第2話「見えない気持ち」
・自宅(リビング)
ソファに寝ている千尋の布団を剥ぐ哲平
哲平 「おいちー! 起きろよ! 今日八時からなんだろ?」
千尋 「やだー。寝たのさっきだもーん」
哲平 「わざわざこっちにくるからだ! 家帰って寝ればいいものを! ほら! もうすぐ恵ちゃん来るぞ!」
千尋 「だって眠いー……」
哲平 「恵ちゃんにケツ叩かれても俺助けねぇからな!」
千尋 「うんー……てっちゃんが叩いてよー」
哲平 「はぁ? 分けわかんないこと言ってないで起きろって!」
クラクションの音が聞こえる
哲平 「ホラ! 来た!」
千尋 「うわ~ん。皆で僕をいじめる……」
ふらふら立ち上がり枕を持ったまま玄関に向かう千尋
哲平 「あ! おい! 服着替えろ!」
玄関の扉が開くと恵が入ってくる
千尋と哲平を見て呆れる恵
恵 「はぁ~…御戯れの所申し訳ありませんがね、お仕事なんですよ。昨日何時まで遊んでたんだ?!」
千尋 「さっきまでー。ねぇ恵ちゃん僕眠くてお仕事できないー……」
恵 「おいクソガキ! うちの息子弄って遊ぶのはいいけど、ちゃんと次の日のことを考えてしろ!」
哲平 「はぁ?! 何のことですか! 俺は何にもしてません!」
恵 「え? 俺はてっきりお前が上だと思ってた。お前ネコか」
哲平 「何の話をしてるんですか! 俺も仕事なんですよ! さっさと出て行け馬鹿親子!」
恵 「こえぇ~。ちーなんでこんな奴がいいの?」
千尋 「え~なに~?」
恵 「まぁいいや。んじゃなー」
出て行こうとする恵
哲平 「あ! 待って! 服!」
千尋の服を持っていく哲平
恵 「あ、こいつジャージかよ。車ん中で着替えろ」
千尋 「うんー。あ、待ってー。てっちゃ~ん」
戻ってくる千尋
哲平 「何」
千尋、哲平にキスをする
千尋 「愛してるよ」
哲平 「な……」
千尋 「じゃ~ね~」
去っていく千尋
哲平、呆然と立ち尽くす
哲平M「あいつは相変わらずです……」
***
・会議室
沢山の人が座っている
スタッフA「えーでは、今回の写真集のカメラマン、
暁 「相模暁です。えー、ファースト写真集ということですが、千尋くんの普段の仕事を拝見させてもらったところ、カナリいけると思うので、最初から狙って行きたいと思います。千尋くん、よろしくね」
暁、千尋に向かって笑う
千尋、表情だけで笑う
千尋 「よろしくお願いします」
***
・楽屋
千尋、椅子に座りながら伸びる
恵、隣に座っている
千尋 「恵ちゃーん、今日何時に終わるの~?」
恵 「あー、お前の頑張り次第だけど、八時九時には終わるよー?」
千尋 「じゃーてっちゃんちまで送ってねぇー」
恵 「おぉ。でもお前程々にしとけよ? あいつも仕事あるんだから。翌日に響くようなのはー」
千尋 「えー、大丈夫だよー。僕達ゲームしてるだけだもん」
恵 「ゲーム? ……如何わしいゲーム?」
千尋 「違うよー」
恵 「何? お前ら何にもしてないの?! まだ?!」
千尋 「してないよー」
恵 「何で?! 付き合ってんじゃねぇの?!」
千尋 「わかんないー。でもてっちゃんキスしても怒らなくなったよー?」
恵 「こんな可愛いのが目の前で寝てるのに何もしないだなんて! あいつは不能か?!」
千尋 「あははは~」
恵 「もうお前無理やりやっちゃえばいいじゃん。それかまた酔わせろ」
千尋 「恵ちゃん、無理やりは犯罪だよ~?」
恵 「あ~、俺の可愛い息子があんなクソガキに手を出してもらえないなんて……」
恵、千尋を抱きしめる
ノックがすると離れる二人
恵 「どーぞー」
扉が開きスタッフAが顔を出す
スタッフA「準備完了しましたので、スタンバイお願いします」
恵 「はーい。ほら、千尋行ってこい」
千尋 「はい」
***
・スタジオ
撮影をしている千尋
カメラマン「千尋くん今日ノってるねぇ~」
千尋、軽く笑う
カメラマン「いいよいいよ~」
遠くでそれを見ているスタッフB、C
スタッフB「千尋くん、やっぱカッコイイよねぇ~」
スタッフC「ホント、無口だけどさー、それがさらに引き立てるというか」
スタッフB「帰国子女だって? イタリアから」
スタッフC「そうそう、でも謎が多いんだよね、仕事も写真オンリーだし、インタビューも受けないっていうんだから」
スタッフB「あーでもそれって日本語が分からないからって聞いたけど?」
