第35話

慌てて8階に行き、椿先生の部屋のインターホンを鳴らしても当然出ない。



だからベランダから侵入しようとすれば、ちゃんとベランダには椿先生が待っていてくれたのだ。



「せんせい?!わざわざ仕事早退してまで私の帰りを待ちわびてたんですか?!」   


「今日は夜役員就任パーティーがあるから早めに帰宅しただけです。」

  

「ぎゃー!!椿先生の今日のスーツ姿超いい!」


「それよりこないだうちに置いていった鍋、邪魔なんで返しに来ました。」



グレーのベストが似合いすぎでしょ!  


     

いつも前分けにしているマットブラウンの髪をアップバンクにしている椿先生。大人の色気がブワっと顔面に降りかかる。



やばい。ぎゅっとされたい。チュってされたい。



「じゃ。」


「あ、待って先生!」


    

先生の後をついて先生の部屋に入ろうとすれば、目の前でベランダのドアを閉められそうになった。


 

でも私がすかさずドアの隙間に足を入れて阻止する。先生に手で顔面を掴まれて、外に押しやられそうになった。



26才と17才の攻防は10分で幕を閉じた。ベランダでうるさくしているのは近所迷惑になるもんね。



「先生、パーティーってどんなことするの?美味しいものいっぱい食べてくるの?」



ソファで足を組み、タブレットを触る先生。後ろから覗き見すれば、細かすぎるグラフや表が表示されている。なんなら私のこと24時間監視して円グラフにして欲しい。



「パーティーは大事な人脈づくりですからね。飲み食いよりも談合ですよ。」


「綺麗な女の人も沢山来ちゃうの?」


「年齢詐称した女性は大概綺麗ですね。それなりに金かけてますから。」


「お酒飲んだら椿先生、お持ち帰りされちゃいそうだなあ。」



よくいうじゃない?合コンの席でイケメンを酔わせて送り狼ってやつ。ユキっペが言ってたもん。

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