第30話
成人式は、冬の晴れた寒い日だった。
色取り取りの振袖の女性と着慣れないスーツの男性。
「お前、マジその頭で黒スーツは、ホストだな!!!」
「っつーかなんで真冬にそんな黒いんだ!」
久しぶりに会った友人達には笑われて、からかわれた。
つい、振袖の女性に目が行く。
(唯子が、いるかもしれない・・・。)
そんな事を考えてしまうのは、多分、彼女と別れたばかりだから。
先日、何となく彼女を思い出してしまったから。
智也は決して何かを期待しているわけでも未練がある訳でも無かった。
“初恋の人”はいつだって、少しだけ特別だ。
彼女がどんな風に成長したのか興味があるだけだ。
けれど、唯子と再会する事は無かった。
居たのか居なかったのかは分からない。
人ごみの中で彼女を見つける事は出来なかった。
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