スタッフC「違うよー、イタリア育ちで、口を開けば誑し込んじゃうからマネージャーの永久さんがきつーく言い聞かせてるって!」
スタッフB「え~、千尋くんになら誑しこまれた~い」
スタッフC「ね~」
***
・楽屋
千尋、椅子に座りながら伸びる
傍に立っている恵
千尋 「もう終わり? 永久さん」
恵 「あぁ」
メイク「今日も順調でしたねー。写真集、楽しみにしてるんで頑張ってください!」
千尋 「ありがとう」
千尋、表情だけで笑う
恵 「それじゃあ、お疲れ様です」
千尋 「お疲れ様」
メイク「お疲れ様でーす!」
出て行く二人
***
・廊下
暁 「あ、いたいた」
千尋に気がついて近寄ってくる暁
恵 「ん?」
暁 「お疲れ様です。もうお仕事これで終わりですか?」
千尋 「えぇ」
暁 「親睦深めがてら、食事に誘いたいんですが、いかがでしょう?」
暁、恵を見る
恵 「えぇ、どうぞ」
千尋、恵を見る
暁 「あ、予定があったかな?」
千尋 「いえ、喜んでご一緒させてもらいます」
暁 「それはそれは」
恵 「それでは、私はここで失礼します。千尋」
千尋に耳打ちをする恵
聞こえないように会話する二人
恵 「あんま喋んなくていいから、〝地〟だけは出すなよ!」
千尋 「恵ちゃんの馬鹿ー」
恵 「営業だと思え営業!」
千尋 「営業ってなぁにー」
恵 「いいから! さっさと行け!」
離れる二人
恵 「じゃあ、明日は十時だから」
千尋 「お疲れ様です」
***
・店
静かなレストランで食事をしている千尋と暁
暁 「こういう店は気に召さなかったかな?」
千尋 「いえ、とても雰囲気も良くて、料理も美味しいです」
微笑む千尋
暁 「無口なのは元々? それともキャラ設定?」
千尋 「どうでしょう?」
笑う千尋
暁 「中々崩せそうにもないね」
暁、笑う
暁 「イタリア帰りだって聞いたけど、お母様はイタリア人?」
千尋 「いえ、日本人ですよ」
暁 「じゃあ生粋の日本人なわけだ。確かに永久さんも凄く綺麗な顔をしていらっしゃるけど、お母様もさぞ綺麗な方だろうね、一度お会いしてみたいよ」
千尋 「……母は、もう他界しているんです」
暁 「そうか……すまない」
千尋 「いえ、お気になさらず。僕が生まれてすぐに亡くなったので、僕自身覚えてないんですよ」
暁 「そうか。写真の仕事しかしないのは何故?」
千尋 「話すのがあまり得意ではないので。そうだ、僕は写真に詳しくは無いんですが、この間、相模さんの写真集を拝見させていただいたんです。僕あの、風景写真が凄く好きです。イタリアの」
暁 「あぁ、見てくれたの。ありがとう」
千尋 「日本に帰ってきてまだそれほど経っていないのに、なんだか凄く懐かしくて、写真だと思えないくらい素晴らしかった。特にあのAngel's Ladder《エンジェルラダー》」
暁 「あぁ」
千尋 「僕あの近くに住んでいたんです。あそこにはパパが……あ、いえ、父が」
暁 「ふふふっ」
千尋 「あ、あの」
暁 「いや、すまない。やっぱり君のはキャラ設定だね。噂とはまったく違うじゃないか。無口だなんてまったくの嘘」
千尋 「あっ……」
暁 「やっぱり食事に誘ってよかったよ。君の本質を垣間見れた。この調子だと、いい写真が撮れそうだよ。よろしくね」
千尋 「はい」
まずいという顔をする千尋
***
・街
哲平、仕事終わりで同僚Aと同僚Bと歩いている
反対車線に千尋と暁を見つける
哲平 「あっ……」
哲平M「ちーと……誰だ? ちーが恵ちゃん以外の人といるなんか珍しいな……。仕事の人か」
同僚A「何? あ、この前の貴族の子じゃん」
同僚B「うそうそ! どこ?!」
同僚A「あっちの歩道」
同僚B「ほんとだー! ねぇ加々見くん! いつ紹介してくれるの?!」
哲平A「え? あ、紹介? あー、いつだろう?」
同僚B「何それー、あーでもやっぱあれくらいの上玉だと女の二人や三人いるかぁ」
同僚A「そうそう、貴族は一般人なんかに手出さないのよー」
同僚B「はぁ~」
同僚A「でも何、加々見はどういう知り合いなわけ? お前も貴族……なわけねぇよなぁ」
哲平 「失礼だなぁ。従兄弟だよ従兄弟」
同僚A「従兄弟?! じゃあやっぱお前も貴族か!」
哲平 「なんだそりゃ。飲みに行くんだろー? さっさと行こうぜ」
***
・自宅(リビング)
風呂上りでテレビを見ている哲平
