第7話
「(ちょっっ……待って!今日わたし、なんのパンツ履いてきたっけ?!)」
痴漢という危機的状況化でも、自分のパンツが3枚1000円のやつじゃないことを祈る。
私が馬鹿なことを思う隙にも、裾から入ってきたゴツゴツとした指が素肌の感触を楽しむ。後ろを向こうにもガッチリガードされていて向けるほどの隙間もない。
後ろの耳元で荒い息が途切れ途切れに聞こえて。一気に恐怖で気分が悪くなる。げろげろ〜。
隣の大学生集団の一人と目が合って、すぐに反らされた。見て見ぬふりをすることを決めたのだと思った。転んで泣けと思った。
「(ゲームしてる暇があるなら助けてよ!)」
きっと、他にも気付いてる人がいるはず。だってこんなに人が多いんだもん。
お尻はすでに鷲掴みにされていて、こちら側のドアが開くまで我慢しなければならないのかと思えばさらに恐怖が募った。
こういう時って声も涙も出ないんだ。
ただ窓に頭をつけたままぎゅっと唇を噛みしめる。もう気持ちの悪い手に耐えるしかないのかと、鞄を握りしめた。
「このような人混みで目に余る行為ですよ。」
後ろで囁いた人の声。小さい声なのに、はっきりとそう聞こえた。
「なッ……」
「失礼。」
目を開けて窓を見れば、移るのは長身のスーツの男の人。私の後ろにいたキャップ帽の男の手を上に上げさせた。
「次の駅で降りてもらいましょうか。」
「お、おれは、なにも……っ」
「弁解は後からいくらでも聞きますので。」
さらりと痴漢を黙らせてしまった男の人。振り返ってちゃんとお礼を言いたいのに、人混みでまだ振り向けず。
結局私が彼と対面できたのは、次の駅で降りた時だった。
彼の姿を見た瞬間に心臓が落ちかけて。
「大丈夫ですか?」
と顔を覗き込まれた瞬間に、恋に落ちました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます