴァルトは、ただの軍勢の指揮官ではない。彼こそが、星の力を知り、その力を抑え込もうとしている存在であった。


「リリィ、注意して!」アレンが叫んだ。「彼の魔力は強力だ。」


オスヴァルトはにやりと笑い、手を一振りした。その瞬間、周囲の空間が歪み、黒いエネルギーが放たれた。リリィはそれを感じ取ると、すぐに星の力を全力で放つことを決意した。


「私の力を、今こそ使いこなす!」リリィは叫び、星の力を全開にして立ち向かった。


瞬間、空中に星の光が爆発的に広がり、オスヴァルトの黒いエネルギーと激しく衝突した。彼の魔力とリリィの力がぶつかり合い、周囲の大地が揺れ、爆風が吹き荒れた。


リリィの体はその力に引き寄せられ、倒れそうになった。しかし、彼女は負けなかった。心の中で星の力に呼びかけ、再び立ち上がった。光の力が彼女の体を包み込み、星々の輝きが一層強くなる。


「星の力よ、私に力を与えよ!」リリィは全身を震わせながら、その力を引き出した。


すると、オスヴァルトの魔力が揺らぎ、彼の黒いエネルギーが一瞬途切れた。その隙を見逃さず、リリィはその隙間を突いて、星の力を一気に解放した。


光の矢がオスヴァルトに向かって放たれ、黒いエネルギーを貫いた。彼はその攻撃を受けて大きく後退し、地面に膝をついた。


「こんなことが…」オスヴァルトは驚愕し、息を呑んだ。


リリィはその隙を逃さず、さらに星の力を集め、オスヴァルトに向かって一撃を放った。その光の波動がオスヴァルトを包み込み、ついにはその黒いエネルギーが完全に消え去った。


オスヴァルトはその力に押しつぶされるように倒れ、最後の言葉を吐き出した。「我が王国は…星の力に負けることはない…」


その言葉が途切れると、彼の体は消え、周囲の暗黒の魔力も消失した。


リリィは息を整え、周囲を見渡した。暗黒の軍勢は指揮官を失い、混乱に陥っていた。リリィはその力を封じ込め、王国を守るために戦い抜いたのだった。


「これで、王国は守られた。」リリィは静かに呟き、空を見上げた。

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