扉が開く
哲平 「ん? ちー?」
玄関の方を確認する哲平
千尋が入ってくる
千尋 「てっちゃーん」
哲平 「何、お前、またこっちに来たの?こんな遅いんだったら恵ちゃんとこ帰れって。また怒られるよ?」
千尋、哲平を後ろから抱きしめる
千尋 「シャンプーのいい匂いがするー」
千尋、首筋に顔を埋める
哲平 「おい、ちょっと、くすぐったいからやめろ! っつかお前酒くせぇぞ! 飲んだのか?!」
千尋 「ちょっとだけね」
哲平 「てめぇ未成年だろうが」
千尋 「イタリアでは十六歳から飲めるよー」
哲平 「ここは日本!」
千尋 「あーん。意地悪」
千尋、哲平を膝の上に倒してキスをする
哲平 「んっ……!……ちょっとっ……ちー!」
千尋 「いやー?」
哲平 「だってっ……お前……酔ってるじゃん」
千尋 「ちょっとだけだよ?」
キスをする千尋
哲平 「……んっ……ぅ……」
千尋 「てっちゃん。なんか薬みたいなの飲んだでしょ」
哲平 「え……?」
千尋 「苦い……」
哲平 「嫌ならどけ!」
哲平、千尋から逃れる
千尋 「え~」
哲平 「もー、明日何時から?」
千尋 「十時ー」
哲平 「じゃあさっさと風呂入って寝ろ」
千尋 「一緒に入ろー?」
哲平 「嫌だ! 俺はもう入ったし!」
千尋 「男同士なのに何が恥ずかしいの?」
哲平 「お前はいろいろ普通じゃないんだ! ばーか!」
千尋 「ひどいー!」
***
・自宅(寝室)
哲平、違和感を感じて目を覚ます
哲平 「……ん……って! ちー?」
隣に寝ている千尋
千尋 「……スー……スー……」
哲平 「なんでお前がここで寝てんだよ……」
千尋 「……んー……スー……スー……」
哲平 「まぁいいか……」
寝る哲平
***
・自宅(寝室)
朝、鳥の鳴き声が聞こえる
目覚ましが鳴っている
哲平 「んー……」
目覚ましを止める
哲平 「おい、ちー。起きろ。お前仕事だろ……」
目を瞑ったまま声をかける哲平
千尋 「んー……後五分……」
哲平 「また恵ちゃんに怒られるよー」
千尋 「やだー……」
哲平 「だったら起きろって、もう来るよー」
恵 「もう来てるよ」
寝室の戸口に立ってる恵
哲平 「な!」
飛び起きる哲平
恵 「仲良くご就寝のところ申し訳ないのですが、例によって、千尋さんはお仕事なのでお貸しいただいてもよろしくって?」
哲平 「恵ちゃん目が笑ってないです……」
恵 「おいちー! さっさと起きろ! 次こんなだったらもうこっちに来させないからな!」
布団を引っ張る恵
千尋 「やだー……恵ちゃんの意地悪ー……」
布団を離さない千尋
恵 「そういうことは布団から出て言え!」
千尋 「はーい……」
すごすごと布団から出る千尋
恵 「お、なんだちゃんと服着てんじゃん」
千尋 「えー?」
恵 「酔った勢いでやっちゃったんじゃないの?」
哲平 「やってません!」
恵 「なーんだ。つか! なんで同じ布団で寝てやる気になんねぇの?!」
哲平 「てめぇと一緒にすんな!」
恵 「おいちー! こいつ絶対不能だ! やめとけこんな奴!」
千尋 「恵ちゃん大丈夫だよー。ちゃんと勃つよーてっちゃんの」
哲平 「はぁ?!」
恵 「なんだやってんじゃん。嘘つき」
哲平 「やってねぇって言ってんだろ?! ちーなんでそんな!」
千尋 「昨日布団に入ってー、触ってみたら、ちゃんと勃ったもん」
哲平 「はぁ?!」
恵 「昏睡させてやったのか……ちー、それは無理やりより酷いよ?」
哲平 「う、うそだ!」
千尋 「無理やりなんかやってないよー。触っただけ。へへへぇ」
哲平 「ななななっ!さっさと出て行け変態親子!」
千尋 「うわ~ん!」
***
・車
運転している恵、助手席に座っている千尋
千尋 「ねぇ恵ちゃんー」
恵 「んー?」
千尋 「あのカメラマンの人にね、ちょっとだけ演技ばれちゃった」
恵 「え? 何で、喋っちゃったの?」
千尋 「うんー、写真のね、話したらね、無口っていうの嘘だねーって」
恵 「それだけ?」
千尋 「うーん。その後、別のお店行ってー、お酒飲んでー、もうちょっとばれっちゃったかも」
恵 「もうちょっとってどれくらい」
千尋 「うーんとね、好きな人がいるって言っちゃった? 言わされた?」
恵 「はぁ? 何それ」
千尋 「それでねー、恋することは、いいことだよ。って言ってた」
暁の真似をする千尋
