第二話 学校

 休日も終わり、登校日になった。

 朝6時に起きた秀國は髪を整え、シワのない制服に身を包み、清正が家に来るまで待っていた。

 朝6時半、玄関のチャイムが鳴った。

「おーい秀國ー!登校するぞー!」

 秀國は荷物を持って家を出た。

 冬ということもあってか、雪が少し積もった道路は2人の体の芯まで冷やしてくる。

 清正はそれを察して、秀國にマフラーと手袋を貸した。

「ありがとう」

「いいよ、お前の方が大事だし」

 そんな会話を交わしつつ、学校に着いた。

 2人は一年生の時は同じクラスだったが、二年生になってからは別クラスになってしまった。

 そして秀國は、清正という唯一の親友が別クラスになってしまったが為に、いじめの標的になってしまった。

「おい冴島!なんでまた学校来てんだよ!」

 教室に居た秀國のクラスメイトが登校してきた秀國に対して罵声を浴びせる。

「なんとか言えよ!」

 クラスメイトの拳が秀國の鳩尾に当たった。

「ヴゥ”」

 秀國はその場にうずくまり、鳩尾を抱えた。そんな日常が毎日続いているが、清正を心配させない為に毎日学校に通っている。

 下校時間になるまで耐える日々に、秀國は心をすり減らしていった。

「大丈夫か?」

 昼休みになり、屋上で待ちぼうけをしている秀國の元に清正が2人分の弁当を持ってきた。

「大丈夫。弁当、ありがと」

 秀國は弁当を受け取って、食べ始めた。白米の上にたくあんが乗っている1段目に、野菜の他にハンバーグや唐揚げなど、秀國の好きな物が詰まっている2段目、この2段弁当は学校での唯一の楽しみだ。

「美味いか?」

 清正は顔を覗き込むように秀國に聴いた。

「うん、美味しい」

 秀國は満面の笑みをこぼしてそう言った。

「よかった」

 秀國の笑顔に応えるように、清正も笑顔になった。

 春休みが終わり、また秀國にとって酷な時間が来た。授業中にもペンや消しゴムを投げられ、先生もそれを見て見ぬフリをしている。教室全体が秀國の敵のように感じる空間だ。

 なんとか学校が終わり、秀國は帰路につけた。

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