第12話

それから弁護士さんは、タクシー乗り場からタクシーに乗ってどこかに行ってしまった。私もその日はタクシーで帰ろうと、タクシーに乗り込みタクシーで帰宅したのだ。



運命はタクシーによって運ばれてきた。



自宅のマンションには、すでに一台のタクシーが停まっていて、中からさっきの弁護士さんが出てきたからもうビックリ。



自分の目が全て弁護士さんに見えちゃう幻覚なのかもしれない。でも幻覚でもいい。だって恋は厳格な幻覚なんだもん。(ママ談



弁護士さんがマンションのロビーに入っていくのを見て、私も慌てて駆け込み、同じエレベーターに乗り込もうとした。



「わ、私も乗ります!」



私が心の中で“開”ボタンを押してくれと懇願すれば、目の前でエレベーターの扉がバッサリ閉められた。あれ。ストーカーと勘違いされた?



「(う、うっそぉおお〜!やっぱり今の、さっきの痴漢弁護士さんだあ!!)」

  


この優しくない感じは、間違いなく私の可愛いお尻に触った弁護士さんだ。運命は幻覚なんかじゃなかった!



え?てかここ住んでるの?ウソでしょ?同じ?同じマンションで?!同じ回覧板を回しちゃうの?!きゃー回覧板共有しちゃう〜!  



私の頭の中にはお花畑が広がった。ルンルンル〜ン♪なんて足取りが軽いのかしら。非常階段で行っちゃうもーん。



非常階段から部屋のある8階まで昇っていけば、もう呼吸が出来ないほどに息が絶え絶えだった。



ぐふ。ちょっと、苦しすぎて違うお花畑に行っちゃいそ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る