恵 「ふーん」
千尋 「あと、可愛いねーだって」
恵 「ふん。ちょーっと危ないかもなぁ」
千尋 「やっぱり駄目だった? 怒った?」
恵 「怒んないよ。まぁ二人で行かせたのは俺だしな。やっぱ俺も行った方がよかったか。作戦しっぱーい」
千尋 「しっぱーい?」
恵 「うん。でもお前その後どっか行った? こっち来て約束したのちゃんと覚えてる?」
千尋 「その後てっちゃんちに帰ったよ、あの人とは何にもしてないよー。てっちゃん怒っちゃうんでしょ?」
恵 「じゃーいいや。ちゃんと約束守れてるんだったら。でも気をつけろよ? 多分狙われてんよ、ちー」
千尋 「え~? あの人そんな人じゃないよー、多分」
恵 「お前の読みはあてになんねーよ。さぁ、今日もキビキビ働きましょー」
千尋 「はーい」
恵 「あとさ、お前らそろそろちゃんとケジメつけろよ。宙ぶらりんでちゅーばっかしてんじゃねぇ」
千尋 「何それ、駄洒落? 恵ちゃんもおじさんになったねぇ」
恵 「憎たらしいのはこの口か!」
千尋の頬を摘む恵
千尋 「やーん! あははははっ!」
***
・自宅(寝室)
朝、鳥の鳴き声が聞こえる
目覚ましが鳴っている
哲平 「んー……」
目覚ましを止めると起き上がる哲平
哲平 「……」
哲平M「珍しく来なかったな……仕事忙しいのか……?」
***
・自宅(リビング~玄関)
テレビからニュースが流れている
それを見ている哲平
哲平 「ふぁ~あ……」
哲平M「写真集だったっけ……まぁ忙しいんだろな」
玄関の扉が開く
千尋 「てっちゃーん……」
千尋が入ってくる
哲平 「え? ちー?!」
***
・自宅(玄関)
玄関に座り込む千尋
哲平 「何、どーしたの。もう朝だぞ?」
千尋 「今までお仕事だったのー……」
哲平 「じゃあ寝てないのか?! なんでこっちくんだよ! 家に帰って寝ろよ!」
千尋 「だってーてっちゃんに会いたかったんだもん……」
哲平 「……。はぁ、まぁとりあえず中入れ」
千尋 「立てないー」
哲平 「はぁ? もう、ホラ、あっちまで頑張れ」
肩を貸す哲平
哲平に抱きつく千尋
千尋 「あ、てっちゃんの匂いだ~」
哲平 「んなこと言ってないでまっすぐ歩けー」
千尋 「う~ん……」
***
・自宅(リビング)
千尋をソファに降ろす哲平
哲平 「で? どうすんの、ここで寝てる? 俺もう仕事行かなきゃいけないし」
千尋 「うんー。てっちゃんお仕事何時まで?」
哲平 「今日は七時」
千尋 「じゃあ入れ違いになっちゃう……」
哲平 「お前七時から仕事なの?」
千尋 「うん」
哲平 「そっか、仕方ないな」
千尋 「僕、てっちゃんに会えないんだったらお仕事なんかしたくない……」
哲平 「何言ってんだよ、仕事楽しいんだろ? それにお前一人の問題じゃないんだろうし、俺に会えないだけでそんなこと言うなよ。いつでも会えるじゃん」
千尋 「でも僕お仕事するために帰ってきたんじゃないよ。てっちゃんに会うために帰ってきたのに。こっちに帰ってきたらてっちゃんとずーっと一緒にいれると思ってたのに……」
哲平M「だからそれは恵ちゃんの……」
哲平 「……うーん。でも俺お前の写真集楽しみにしてるんだけどな」
千尋 「え?」
哲平 「写真集、撮ってんだろ? 今。それ見たいな、俺」
千尋 「ホント?」
哲平 「うん。だから頑張ってお仕事して、早く俺に見せてよ」
千尋 「てっちゃんがそう言うなら頑張る……」
哲平 「うん、まぁ俺そういう仕事のことなんか全然わかんないけどさ、お前にしかできないことなんだから、精一杯頑張って来い! ちーが辛くない程度にこっち来てもいいから、な?」
千尋 「うん! じゃあベッドで寝ていいー?」
哲平 「いいよ」
千尋 「わーい!」
***
・スタジオ
スタッフA「休憩入りまーす!」
千尋、椅子に座る
恵 「最近忙しいのに調子いいね。なんかあった?」
千尋 「楽しみに待ってる人がいるんで」
千尋表情だけで笑う
恵 「あー、なるほどね。そういえばあいつ」
暁 「千尋くん、ちょっといいかな」
千尋 「はい」
暁 「次のセットでのことなんだけど」
千尋 「えぇ」
恵M 「……まぁいいか」
***
・楽屋
椅子に座っている千尋、恵を見る
千尋 「恵ちゃん、なんか話あるらしくって、暁さんとご飯行ってきていい?」
恵 「ん? あぁ……いいけど、お前大丈夫なの?」
