第3話「神代啓示と呪詛の闇」

部屋は突如として暗転し、神代啓示は目を見開いた。音もなく飛翔する何かが、鋭い攻撃を繰り出してくる。彼の手元にある「流」と「影」がすぐに反応し、神代の身体を守るべく、無駄のない動きで攻撃を迎え撃つ。だが、その暗闇の中で何が起きているのか、目の前の脅威を見極める時間はない。次々に迫る攻撃の波、神代は冷静に対応しながらも、無意識にその技術と霊力の見事なコンビネーションに酔いしれていた。


「100を超えたな…」


息ひとつ乱さず、ダンスのように、神代は攻撃の回数を数えながら、その攻撃のスピードに無自覚に引き込まれていった。すでに数を超えて、目の前の戦闘の美しさに心を奪われていたが、ふとした瞬間に攻撃がぴたりと止まる。静寂が再び部屋に訪れた。


「ふぅーっ…」


神代は、落ち着いて深く息を吐き出し、静けさを取り戻す。今一度、襲撃者が何だったのかを確認するため、床に落ちた物体を拾い上げた。それは、折り紙でできた「鶴」だった。だが、神代の切れ味鋭い剣技により、その「鶴」はまるで一瞬で真っ二つに引き裂かれていた。質感は紙に近いが、触れた瞬間、霊力が指先を伝って吸い取られるのを感じた。


「やはり、ただの式神ではないな…」


神代は薄くつぶやきながら、指先の霊力を微調整した。「相手無(アイテム)」に呪力を乗せて、式神の力をさらに強化することで、相手の力をじわりじわりと奪い、生命エネルギーまで吸い取ることができる。しかし、その過程は時間がかかり、命を奪う直前で相手に気づかれることもある。それがこの戦闘で彼が最も警戒すべきことだった。


折り紙の「鶴」を投げ捨てた神代は、指先に微かに走った電撃のような感覚に注意を払う。何かが非常に不穏だ。


「まだ警戒を解いてはならない…」


すぐに戦闘態勢を整え、背中のベルトに差していた「流」と「影」を手に取る。しかし、思った通り、「谺」は反応しない。白鞘の日本刀を引き抜こうとするも、その反応の遅さに神代は無言でため息をついた。


「愛想を尽かされたか…」


そうつぶやきながら、再び「流」と「影」を手に取り、刃を握る。だが、その瞬間、暗闇の中から次々と切られた折り紙の「鶴」が宙を舞い始める。そして、神代の目の前に現れたのは、暗闇よりもさらに深い、圧倒的な「暗黒ドーム」だった。


その巨大なドームは、まるで神代を囲むように広がり、ただの空間でありながら、彼の存在そのものを飲み込んでいくような圧迫感を放っていた。神代はその空間を冷静に観察し、再び「流」と「影」を構える。次の攻撃が来るのは間違いない、だが今度はどのように対処するべきか…。


「来るぞ…」


神代の瞳が鋭く輝き、戦闘への覚悟を決める。暗黒ドームの中から現れる未知の力に対して、どう立ち向かうか。それが神代啓示に課せられた試練となる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る