二人が出会う

ターニングポイント

第1話

お婆さんは一人佇(たたず)んでいた。



 服装は特別な場に相応(ふさわ)しい装束(しょうぞく)に無地の帯と足袋(たび)。


 履物は草履(ぞうり)で、藺(い)草(ぐさ)で丁寧に編まれたそれは、このために用意された。



 その草履以外は白で統一されている。



 清潔(せいけつ)な形象(けいしょう)と印象を与える白によって、この広場の一部を不自然な空間に染め上げようとしている。





 現在空は日が落ちてからしばらく経(た)っており、辺りは暗い。外灯と月の明かりで保たれた広場には、他に誰もいなかった。




 お婆さんの後ろには公園があるが、時間帯を考えると無人なのは当然だ。



 「この辺り…………」



 お婆さんが一人立ち尽くしていたのは、適当かつ的確な場所を探していたためだった。


 あらかじめ決めていたものの中から、たった二つを選び出す。




 ここは公園の入口。二つあるうちの一つ。




 ただしお婆さんは道から外れて草むらに入っていった。



 ゆっくりと、ゆっくりと。

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