千尋 「大丈夫だよ? あれ以上バレてないからー」
恵 「あぁ、まぁそれだったらいいんだけどさ……」
千尋 「なぁに?」
恵 「あ、いや、別に。んじゃ俺先帰ってるからな」
千尋 「はーい。お疲れさまー」
恵 「うぃー」
***
・自宅(寝室)
哲平、カレンダーを見ている
哲平M「今日で一週間……か……」
哲平M「ちーは仕事が相当忙しいらしく、毎日どんな時間でもこっちに顔を出していたのに、あの日以来、ぱったり来なくなった。あいつがイタリアにいる時は、それが当たり前だったのに、なんだかこの家で一人でいるのが寂しいと思ってしまうようになった。写真集の撮影ってどのくらいかかるんだろう、とか考えても想像も付かないことを考えてしまう。ちーに会いたいと思うこの気持ちは、恋愛感情としてなのか、それとも、ただ一緒にいて楽しいからなのか、俺自身まだ分かっていなかった」
ベッドに寝転んで携帯を眺める
哲平M「電話ってしていいものなのか……?」
哲平M「仕事中だったら……。そんなことを思ってやめようと思ったのにふと連絡が無かったときのことを思い出す。今度は俺から連絡を取るべきなんじゃないか?」
哲平M「仕事中だったら出ないだろうし……、もし出なかったら留守電にでもメッセージ入れとけばいい」
電話をかける
呼び出し音が鳴る
千尋 『もしもし?』
哲平 「あ、ちー?」
哲平M「……静かだ……」
千尋 『てっちゃん、久しぶり』
千尋、話し方がいつもと違う
哲平 「あ、あぁ。お前今家?」
千尋 『ううん、ちょっと仕事関係で』
哲平 「え? あ、ごめん。まずかったな。別に用事は無いんだ。どうしてるかなと思って。切るよ。ごめんな」
千尋 『うん、ごめん……』
暁 『いいよ、私のことは気にしないで』
哲平M「……男の声……仕事相手か」
千尋 『いえ、すみません。てっちゃん、ごめん、また僕のほうからかけなおすから』
哲平 「……あぁ、ごめんな。じゃあ」
千尋 『おやすみなさい』
哲平 「……おやすみ」
電話を切る
哲平 「……」
哲平M「聞いたことも無い話し方をしていた。それに驚いた。でも、そんなもの仕事の上の話で、きっとそれは恵ちゃんの指示で、別になんて事の無いことなのに、それなのに、何故か……ちーがどんどん遠くに行ってしまう気がする。ちーは俺のものでもなんでもないのに、それが今まで普通のことだったのに」
ベッドに倒れる
***
・会社
終業時刻、帰ろうとする哲平
同僚A「加々見ー、飲みいかねぇ?」
哲平 「すまん、ちょっと用事あるから今日はパス」
同僚A「そっか、うん。わかった。じゃーな、お疲れさん」
哲平 「あぁ、お疲れ様」
***
・自宅(リビング~玄関)
哲平M「今日で十日目。自然と俺は家にいるようになっていた。いつちーがうちに来てもいいように。いつでも会えるように。でも、一向に現れない……。電話も、あれからかかってこない……」
テレビを見ている哲平
インターホンが鳴る
哲平M「ちー?」
急いで玄関を開ける
哲平 「お前今まで!……あ、……すみません……」
隣人が立っている
隣人 「いえ、あの回覧板です。それじゃあ」
哲平 「ご苦労様です」
扉を閉める
哲平 「……」
哲平M「何で連絡してこないんだよ……。一言くらい……話す時間あるだろ……」
哲平M「時が経つに連れて、会いたい気持ちが大きくなる……あんなに毎日一緒にいたのに……」
千尋 『てっちゃん、ごめん、また僕のほうからかけなおすから』
哲平M「嘘つき……。何がかけなおすだ。何が好きだ。愛してるだ……。全部嘘だったのか……?」
***
・街
会社帰りで一人で歩いている哲平
哲平M「こっちからまた連絡なんかできっこなかった。恵ちゃんに連絡するのも気が引けた。最後に会った日の、ちーとの会話もなんだかぼんやりとしか思い出せない。あの電話での会話がそれを阻む。あんな声知らない。あんなのちーじゃない。俺の知ってるちーは、もういないのか……?」
車のクラクションが鳴る
それに驚いて車道を見る
反対車線の歩道に千尋を見つける
哲平 「……ぁ……」
哲平M「ちーだ……間違いない……あれはちーだ……誰かと一緒なのか? 姿は見えないけど……」
すぐ後ろの信号が青になる
哲平M「一言だけ、一言でいいから話がしたい……!」
哲平、信号を渡る
近づいていくが、千尋の前に車が現れる
その車の中の男と何か話をしている千尋
哲平M「くそっ! もう行ってしまうのか……?!」
哲平 「ち──っ!」
呼ぼうとすると同時に、千尋、車の中の男とキスをする
哲平 「……な……ん……」
楽しそうに話をしている千尋と男
見てられなくなって走り去る哲平
***
・自宅(リビング)
ぼーっとテレビを見ている哲平
哲平 「……」
電話が鳴る
画面に千尋の名前が表示されている
哲平M「……ちー……」
呼び出し音が鳴り続ける
画面を見つめたまま出ようとしない哲平
少しして留守電になる
哲平M「何してんだ……俺……」
***
・街
会社帰りの哲平、一人で歩いている
哲平M「それから何度も電話があった。でも出られなかった。留守電も聞いていない。怖かった。きっと俺のことはもういいと言うに決まっているんだから。きっとあの時と同じ声で、話し方で、俺に別れを告げるんだ……」
哲平M「何考えてんだ……まだ何にも始まっていないのに……」
哲平M「そう思ったらなんだか笑けてきた。思えば初めからおかしな話だったんだ。俺もおかしくなってたんだ。俺はもういらないと、そう告げられたところで、何も変わらない。だって俺達は従兄弟なんだから、初めから、ただの従兄弟だったんだ。それでいい。それが普通。十歳も年下の奴に、何を思ってるんだか……」
電話が鳴る
画面を見ると千尋の名前が表示されている
哲平M「ちー……、いや、もう分かったことだろ? 普通に、元に戻るんだ」
電話に出る
哲平 「もしもし?」
千尋 『てっちゃん!?』
哲平 「なんだよ、でっかい声出して。聞こえてるよ」
千尋 『僕何度も電話したんだよ! どうして出てくれなかったの?! 留守電聞いた?!』
哲平 「ごめん、忙しかったんだ」
千尋 『そっか、ゴメンね。てっちゃんもお仕事あるもんね。あのね、僕もずっと撮影してて電話しようと思ってたんだけど、なかなか出来なかったんだ、ホントにごめんね』
哲平M「……嘘だ…」
哲平 「あ、あぁ、分かってるよ。あの時、ごめんな。仕事中だったんだろ?」
千尋 『ううん、いいの、僕の方こそ……、あのねてっちゃん、今から会えない?』
哲平 「今……から……?」
千尋 『うん、てっちゃんお仕事終わった?』
スタッフA『千尋さーん!あ、お電話中すみません』
千尋 『あ、はい。てっちゃんごめんちょっと待って』
話し方が変わる千尋
哲平M「……あの時の……話し方……」
哲平 「っ……い、いいよ。切るよ。仕事中なんだろ?」
千尋 『待って! 切らないで! すぐ終わるから!』
哲平 「ちー」
千尋 『お願い。切らないで』
哲平 「わ、わかった……」
千尋 『すみません。何ですか?』
スタッフA『あの、撮り逃しがあったみたいで、相模さんがお呼びなんですけども……』
千尋 「わかりました。すみませんが、少し待っていただくようにお伝えできませんか?」
スタッフA『はい。それでは、失礼します』
千尋 『てっちゃん? ごめん、今から』
哲平 「仕事だろ。行けよ。俺となんかいつでも会えるって言ったじゃん」
千尋 『いいから、僕のことは気にしないで。ホントは今日これで終わりなんだよ。どうしても仕事しなきゃいけなくても、すぐに終わらせるから。お願いだから会って。僕話したいこと沢山あるんだ』
哲平 「話したい……こと……」
千尋 『お願い。てっちゃん……』
哲平M「これで……終わりだ……」
哲平 「分かった。待ってるよ」
千尋 『ありがとう。すぐに行くから!』
***
・自宅(リビング~キッチン)
哲平M「電話を切るとなんだか急に力が抜けた。変に喉が乾いて、落ち着かない」
哲平M「俺、やっぱりおかしい……別にふられるわけでもないのに……従兄弟に好きな奴が出来たってだけ。それを俺は祝福してやるんだよ。それくらいどうってことないだろ? 初めに俺があいつに言ってやったことじゃないか……)
玄関の扉が開く
千尋が入ってくる
千尋 「てっちゃん!」
千尋が入ってくるのを見て、立ち上がり
キッチンに行って冷蔵庫を開ける哲平
哲平 「よう。久しぶり。その辺座れよ、何飲む? 水?」
千尋、後ろから抱きつく
哲平 「っ……!」
千尋 「てっちゃん」
哲平 「な、何だよ……急に抱きつくなって……離せよ……」
千尋 「やだ」
哲平 「……離せって……」
千尋 「やだ。すっごく会いたかった」
哲平 「っ!」
哲平、千尋の腕を振り解こうとする
哲平 「離せって言ってんだろ!」
千尋 「……てっちゃん……?」
哲平 「なにが……会いたかっただ……」
千尋 「え……?」
哲平 「何しに来たんだよ?! さっさと言うこと言えよ!」
哲平M「こんなこと言うはずじゃない……」
哲平 「嘘ばっか言ってんじゃねぇよ……」
哲平M「こんなこと言いたかったんじゃない……」
哲平 「会いたかったなんか……」
千尋 「どういうこと……?」
哲平 「俺が聞きてぇよ……」
千尋 「わかんないよ! どうして僕が嘘なんか」
哲平 「嘘だろ……全部……俺見たんだ……」
千尋 「見た?」
哲平 「一昨日の夜、お前駅前にいただろ」
千尋 「……うん」
哲平 「俺、お前がいるの見つけて、声かけようと思って、近くに行ったんだ」
千尋 「……」
哲平 「そしたらお前、知らない奴と……キス……してた……」
千尋 「ぇっ……」
哲平 「楽しそうに、笑ってた……」
千尋 「てっちゃん」
哲平 「もう俺なんかどうでもいいんだろ? もうどうでもいいって言いに来たんだろ? それならさっさと言ってくれ……いつもの様になんか、しなくていいから……そうじゃないと俺」
千尋 「てっちゃん!」
哲平 「……」
千尋 「ごめん。謝るよ。本当にごめん」
哲平 「っ……」
千尋 「でもね、僕てっちゃんのことどうでもいいだなんて思ったことないよ! そんなこと言いに来たわけでもない!」
哲平 「じゃあ何で! お前認めた……」
千尋 「あのキスはそんなキスじゃない!」
哲平 「……そんな」
千尋 「僕、小さい頃からの癖なんだ。恵ちゃんとパパがいっつも僕にキスしてくれてたから、それが抜けなくて、でも皆嫌がらなくて、だからあっちではもうそのままだったんだけど、こっちに来てそんなことしちゃ駄目だって恵ちゃんが言ってたから、だからちゃんとしないように気をつけてたんだけど」
哲平 「……」
千尋 「でもお酒が入ったら、時々その癖が出てきちゃって、無意識のうちにしちゃうんだ……」
哲平 「あの……時も……?」
千尋 「そう。僕あのとき凄く酔ってて、キスしたのも殆ど覚えてない……」
哲平 「嘘だ……」
千尋 「嘘なんかじゃないよ。お願い。信じて。僕、本当のキスは、てっちゃんにしかしたことない」
哲平 「本当に……?」
千尋 「本当だよ。てっちゃんとしかしたくない」
哲平 「……」
千尋、キスしようとする
哲平 「嫌だっ……」
千尋 「どうして……?」
哲平 「その口でキスなんかしたくない……っ」
千尋 「でも僕、口取りかえれないよ……」
哲平 「……」
千尋 「どうしても嫌?」
哲平 「……」
千尋 「じゃあ消毒させて?」
哲平 「え……?」
千尋、哲平をキッチンの端へ追いやる
哲平 「な、なに……」
千尋 「これでね、消毒するの。僕の口」
千尋、哲平のズボンに手をかける
哲平 「は、はぁ?! ちょ、ちょっと! ちょっと待て!」
千尋 「いいから。てっちゃん何もしなくていいから。ね?」
必死に手で阻止する哲平
哲平 「何考えてんだよ! やめろ!」
千尋 「……」
千尋、ベルトとボタンを外す
哲平 「ちょっ! ホントに! ……ぁっ……やめろ……!」
ズボンを下げると下着の上から触る千尋
哲平 「どこっ……さわ! ……っ……ほん、とに!やめっ……ぁっ」
千尋 「てっちゃんの……おっきくなって来たよ……?」
哲平 「んっ……ぁ、ちょっと……ほんとに……だめ、だってっ……ぁっ」
千尋 「てっちゃんが悪いんだよ……? 僕の口は取り替えられないもん……」
哲平 「ぇ? ……はぁっ、ん、やっ……めろ」
千尋 「だから、消毒……させてね……?」
千尋、哲平の下着を下ろすと咥える
哲平 「ぁあっ……やめっ! ……んぁ、ちー……ぅっ、んっ」
千尋 「ん……はぁ……んくっ……てっちゃん……?」
哲平 「なにっ……ぁぁ、あっ……やめ、ッ……っく……」
千尋 「っん……気持ちいい……?」
哲平 「な、ッッ……ほんと、やめっ、俺、っぁぁ……お前は……っ……んんッ、殴れっ……無い、からっぁ……ほんっと……だめっ……だって」
千尋 「んむっ……ふふっ……いいよぉ、てっちゃん……僕のこと……んっ……殴って」
哲平 「あぁっ、む、りっ……だろ……っああ……ホント……やめっ……ぁう……」
千尋 「だって……ん……僕、てっちゃんに……はぁ、嫌な思いさせちゃったから……んっ……ん……」
哲平 「そ、んなっ……ぅっ、無理……ん、ぁっ……あぁ……やめっ……そこ、だめ、だっ……」
千尋 「んー……ここ? ……んっ……」
哲平 「だめっ、だって…あぁッ……はぁっ、やめ、そこばっかっ……ッ……ぅぁっ……あ、あ……」
千尋 「んん……ん……っ……ぅ、ん……てっちゃ……ん……許して……んっ、ん、ん……」
哲平 「ぁぁっ……ほんと、に、そこっ……だめ……ッ」
千尋 「ん、ん……っ……許してくれる? ……んぁ……んっ」
哲平 「ゆる、ゆるす、からっ、もう……やめっ……ッッ……あぁ、っん……ぁぁ……」
千尋 「……ん、んっ……じゃあ、もっと……んく……気持ちよくしてあげるね……ん、ん……」
哲平 「あ……え……? ……っ! あぁ……なに……や、や、あぁぁッ……んあぁ……」
千尋 「ん……ん、ん、ふ、ん……」
哲平 「あ、あ、あ、あぁっ……なに、これ……ッ……もう、だめ、っ、だ……でるっ……あぁ……」
千尋 「ん……いいよ、出して……んむっ……ふ……ん……」
哲平 「やだっ、だめだ、あぁっ……くち、はなしッ……あぁ……ほんとに、あっ……もうっ」
千尋 「んっ……ん……っ……んん……」
哲平 「あ、あっ……いくっ……ッ……あ、っぅ……あぁっ……んっ……あぁっ─っ!」
千尋 「ん、ん、んく……ん……」
飲むと千尋、濡れた唇を舐める
哲平 「はぁっ、はぁ、はぁ……はぁ……っ……」
千尋 「てっちゃん」
千尋、立ち上がり哲平を抱きしめる
哲平 「おま、え……なに考えて……」
千尋、キスをする
哲平 「ぁ……ん……っ……ん」
千尋 「好きだよ……ほんとに……愛してる……」
哲平 「……」
哲平、目をそらす
千尋 「てっちゃん……」
哲平 「俺も……好きだよ……」
俯きながら言う哲平
千尋 「てっちゃん」
微笑む千尋
哲平 「今度他の奴としてみろ……もう一生許さないからな……」
千尋 「うん。絶対しない。てっちゃんだけ」
キスをする二人
***
・自宅(キッチン)
キッチンでまだキスしてる二人
クラクションが鳴る
哲平 「……ちー、あれ、恵ちゃんじゃないの」
千尋 「うん……ん……」
哲平 「んぅ……仕事なんじゃないの? ……いけよ……ん」
千尋 「ふ……ん……でも……離れられないもん……ん……」
哲平、千尋の胸を押す
哲平 「駄目だって。行けよ。じゃないと皆に迷惑かかるだろ。ちゃんと待ってるから」
千尋 「……」
哲平 「ちー」
千尋 「……分かった。行ってくる……」
哲平 「うん。頑張れ」
千尋、もう一度キスをする
***
・自宅(玄関)
哲平 「行ってらっしゃい」
千尋 「行ってきます」
数歩行ったところで振り返る千尋
哲平 「?」
走って戻ってくる千尋
抱きしめてもう一度キスをする
哲平 「ん……ちー……?」
千尋 「てっちゃん。言いたいことあるの忘れてた」
哲平 「何」
千尋 「一緒に暮らそう?」
哲平 「え……」
千尋 「考えといてね」
千尋、走って行く
哲平 「あ……え……」
下の道路から手を振っている千尋
振りかえす哲平
哲平 「……」
***
・車
運転している恵、助手席に座っている千尋
恵、怒っている
恵 「一言言うのに一時間半ですか」
千尋 「ごめんなさい……」
恵 「どれだけ長い一言なんだ。俺は一言って言うから連れてきてやったのに」
千尋 「恵ちゃん……」
恵 「こんな寒空の下で一人で待たせやがって。どうせお前らはヌクヌクちゅっちゅしてたんだろー? くっそ。俺だって……俺だって……」
千尋 「あはは」
恵 「笑うな馬鹿息子! もう罰として休み一日減らす!」
千尋 「あーん、それだけはやめてよー」
恵 「で? 何話したの?」
千尋 「えっとね、一緒に暮らそうって」
恵 「は?!」
千尋 「駄目?」
恵 「あ……えっと……」
千尋 「?」
恵 「ホントに……?」
千尋 「うん」
恵 「じゃあ家出て行くの……?」
千尋 「うん? そうなるのかな?」
恵 「……」
千尋 「駄目?」
恵 「考えさせて……」
千尋 「恵ちゃん?」
恵M「やだやだやだやだ! 絶対阻止する!」
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